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第一章 虜囚

30話 誓約について

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 全裸のままのトールくんが憮然とした顔で座っている。

「何度も言うけど、僕に不利益になるようなことが出来ないってだけでそれ以外は縛ってないんだから、別にもう帰っていいんだよ?」

 さっきっからそう言っているのに、トールくんはただ睨みつけてくるだけで帰ろうとも喋ろうともしない。

 帰ることが『僕の不利益』判定されて帰れなくなってるわけじゃないと思うんだけどなぁ?

 エッチなことが終わった今はエネルギーあふれ気味問題も解決してて、淫紋の方も設定通りに動いていて快楽攻めとかはしていないはずなんだけど……。

「なあ、というか、なんでこいつは眷属にしないんだ?」

 剣を持って警戒するようにトールくんの後ろに立っているウルガが不思議そうな顔をしている。

「いや、トールくんのエネルギー吸っている間にできることが増えてたからさ、その実験台にしてみようと思って」

 というのは表向きで、実際にはちょっと眷属を増やすのが怖くなっているからだったりする。

 すでに眷属になってる子達を見てると、洗脳しちゃってるみたいで怖い。

 そのうちトールくんも眷属化しようとは思っているけど、ちょっと休憩ということで。

「まあ、イロハがそうするっていうんなら別に構わないけどな。
 そう言うってことは、こいつが言うことを聞くようになったっていうのには自信があるんだろ?」

「うん、その点は大丈夫だよ、クロウくん。
 まあ、正確に言うということを聞くんじゃなくって、『僕の不利益になることはしない』だけどね」

 それとは別に普通に堕ちちゃって言いなりになってる疑いもあるから、難しいところだけど、そのことはとりあえず忘れておこう。

「先輩、それなんですけど。
 その……『誓約』でしたっけ?
 それのこともうちょっと教えてもらってもいいですか?」

 不思議そうに言うミツバくんの横でモルックくんも不思議そうな顔をしている。

「そうだな。
 イロハの能力については子の俺達には分かんねーみたいだ。
 説明してもらっていいか?」

 クロウくんもこういうってことは、今回手に入れた能力は今のところ僕だけの能力みたいだ。

「えっと、まずは話にも出ている『誓約』だけどね。
 簡単に言っちゃうと、僕と交わした約束を破れなくなるっていう能力だね」

「所長にそれを使ったってことは眷属以外にも有効ってことだよな?
 眷属には効果あるのか?」

 確認するように言うウルガにうなずき返す。
 
「一応は眷属の子たちにも使えるよ。
 ただ、眷属の子たちはそんな面倒なことしなくても『命令』すればいいからね。
 ああ、眷属以外に出来る『命令』って言ったほうが良いかも」

「うーん……眷属以外にも言うことを聞かせられるとなれば便利だと思うが……。
 便利なだけに制限もあるんだろ?イロハ」

「うん、クロウくんの言う通りだよ。
 えっとね、『誓約』を成立させるには僕の決めたエッチなことをして貰う必要があるんだよね。
 僕と『誓約』をかわす証としてエッチなことをしてもらう……って感じかな?」

「え、エッチなことって……。
 例えばどんなことなんだ?」

 聞き返してきたクロウくんだけじゃなくって、他のみんなもちょっと呆れ気味だ。

 まあ、僕自身『なんだかなー』という気はしている。

 どうやら僕の魔法はエッチなこと特化型らしい。

 …………というか、これって本当に『魔法』なのかなぁ?

「例えば……射精したら誓約成立とか、オナニーしたら成立とか……チンチン触ったら……はいける気がするけど、微妙かなぁ?
 あ、僕のチンチン触ったら成立ってのは絶対にいける」

 細かい説明を聞いたみんなの顔が更に呆れたものになった。

「それ成立させるのかなり厳しいんじゃねーか?」

 クロウくんは苦笑しながらそう言うけど、そうでもないんだよなぁ。

「いや、それがさ、むしろけっこう簡単そうなんだよね。
 とりあえず、誓約を提示したときからエネルギーを消費し始めるんだけど、消費自体は微々たるものだからいくらでも持つし、あるのはそのエネルギー問題だけで時間とか範囲とかの制限みたいなものはないみたい」

