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第2章(2回目の人生とやり直し期間)
25話
しおりを挟むそこに向かうとリビングとはいっても小さなキッチンもついていた。
「ご飯を作るから少し待っててくれ」
ギルがキッチンの方に向かった。
なんだか一人でいる気にもなれなくて、ギルの隣で料理している姿を見ることにした。
「ギルは料理も作れるのですか?」
「ああ、騎士団で野営をすることもあるからな。ただ、あまり得意ではないんだ。」
「でもすごいです!僕は全然料理もできないので…」
「ありがとう。さあできた。テーブルにつこう。」
「はい。作ってくださってありがとうございます」
僕がイスに座ると
「フィル、こっちにおいで」
ギルの方に向かうと、ぐっと引き寄せられて膝の上に乗せられた。
「なるべくフィルとは近くにいたいんだ。行儀は悪いがここには俺たち2人しかいない。だから楽にしてくれ。敬語も使う必要なんかないんだ。」
「はい。あ…うん。あんまり僕、話すのが得意じゃないから敬語になっちゃう時もあるけど…」
「そのうち慣れるさ。フィルがいいのなら俺はずっと一緒にいたいと思ってるしな」
「もちろん、僕もギルと一緒にいたいなって思ってますよ。でも…痣もあるし、他に何かできるわけでもないのに…。なのに、どうしてこんな僕を好きって言ってくれるんですか…?それに、僕のことを守ろうとしてくれるんですか?」
「それはフィルのことを大切にしたいなって思ってるからだよ。
理由を言えと言われるとなんて言ったらいいのかわからないが、フィルといると心が安らぐし、それに俺にできるのなら幸せにしたいって気持ちになるんだ。
フィルは自分はなにもできないって思ってるかもしれないが、何かやりたいことがあるのならこれから挑戦して自分のできることを見つけたりすることもできるんだよ。
仮になにもできなかったとしても俺はフィルといると幸せな気持ちになれるんだ。
だから、フィルはいるだけで人を幸せにできる。そんなすごい人なんだってこと、少しずつでいいからわかってほしい。
これは単なる俺のわがままだけどな。」
僕はその言葉を聞いてまた、涙が溢れてきてしまった。
「ううっ、ギル…ふっ、うっ、ありがとう。」
「最初は自信が持てなくてもいいんだ。これから知っていけばいい。俺が毎日、フィルはすごいんだって、良いところを伝えてやる。」
「ありがとう…ギル、本当に大好き」
「ああ、俺も愛してるよ。なあ、フィルはいいのか?俺はあんまり言葉で伝えるのは得意ではないしフィルが思っているよりも良いやつなんかじゃない。それでも…俺と一緒にいてくれるか…?」
「もちろんです。ギルが嫌だって言っても絶対離しませんよ…?良いんですか?」
「ああ、俺もお前を離したりなんかしない。ずっと一緒にいさせてくれ…」
「うん…。一緒にいたい」
僕らは手を握りあっていた。
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