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第3章 学園に通おう
116話 寝室
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「では、そろそろ、プライベートエリアを見に行きましょう」
上機嫌なユニさんの声で思い出した……。
僕はみんなの前で何をやっていたんだ……。
さっきまでのことを思い出して、流石に恥ずかしくなる。
みんなして僕の背後に移動しているからエミールくんを慰めないとってことしか頭に湧いてこなかった。
エミールくんも今更ながらみんなのことを思い出して、恥ずかしそうにしている。
ま、まあ、怖がっちゃってたエミールくんを慰めていただけだし問題はない。
そう自分に言い聞かせることにする。
「さ、さあ、プライベートエリア見に行こうか」
「それはさっき私が言いました」
お、おおう。
落ち着けー、落ち着けー、僕。
ごまかすのは止めて、1度大きく深呼吸する。
「後で私達にもしてくださいね」
「っ!?げほっ!げほっ!げほっ!」
むせた。
落ち着こうとしてるんだから、追い打ちをかけるのは止めて欲しい。
――――――
とりあえずさっきいなかったみんなを執務室に案内して、ミニっくんのことを簡単に説明した。
今呼び出すと、休んでもらう時にまたひと悶着ありそうだったからとりあえずは口頭での説明だけだ。
今度、部屋割りとかが決まった時にまたしっかりと紹介しよう。
執務室を出て、奥の方に歩いていく僕の両腕にはノインくんとツヴァイくんがくっついてる。
ちっちゃなノインくんが腕を抱え込むように抱きついてきたのはともかく、ツヴァイくんまで来たのはちょっとびっくりした。
多分、エミールくんとのことを見て甘えたい欲が振り切っちゃったんだと思う。
恥ずかしそうな感じに僕の袖を摘んでいるのが凛々しい見た目とのギャップがあって可愛い。
なんかみんなも微笑ましそうに見てるけど、本人は僕のそばにいることで頭が一杯で気づいていないみたいだ。
……弟くん達は『まったくもー』って感じで見てるけど、こちらにも気づいていないようで良かった。
「アッキー、隣はなんの部屋なの?」
いつまでもツヴァイくんの可愛さを堪能もしていられないので、真面目な話をしよう。
ユニさんのお屋敷をもとに考えると執務室の奥は寝室だけど、僕のお屋敷の場合は執務室の奥に2部屋ある。
一体なにとなにの部屋なんだろう?
「隣は寝室だな」
ふむ、執務室の隣は普通に寝室か。
となると、一番奥はなんの部屋だ?
「さて、ここが一応お前の私室ということになる」
そう言って、アッキーが開けたドアの中は僕のユニさんちでの部屋の寝室部分だけを持ってきたような部屋だった。
ただし、やっぱり全体的に小さくなっている。
天蓋付きの豪華なベッドもあるけど、大きさはダブルベッドサイズだ。
1人で寝るには十分だし、2人で寝るのも問題ないけどそれ以上となると厳しいと思う。
え?3人以上で寝ることなんてそんなにないだろつて?
…………僕のことだからないとは言い切れない。
あとはクローゼットや棚なんかの収納関係に、テーブルセットも置いてあって生活するには困らない感じだ。
家具全部に植物の彫刻が彫ってあって、担当した長老さんの気合が感じられる。
本当に、いつかちゃんとお礼しないとなぁ。
それはそれとして、寝室の扉のところにもツタが彫ってあるんだけどこれって……。
「アッキー、ここにも防犯装置あったりするの?」
「ああ、あるが、今のところプライベートエリア入り口と対象を共有している。
後々変えることは可能だが、とりあえずは気にしなくて大丈夫だぞ」
寝室だし、やっぱりあるか。
廊下の入り口と一緒になってるのはなんでか一瞬考えたけど、掃除とかベッドメイクとかのことを考えてかな?
まあ、今のところ問題はないらしいので、みんなで入っていく。
当然だけど、10人以上で入ると流石に狭く感じるな。
寝室の中にはドアがひとつあって、洗面所とトイレになっていた。
寝室についているドアは出入り口と洗面所の2つだけか。
「あれ?談話室的なものはないの?」
みんなと食事したり、会議開いたり便利に使ってたんだけどな。
さらに言うなら、使用人室や調理場もない。
「あちらは客室ということで1間に集めていましたが、本来は談話室も使用人の部屋も調理場も別の部屋に分かれているのが普通ですね。
特に調理場は1階にあったものを使うんだと思います」
そういえば、ユニさんの寝室も単に寝室だけだったな。
「多分、飛ばしてきた部屋の中に談話室と使用人室はあるんじゃないですか?
ね?師匠」
「そうだな、談話室はこの部屋の向かいの並びに、使用人室は執務室を挟んだ向う側にある」
なるほど、このお屋敷が丸々僕の家になるわけだからそりゃそうか。
どうも、1部屋で全て済ます生活に慣れてしまった。
色々コンパクトに纏まってて便利だったんだけどな。
庶民感覚の抜けない僕としてはあれくらいの大きさがちょうどいい。
「えっと、あとなんか仕掛けとかがあったりは?」
「ん?そんなものは無いぞ」
あれ?そうなのか。
ユニさんち基準で考えるとユニさんの寝室キンキラキンだったからちょっと警戒してたけど、意外と普通の寝室だった。
……さっき、庶民感覚が抜けないって言ったけど、このここだけで生活できそうな空間を『普通の寝室』と感じるようになってしまっていたか。
変わってきてしまっている自分の感性にちょっと愕然としたけど、それはそれ。
とりあえず、エルフさんたちの作ってくれた寝室が常識の範囲内でおさまるもので良かった。
「ここにはな」
はぇ?
