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第3章 学園に通おう
107話 小人
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認識してしまったからには聞かない訳にはいかない。
……いかないかなぁ?
柱の陰からこちらを見ているちっちゃな、手のひらサイズくらいの人影を見る。
小さい上に遠くて、年齢とか性別とか顔立ちとか、なにもわかんないけどみんな三角形の帽子を被ってる。
まるでおとぎ話に出てくる妖精さんみたいだ。
……そう、『みんな』なんだよ。
なんか視界に入るだけで10人近くいそう。
ひょこひょこ影から影に移動している気配もあるから、実際はもっといる。
アッキーもなにも言わないし、このまま見なかったことにしちゃだめかなぁ……。
そんなことを考えながら小人さんを眺めていたら、目があって、恥ずかしそうに隠れちゃった。
……ダメなんだろうなぁ。
「あー、アッキー……あのちっちゃい子達は?」
出来れば見なかったことにしたかったけど、そうはいかないので諦めて一番事情がわかってそうなアッキーに聞く。
「しっ……あまりジロジロ見ないようにな。
奴らは小心で恥ずかしがり屋だから、あまり見ると居なくなってしまう」
あー、そういう感じなんだ?
たしかに、僕と目が合った小人さんも隠れちゃったし、みんなも認識したくないんじゃなくって、そういう理由で見ないようにしていたのかな?
だけど、その割にはなんか隠れて近寄ってきた子が僕の足登ってきてるんだけど……。
ねぇ、アッキー?これ大丈夫なやつ?
ねぇ、気づいてアッキー。
僕の必死の思いも、チラチラと柱の陰に隠れている小人さんを見ているアッキーには届かない。
「奴らは土の精霊でノームと言う。
精霊というのは、4大の属性のマナが集まり形を持ったものと言われていて、ほぼ魔力で出来ている。
人間とは在り方からして異なる生物だな」
へぇ、どうりで肩に乗っかってもなんの重さも感じないんだ。
なんか足から登ってきたノームさんが肩の上で落ち着いちゃってる。
ちっちゃい男の子の人形みたいな見た目で、すごいかわいいんだけど……噛んだりしないよね?
アッキーに聞きたいけど、なにが刺激になってどうなるかわからないから口を開くことも出来ない。
アッキーはアッキーで柱のところのノームさんが気になるみたいで、こっちには全然気づいてくれないなぁ。
「ノームに限らず精霊は世界中何処にでも存在するが、基本的にはマナに溶け込んでいて姿を表すことはない。
例外としてエルフの森のようなマナの特に濃い地域では実体化して目で見ることが出来る。
と言っても、エルフの森は土のマナが濃いからノーム、といったように特定の精霊だけだがな」
へー、そうなんだ。
ところで、肩の上のノームさん、なんか僕の頬にチュッチュって何度も口つけてるけどこれキスでいいんだよね?
味見じゃないよね?
「小心ではあるが好奇心旺盛でもあるからな、この屋敷が珍しくて中に入ってみてそのまま一緒にアポートされてしまったんだろう。
そのうちにマナに溶けて消えてしまうから気にしなくていい。
変に脅かしたりしなければ害はないし、むしろ見たものに幸運をもたらすとも言われている。
実際的な利点も少しあるしな」
あ、ほんと?
害無いんだ?
それじゃ、このほっぺた突き出してどう見てもキス待ちのノームさんにキスしちゃっても大丈夫かな?
キスしてくれるまでどかないぞって感じで邪魔なんだ。
なんか見かけによらないすごい力で顔押さえられちゃってるし、諦めてキスしよう。
チュッと、軽くキスするとノームさんは嬉しそうに笑ったあとスウッと消えてしまった。
えっ!?成仏っ!?今の成仏的なアレッ!?
も、もしかして今のがアッキーの言ってた『マナに溶けて消える』ってやつっ!?
「ア、アッキー、ノームさんマナに溶けて消えるとどうなっちゃうの?
死んじゃうの?」
「いや、隠れてしまう的な感じだな。
奴らに死という概念はないから、気が向いたりマナが濃くなったりすれば出てくるぞ」
よ、良かったぁ……。
キスしたせいでノームさんが死んじゃったりなんかしたらトラウマになるところだった。
「ああ、そういえばお前は精霊の巫女だったな。
無駄に魔力振りまいてるしもしかしたら奴らにも好かれるかもな。
お前と同じ体質の長老の爺達なんかも色々いたずらされて大変みたいだぞ」
そう言って、僕を見て意地悪そうな笑いを浮かべるアッキー。
うん、確かにもうすでにアッキーから隠れるためにノームさんの1人が後頭部にしがみついててちょっと痛い。
そういえば前にアッキーが何百年か前は僕みたいな魔力を周りに振りまく人がいて精霊に好かれてたとか言ってたっけ。
なんかまた別のノームさんが足から登ってきてるけど、これは一応好かれてるってことなんだろうか?
