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第2章(2回目の人生とやり直し期間)
27話
しおりを挟む「俺の両親は俺が17歳のときに亡くなったんだ。その時にはもう公爵家の書類のことも教えてもらい終わっていて成人もしていたし、騎士団の寮で過ごしていることも多かったんだ。両親に会うのも週に1度会えばいいくらいの関係だった。…いつでも会えるってそう思ってた。
…………………………だから。まさかあんなに早く亡くなるだなんて思ってなかったんだ。
別に誰かに嵌められたわけでもなんでもない。ただ、別荘に行って帰ってくるときに事故で亡くなった。
でも、当時の俺にはきつくて。公爵家のこともいきなり任されて騎士団ではちょうど昇進の話もでててどうしたらいいのかわからなかったんだよ。
両親には愛されていたと思う。自分のやりたいことをやらしてもらったしね。だからなのか尚更亡くなったって事実がきつかったんだと思う。いつでも会えるって思って帰らなかったのを今でも後悔してる」
ギルは悲しそうな顔をしてうつむいた。
「ギル…」
僕がギルの名前を呼ぶと、ぱっと顔をあげた。
「でも、そのあと伯父が助けてくれたんだ。俺が騎士団で頑張ってるのを知っていたからお前のやりたいことをやりなさいって言ってくれたんだ。伯父さんは小さい頃から助けてくれていたから任せることに躊躇はなかったしね。それに…そのおかげで今こうやって生きてこれている。無愛想で気難しい人だったけれど愛情は伝わってきた。普段は無口で口を開けば厳しいことを言ってくる人だったけれど俺を思ってることは伝わってきたから何も嫌じゃなかった。
フィルと結婚したのにまだ結婚式も伯父さんへの挨拶もしていなかったな。
結婚式、ちゃんとやろうな。伯父さんにも会いに行ってくれるか?」
「はい!もちろんです。ギルの大切な方にお会いしたいです。ギルのご両親のこと、教えてくださってありがとうございます。話してくれて嬉しいです。結婚式をするのは少し恥ずかしいけれど、ギルと誓いたいなって思います」
「ははっ、ありがとう。フィルが伯父に会いたいと言ってくれて嬉しいよ。結婚式は絶対しような。それに…両親のことを人に話すのは初めてなんだ。なんだか気が楽になったよ。ありがとう。」
「それならよかったです。」
「なあ、フィルの小さい頃の話を聞いても良いか?嫌なことを聞いてることはわかってる。だから無理にとは言わないが…」
「いえ、僕も聞いてほしいです。これでも嫌な思い出ばかりではないのですよ。
そうですね…。どこから話そうかな…」
そうしてフィルはゆっくりと話し始めた。
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