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第1章 (1回目の人生とすれ違い期間)
19話
しおりを挟む僕は広場に連れていかれた。
多くの人がそこには集まっていた。
周りの…蔑む目や叫び声。
僕に石を投げ、色んなものを投げてくる。
苦しい。痛い。もう…何も考えられない。
その時、お腹の辺りに強い痛みがはしった。
「お前のせいで!!!!!」
刺された箇所から血が滴り落ちる。
もう体を支える力もなくなってきた…
ぽつぽつと雨が降ってきた。
ギル様に…まだ恩返しをしていない。
初めて、僕に恋心を教えてくれた。
初めて、僕に優しくしてくれた。
初めて、色んなことを教えてくれた。
初めて、僕にお花を送ってくれた人。
色んな初めてをくれた。彼だけがこんな僕に優しくしてくれた。
こんなにも多くの感情を教えてくれた。
あなたのこと深く…深く愛していた。
あまりにも愚かで、惨めで、見苦しいことなんて自分が一番わかっていた。
あなたに恋をして、いつか愛してもらえるとそう最初は本気で思っていた。
でもギル様には大切な方がいて、僕はあなたを傷つけて、邪魔をすることしかできなかった。
次に生まれ変わったらあなたとはもう二度と出会わない…
あなたには幸せになってもらいたい。
さようならギル様…
あなたに出会えてよかった…。
_________
《ギル視点》
最悪だ。わざと俺に辺境への任務をもってきた。嵌められたんだ…
急いで王都に戻ったが、手遅れだった。
人のあいだを掻き分けて進んだ…
フィルは…広場で崩れ落ちていた。
その小さな、傷だらけの体を支えた。
顔は原型をとどめておらず、痩せている体はさらに細くなっていた。
こんなに傷ついて…
俺が…戻ってくるのが遅かったから…
君を守ることができなかった。
君ともっとやりたいことがあった。
君の笑顔がもっと見たかった。
君と話をしたかった。
君のことを知りたかった。
後悔ばかりが募っていく…
ギルはフィルの小さな体を抱きかかえていた。
フィルを見るその姿はとてもつらそうで…周りにいた人々も動きを止める。
ギルの泣いている顔を見て…本当にあのこがあの悪魔なのかを周りは疑問に思った…
そうして後悔しているものも現れた。
だが、周りの光景など彼には見えていない。
もう一度君と出会えるのなら、君を絶対に幸せにしてみせる。
君を傷つける全てのものから君を守る。
だから、どうか、愚かな俺に、チャンスを…
その時、まばゆい光が辺りを包んだ。_____
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