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第2章(2回目の人生とやり直し期間)
9話
しおりを挟むもうすぐ夕食の時間になるとディルが報告にやってきた。
肌寒くなってきたこともあり、僕らは屋敷の中に戻っていった。
「今日はフィルと話すのが楽しくて時間を忘れてしまった…。寒くなかったか?気が利かなくてすまない」
落ち込んでいる様子のギルには申し訳ないがとてつもなく可愛く見えてしまった。
「気にしないでください。
私もギルと話すのが楽しくて時間を忘れてしまったので…それに温かい紅茶を飲んでいたので大丈夫ですよ。
あの…ギルがよかったらまたあの庭園で一緒に過ごしたいです…。
あっ、でもギルも忙しいと思うので全然気にしないでください!やっぱり忘れてください…!」
「忘れるだなんてそんな…フィルがいいならこちらからお願いしたいくらいだ。また過ごそうな」
「ふふっ、嬉しいです。ありがとうございます」
そうして僕らは食堂までの道を歩いていた。
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前の人生の時には席がかなり離れていたのに、今回はかなり近い。
こんなに近くていいのかな…?おかしくないのかな?
僕は人と食事を取ったことがないからわからないや…。マナーの本もあんまりなかったから僕の思ってることが間違っているかもしれないし…。
うつむいて考えていると
「どうしたんだ?」
「あ、いや何でもないですよ」
「どれも豪華なお食事ですね」と笑った。
「そうか…もし他に何か思っていることや考えていることがあるなら教えてほしい。フィルとの間に誤解が生じたりしたくないんだ。君の近くでいつでも相談できるような相手になりたいと思っている。無理にとは言わないが…フィルが話してくれると俺は嬉しいよ…」
真剣な表情でギルは言った。
「あ、あの大したことではないんです。ただ少し気になっただけで…」
「小さなことでも構わないよ。何か気になったなら話してくれ」
「あの、僕、あまり人と食事をしたことがないのでわからないのですが、このように近くで食事をしてもいいのでしょうか…無知ですみません。」
「話してくれてありがとう。そうだな…親しい人や親しくなりたいと思っている人とはこの距離で食事をすることが多いが場所や立場によっても異なるな…
もしフィルがよかったらマナーについて教えようか?」
「いいのですか?でもお忙しいのに時間を取らせてしまうのでは…」
「いいんだ。俺がフィルとの時間を多く取りたいだけだから。」
「あ…ありがとうございます」
僕はまた照れて顔を赤らめてしまった。
それから色んなことをはなし、また夜に会うことになった。
今日1日で沢山ギルと話したな。
前の人生ではこんなに話すこともなかったし、呼び捨てしあうこともなかったから何だか新鮮だな。
そう思いながら僕は部屋へと入った。
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