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第1章 (1回目の人生とすれ違い期間)
17話
しおりを挟むあれから数ヵ月経って、噂はあまり屋敷からでない僕の耳にも届くようになった。
このままではギル様は大切な方と結ばれず、それに加えて噂によって立場を悪くしてしまうかもしれない。
ガタガタ。ザワザワ。
周りがいきなり騒がしくなった。
なんだろう。何かあったのかな?
バンっと勢いよく扉が開かれた。
「ここにいたのか罪人が!!!早くこいつを捕らえろ!!!!!」
「え…?何のことですか?」
「とぼけるな!!!悪魔が!!お前の罪の証拠は揃ってるんだぞ!!」
「待ってください!!何のことですか!説明してください!」
「まだ分からないみたいだな。早くこいつを連れていけ!」
僕は声のでる限り叫んだ。でも誰も助けてくれなかった。
遠くでマリアやディルが騎士団を止めてくれるのが目に入ったが、僕は彼らに声をかけることすらできなかった。
《ギル視点》
フィルの噂は隠しきれないほどになってきた。
このままではフィルの耳にもはいってしまう。そう思ってなるべく早く行動していたつもりだった。
テトにも手助けしてもらって、俺の地位を最大限に利用して他にも根回ししているが誰かが阻止してくる。
ついには帝国騎士団に捉えられてしまった。
しかも俺が根回ししてるのを知っていて、バレないように内密に行動していた。俺が不在の時を狙って。
最悪だ。こんなつもりじゃなかった。
早くフィルを取り返さなければ…!
フィルはあんな噂通りの人じゃない…
本当は心優しくて誰よりも苦しんでいるんだ。
フィルの痣についてずっと考えていた…
あの痣はたぶん襲われていたあの子と一緒だった。
なぜ忘れていたんだろう…
あの日、いつもだったら同僚や部下にに任せるのに、あの子を慰めたいと…涙を止めてあげたいと、そう初めて思った子だった。
もう十分に苦しんできた子なんだ。
これ以上苦しんでほしくない。
俺はフィルに幸せになってもらいたいだけなんだ。
早くしないと、フィルのせいにされてしまう。
早くしなければ…!
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