上機嫌なユニさんの声で思い出した……。
僕はみんなの前で何をやっていたんだ……。
さっきまでのことを思い出して、流石に恥ずかしくなる。
みんなして僕の背後に移動しているからエミールくんを慰めないとってことしか頭に湧いてこなかった。
エミールくんも今更ながらみんなのことを思い出して、恥ずかしそうにしている。
ま、まあ、怖がっちゃってたエミールくんを慰めていただけだし問題はない。
そう自分に言い聞かせることにする。
「さ、さあ、プライベートエリア見に行こうか」
「それはさっき私が言いました」
お、おおう。
落ち着けー、落ち着けー、僕。
ごまかすのは止めて、1度大きく深呼吸する。
「後で私達にもしてくださいね」
「っ!?げほっ!げほっ!げほっ!」
むせた。
落ち着こうとしてるんだから、追い打ちをかけるのは止めて欲しい。
――――――
とりあえずさっきいなかったみんなを執務室に案内して、ミニっくんのことを簡単に説明した。
今呼び出すと、休んでもらう時にまたひと悶着ありそうだったからとりあえずは口頭での説明だけだ。
今度、部屋割りとかが決まった時にまたしっかりと紹介しよう。
執務室を出て、奥の方に歩いていく僕の両腕にはノインくんとツヴァイくんがくっついてる。
ちっちゃなノインくんが腕を抱え込むように抱きついてきたのはともかく、ツヴァイくんまで来たのはちょっとびっくりした。
多分、エミールくんとのことを見て甘えたい欲が振り切っちゃったんだと思う。
恥ずかしそうな感じに僕の袖を摘んでいるのが凛々しい見た目とのギャップがあって可愛い。
なんかみんなも微笑ましそうに見てるけど、本人は僕のそばにいることで頭が一杯で気づいていないみたいだ。
……弟くん達は『まったくもー』って感じで見てるけど、こちらにも気づいていないようで良かった。
「アッキー、隣はなんの部屋なの?」
いつまでもツヴァイくんの可愛さを堪能もしていられないので、真面目な話をしよう。
ユニさんのお屋敷をもとに考えると執務室の奥は寝室だけど、僕のお屋敷の場合は執務室の奥に2部屋ある。
一体なにとなにの部屋なんだろう?
「隣は寝室だな」
ふむ、執務室の隣は普通に寝室か。
となると、一番奥はなんの部屋だ?
「さて、ここが一応お前の私室ということになる」
そう言って、アッキーが開けたドアの中は僕のユニさんちでの部屋の寝室部分だけを持ってきたような部屋だった。
ただし、やっぱり全体的に小さくなっている。
天蓋付きの豪華なベッドもあるけど、大きさはダブルベッドサイズだ。
1人で寝るには十分だし、2人で寝るのも問題ないけどそれ以上となると厳しいと思う。
え?3人以上で寝ることなんてそんなにないだろつて?
…………僕のことだからないとは言い切れない。
あとはクローゼットや棚なんかの収納関係に、テーブルセットも置いてあって生活するには困らない感じだ。
家具全部に植物の彫刻が彫ってあって、担当した長老さんの気合が感じられる。
本当に、いつかちゃんとお礼しないとなぁ。
それはそれとして、寝室の扉のところにもツタが彫ってあるんだけどこれって……。
「アッキー、ここにも防犯装置あったりするの?」
「ああ、あるが、今のところプライベートエリア入り口と対象を共有している。
後々変えることは可能だが、とりあえずは気にしなくて大丈夫だぞ」
寝室だし、やっぱりあるか。
廊下の入り口と一緒になってるのはなんでか一瞬考えたけど、掃除とかベッドメイクとかのことを考えてかな?
まあ、今のところ問題はないらしいので、みんなで入っていく。
当然だけど、10人以上で入ると流石に狭く感じるな。
寝室の中にはドアがひとつあって、洗面所とトイレになっていた。
寝室についているドアは出入り口と洗面所の2つだけか。
「あれ?談話室的なものはないの?」
みんなと食事したり、会議開いたり便利に使ってたんだけどな。
さらに言うなら、使用人室や調理場もない。
「あちらは客室ということで1間に集めていましたが、本来は談話室も使用人の部屋も調理場も別の部屋に分かれているのが普通ですね。
特に調理場は1階にあったものを使うんだと思います」
そういえば、ユニさんの寝室も単に寝室だけだったな。
「多分、飛ばしてきた部屋の中に談話室と使用人室はあるんじゃないですか?
ね?師匠」
「そうだな、談話室はこの部屋の向かいの並びに、使用人室は執務室を挟んだ向う側にある」
なるほど、このお屋敷が丸々僕の家になるわけだからそりゃそうか。
どうも、1部屋で全て済ます生活に慣れてしまった。
色々コンパクトに纏まってて便利だったんだけどな。
庶民感覚の抜けない僕としてはあれくらいの大きさがちょうどいい。
「えっと、あとなんか仕掛けとかがあったりは?」
「ん?そんなものは無いぞ」
あれ?そうなのか。
ユニさんち基準で考えるとユニさんの寝室キンキラキンだったからちょっと警戒してたけど、意外と普通の寝室だった。
……さっき、庶民感覚が抜けないって言ったけど、このここだけで生活できそうな空間を『普通の寝室』と感じるようになってしまっていたか。
変わってきてしまっている自分の感性にちょっと愕然としたけど、それはそれ。
とりあえず、エルフさんたちの作ってくれた寝室が常識の範囲内でおさまるもので良かった。
「ここにはな」
はぇ?
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