 それを聞いて、クロウくんとウルガの顔が少し明るくなる。

「なるほど、それは便利かもしれねえな」

 少し感心した様子でクロウくんが言ってくれるけど、そんなレベルのものじゃないんだよなぁ。

「んーとね、とりあえず実演したほうが分かりやすいかな?」

 座ったまま憮然とした顔で話を聞いていたトールくんのところへ言って、耳に顔を近づける。

 …………トールくん、顔を少し赤くしただけで逃げようともなんともしない。

 本当に堕ちてないよね?

 他の子に聞く限り眷属化はしてないみたいだけど、精神的に堕ちちゃってるのは分からないからなぁ。

 少なくとも身体は屈服しているみたいだけど、精神の方は頑張ってくれてると僕が嬉しいですっ!

 ま、それはそれとして実演実演っと。

「トールくん、射精したら『僕の言うことは何でも聞く』という誓いをしたとみなすからね?
 ……はい、これで誓約の下準備は完了」

 耳元で囁かれたトールくんはビクリと体を震わせた後、キッと僕を睨みつけてきた。

「ぼくたち神人は貴様ら蛮族と違ってそう簡単に射精なんてしないっ!」

 さっき簡単にビュルビュルしてたトールくんがなにか言ってるけど、とりあえずほっとこう。

 トールくんに睨まれたまま元の場所に戻って座り直す僕をみんなが不思議そうに見てる。

 あ、いや、ミツバくんだけがなにか気づいた顔をしたあとちょっと青ざめてる。

「どうした?イロハ?
 この生意気なガキ、無理矢理射精させないのか?」

 クロウくんはそう言うけど……。

「あー、いや……」

「そんなことをする必要はない……んだよね?」

 ミツバくんは気づいたみたいだから、あとの説明は任せよう。

 みんなに不思議そうな顔で見られてるミツバくんが口を開く。

 あ、ミツバくんが説明する前にモルックくんは気づいたっぽい。

 さすがS組だ。

「誓約完了の待受に時間制限も距離制限もないってことは、もう所長さんは今後一生射精できないってことだよね?」

 ミツバくんの言葉を聞いたクロウくんとウルガが『あっ』っていう顔をしている。

「正解。
 同じことが『オナニーするな』でもいけるし、『チンチンさわるな』でももしかしたらいけるかもしれない」

「……えげつな」

「さらに言うと、さっきも言った通り『僕のチンチン触れ』なら確実に行けるから、力ずくでチンチン触らせる勝負に持っていくことは可能です」

「…………すげぇ間抜けだけど、触ったらそこで終わりか……」

「さらにさらに言うと、エネルギー吸収と違って『誓約』待受状態にするには口でいうだけなのでうまくやればバレません」

「うまいことやれば、気づかないままオナニーしただけで誓約完了ってこともできんのか……。
 マジでえげつなくないか?それ」

 いやぁ、僕もそう思う。

 話を聞いていたトールくんも青ざめてきちゃってる。

「えっと、トールくんのさっきのはもう解除したから遠慮なく射精しちゃって大丈夫だよ」

 それを聞いて、分かりやすくホッとしているトールくんが可愛い。

 さっき『射精なんてしない』って言ってたのはもう忘れちゃったのかな?

「トールくんは本当にかわいいなぁ♡」

「えっ!?♡♡なにっ!?♡♡なにこれっ!?♡♡♡お尻が気持ちいいっ♡♡イクッ♡♡いくううっっっっっ♡♡♡♡」

 びゅるっ!!どくどく……。

 突然喘ぎ声をあげたトールくんがさっき空っぽになったタマタマで作ったばかりの精液を吐き出す。

 エッチなことに弱すぎるトールくんが可愛くって、思わず褒めてしまった……。

 僕自身、覚えたばかりの能力で頭から抜けてたや。

「…………イロハ、次はこれの説明をしてくれ」

 突然襲ってきた快感に倒れてしまったトールくんをクロウくんが呆れた顔で見ていた。
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