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第2章(2回目の人生とやり直し期間)
7話
しおりを挟むコンコン。
「どうぞ」
「失礼する。…何か書いてるのか?」
「あ…いや何でもないですよ」
僕は急いで紙をしまった。
「そうか。このあと庭園のほうに行かないか?」
「え…?いいんですか…?」
「もちろんだ。では行こう」
そう言ってギル様は僕に手を差しのべてくれた。
____________
庭園に行くと前とは違った場所だった。
「ここはバラの庭園なんだ」
「え…ここ以外にも庭園はありますか?」
「ああ、もちろんあるよ。ただこのバラの庭園の温室は当主のみが持っている鍵がないと入れない場所なんだ」
「すごい…」
僕はあまりにもバラが美しくてうっとりとしてしまった。
「気に入ってくれたか…?」
「もちろんです…。凄く素敵ですね…」
「本当は夜に連れてきたかったんだが、どうしても君に早く見せたくてな…」
「ありがとうございます…」
「ここでしか咲かないバラもあるんだ…こっちに来てくれるか」
少し奥のほうに向かうと温室があり、一輪のバラがそこには咲いていた。
「はい。わ~!綺麗ですね…光の加減で色が変わるのですか?」
「そうだ。今でも綺麗なんだが夜になると宝石みたいに光輝くんだ。このことを知っているのはこの屋敷のものだけだから秘密な…」
そう言ってにこやかに笑い、口元に人差し指をたてた。
その姿があまりにも綺麗で僕は息をのんでいた。
「はい。大事なバラの庭園に連れてきてくださってありがとうございます。それに秘密も教えてくださって…とっても嬉しいです。内緒…ですね」
と僕はにこりと笑った。
ギル様は目を見開いて少し経つと
「ああ、気に入ってくれたようでよかった」
と言って笑ってくださった。
「少しお茶を飲まないか?向こうにガゼボがあるんだ」
「はい。ここでお茶を飲めるなんて幸せです」
「それならよかった。では行こうか」
ガゼボまでの道で僕たちは手を繋いで向かった。
今日ここに来てから手を3度は触れたけれど、未だに慣れず僕の胸は高鳴っていた…
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