いつの間にか異世界転移してイケメンに囲まれていましたが頑張って生きていきます。

アメショもどき

文字の大きさ
上 下
127 / 140
第3章 学園に通おう

107話 小人

しおりを挟む
 認識してしまったからには聞かない訳にはいかない。

 ……いかないかなぁ?

 柱の陰からこちらを見ているちっちゃな、手のひらサイズくらいの人影を見る。

 小さい上に遠くて、年齢とか性別とか顔立ちとか、なにもわかんないけどみんな三角形の帽子を被ってる。

 まるでおとぎ話に出てくる妖精さんみたいだ。

 ……そう、『みんな』なんだよ。

 なんか視界に入るだけで10人近くいそう。

 ひょこひょこ影から影に移動している気配もあるから、実際はもっといる。

 アッキーもなにも言わないし、このまま見なかったことにしちゃだめかなぁ……。

 そんなことを考えながら小人さんを眺めていたら、目があって、恥ずかしそうに隠れちゃった。

 ……ダメなんだろうなぁ。

「あー、アッキー……あのちっちゃい子達は?」

 出来れば見なかったことにしたかったけど、そうはいかないので諦めて一番事情がわかってそうなアッキーに聞く。

「しっ……あまりジロジロ見ないようにな。
 奴らは小心で恥ずかしがり屋だから、あまり見ると居なくなってしまう」

 あー、そういう感じなんだ?

 たしかに、僕と目が合った小人さんも隠れちゃったし、みんなも認識したくないんじゃなくって、そういう理由で見ないようにしていたのかな?

 だけど、その割にはなんか隠れて近寄ってきた子が僕の足登ってきてるんだけど……。

 ねぇ、アッキー?これ大丈夫なやつ?

 ねぇ、気づいてアッキー。

 僕の必死の思いも、チラチラと柱の陰に隠れている小人さんを見ているアッキーには届かない。

「奴らは土の精霊でノームと言う。
 精霊というのは、4大の属性のマナが集まり形を持ったものと言われていて、ほぼ魔力で出来ている。
 人間とは在り方からして異なる生物だな」

 へぇ、どうりで肩に乗っかってもなんの重さも感じないんだ。

 なんか足から登ってきたノームさんが肩の上で落ち着いちゃってる。

 ちっちゃい男の子の人形みたいな見た目で、すごいかわいいんだけど……噛んだりしないよね?

 アッキーに聞きたいけど、なにが刺激になってどうなるかわからないから口を開くことも出来ない。

 アッキーはアッキーで柱のところのノームさんが気になるみたいで、こっちには全然気づいてくれないなぁ。

「ノームに限らず精霊は世界中何処にでも存在するが、基本的にはマナに溶け込んでいて姿を表すことはない。
 例外としてエルフの森のようなマナの特に濃い地域では実体化して目で見ることが出来る。
 と言っても、エルフの森は土のマナが濃いからノーム、といったように特定の精霊だけだがな」

 へー、そうなんだ。

 ところで、肩の上のノームさん、なんか僕の頬にチュッチュって何度も口つけてるけどこれキスでいいんだよね?

 味見じゃないよね?

「小心ではあるが好奇心旺盛でもあるからな、この屋敷が珍しくて中に入ってみてそのまま一緒にアポートされてしまったんだろう。
 そのうちにマナに溶けて消えてしまうから気にしなくていい。
 変に脅かしたりしなければ害はないし、むしろ見たものに幸運をもたらすとも言われている。
 実際的な利点も少しあるしな」

 あ、ほんと?

 害無いんだ?

 それじゃ、このほっぺた突き出してどう見てもキス待ちのノームさんにキスしちゃっても大丈夫かな?

 キスしてくれるまでどかないぞって感じで邪魔なんだ。

 なんか見かけによらないすごい力で顔押さえられちゃってるし、諦めてキスしよう。

 チュッと、軽くキスするとノームさんは嬉しそうに笑ったあとスウッと消えてしまった。

 えっ!?成仏っ!?今の成仏的なアレッ!?

 も、もしかして今のがアッキーの言ってた『マナに溶けて消える』ってやつっ!?

「ア、アッキー、ノームさんマナに溶けて消えるとどうなっちゃうの?
 死んじゃうの?」

「いや、隠れてしまう的な感じだな。
 奴らに死という概念はないから、気が向いたりマナが濃くなったりすれば出てくるぞ」

 よ、良かったぁ……。

 キスしたせいでノームさんが死んじゃったりなんかしたらトラウマになるところだった。

「ああ、そういえばお前は精霊の巫女だったな。
 無駄に魔力振りまいてるしもしかしたら奴らにも好かれるかもな。
 お前と同じ体質の長老の爺達なんかも色々いたずらされて大変みたいだぞ」

 そう言って、僕を見て意地悪そうな笑いを浮かべるアッキー。

 うん、確かにもうすでにアッキーから隠れるためにノームさんの1人が後頭部にしがみついててちょっと痛い。
 
 そういえば前にアッキーが何百年か前は僕みたいな魔力を周りに振りまく人がいて精霊に好かれてたとか言ってたっけ。

 なんかまた別のノームさんが足から登ってきてるけど、これは一応好かれてるってことなんだろうか?

 ノームさん達は誰かに見られそうになると僕の体の影に隠れたり、消えちゃったりするので今や僕の体がノームさんだらけなことに誰も気づいてくれない。

「えっと、本当にノームさんたちに害ってないの?
 なんか吸い取られて死んじゃったり」

 僕の体にくっついてるノームさんたちの結構な人数が、僕の肌にチューチュー吸い付いてきててちょっと怖いんだけど。

「我々もきちんとした生態を知っているわけではないが、いたずら好きという以外に害という害は聞いたことはないな。
 爺共もよく物を隠されるらしいが、隠されたものを見つけるとたいてい一緒に宝石が置いてあったりするらしい。
 宝探しで遊んでくれたお礼みたいな感じだろうと言ってたな」

「あとは、ノームと言えば働き者のところに来てちょっとした幸運をもたらして帰っていくとかっておとぎ話がありますね。
 善良な働き者の職人の家に夜やってきて、素晴らしい宝飾品を作っていってくれるとか。
 基本的には善良なものという書かれ方で悪い話は聞きませんよ」

 そうなんだ?

 なんか体中で一斉に可愛らしくドヤってるし、確かに悪いものって感じはしない。

 ちょっと安心した。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

大好きな兄ちゃんにアナニーをみせる弟!

ミクリ21
BL
お兄ちゃんにアナニーをみせる弟の話。

処理中です...