誰よりも愛してるあなたのために

第1章 (1回目の人生とすれ違い期間)

5-2話(ギルとフィルの初めての出会い過去編)

その時周りがいきなり騒がしくなった。
　
「おい！なんだいきなりどうした！？何かあったのか？」

「今からお楽しみだってのに邪魔しやがって…」

しばらくすると扉が勢いよく開いた。

「王国騎士団だ！！お前たちを逮捕する！！」

「なんだと！！おい！逃げろ！！」

「逃がすわけないだろう！！捕まえろ！！」

目隠しをされていた僕は周りがどうなっているのかわからずただ震えていることしかできなかった。

そうして少したつと１人の人が近づいて僕に触れてくるのがわかった。
その時の僕はとても怖くて暴れてしまった。

「んー！！！ん！！！」

いきなり布を外され喋ることができた。

「ん！！触らないで！！！怖いよ！！！やだー！！！！！うわー！！！！！」

「もう大丈夫！！もう大丈夫だからな…」

そう言って目を隠していた布を外してくれて僕を抱き締めてくれた。

「大丈夫だからな…もう怖いことはない…。
怖かったな…。」

それから彼は僕が泣き止むまで近くにいてくれた。
その時に一緒にいてくれたのがギル様だった。

その後、僕は屋敷に戻り部屋からでることを禁止された。それからはお父様がご飯を最低1食は食べさせるようにといってくれたおかげでこうして16歳までいきることができた。

ギル様の髪色や容姿はこの国では珍しく閉じ込められている僕の耳にも届くほどだった。だからあの時一緒にいてくれたのはギル様だと思う。実際にまた会えてギル様で間違いないと思う。

人に優しくされたことのない僕はそれだけでギル様のことをすきになってしまった。他の人にとってはなんてことない。ただ隣にいてくれただけの人を。

こんな出来事、きっと騎士団にとってはよくある出来事の一つだったのだろう。
ただそこにいて襲われかけている可哀想な子供を哀れんでくれただけ。
当時の僕は汚かったし、きっと気づかれない。