ノームさん達は誰かに見られそうになると僕の体の影に隠れたり、消えちゃったりするので今や僕の体がノームさんだらけなことに誰も気づいてくれない。
「えっと、本当にノームさんたちに害ってないの?
なんか吸い取られて死んじゃったり」
僕の体にくっついてるノームさんたちの結構な人数が、僕の肌にチューチュー吸い付いてきててちょっと怖いんだけど。
「我々もきちんとした生態を知っているわけではないが、いたずら好きという以外に害という害は聞いたことはないな。
爺共もよく物を隠されるらしいが、隠されたものを見つけるとたいてい一緒に宝石が置いてあったりするらしい。
宝探しで遊んでくれたお礼みたいな感じだろうと言ってたな」
「あとは、ノームと言えば働き者のところに来てちょっとした幸運をもたらして帰っていくとかっておとぎ話がありますね。
善良な働き者の職人の家に夜やってきて、素晴らしい宝飾品を作っていってくれるとか。
基本的には善良なものという書かれ方で悪い話は聞きませんよ」
そうなんだ?
なんか体中で一斉に可愛らしくドヤってるし、確かに悪いものって感じはしない。
ちょっと安心した。
……いかないかなぁ?
柱の陰からこちらを見ているちっちゃな、手のひらサイズくらいの人影を見る。
小さい上に遠くて、年齢とか性別とか顔立ちとか、なにもわかんないけどみんな三角形の帽子を被ってる。
まるでおとぎ話に出てくる妖精さんみたいだ。
……そう、『みんな』なんだよ。
なんか視界に入るだけで10人近くいそう。
ひょこひょこ影から影に移動している気配もあるから、実際はもっといる。
アッキーもなにも言わないし、このまま見なかったことにしちゃだめかなぁ……。
そんなことを考えながら小人さんを眺めていたら、目があって、恥ずかしそうに隠れちゃった。
……ダメなんだろうなぁ。
「あー、アッキー……あのちっちゃい子達は?」
出来れば見なかったことにしたかったけど、そうはいかないので諦めて一番事情がわかってそうなアッキーに聞く。
「しっ……あまりジロジロ見ないようにな。
奴らは小心で恥ずかしがり屋だから、あまり見ると居なくなってしまう」
あー、そういう感じなんだ?
たしかに、僕と目が合った小人さんも隠れちゃったし、みんなも認識したくないんじゃなくって、そういう理由で見ないようにしていたのかな?
だけど、その割にはなんか隠れて近寄ってきた子が僕の足登ってきてるんだけど……。
ねぇ、アッキー?これ大丈夫なやつ?
ねぇ、気づいてアッキー。
僕の必死の思いも、チラチラと柱の陰に隠れている小人さんを見ているアッキーには届かない。
「奴らは土の精霊でノームと言う。
精霊というのは、4大の属性のマナが集まり形を持ったものと言われていて、ほぼ魔力で出来ている。
人間とは在り方からして異なる生物だな」
へぇ、どうりで肩に乗っかってもなんの重さも感じないんだ。
なんか足から登ってきたノームさんが肩の上で落ち着いちゃってる。
ちっちゃい男の子の人形みたいな見た目で、すごいかわいいんだけど……噛んだりしないよね?
アッキーに聞きたいけど、なにが刺激になってどうなるかわからないから口を開くことも出来ない。
アッキーはアッキーで柱のところのノームさんが気になるみたいで、こっちには全然気づいてくれないなぁ。
「ノームに限らず精霊は世界中何処にでも存在するが、基本的にはマナに溶け込んでいて姿を表すことはない。
例外としてエルフの森のようなマナの特に濃い地域では実体化して目で見ることが出来る。
と言っても、エルフの森は土のマナが濃いからノーム、といったように特定の精霊だけだがな」
へー、そうなんだ。
ところで、肩の上のノームさん、なんか僕の頬にチュッチュって何度も口つけてるけどこれキスでいいんだよね?
味見じゃないよね?
「小心ではあるが好奇心旺盛でもあるからな、この屋敷が珍しくて中に入ってみてそのまま一緒にアポートされてしまったんだろう。
そのうちにマナに溶けて消えてしまうから気にしなくていい。
変に脅かしたりしなければ害はないし、むしろ見たものに幸運をもたらすとも言われている。
実際的な利点も少しあるしな」
あ、ほんと?
害無いんだ?
それじゃ、このほっぺた突き出してどう見てもキス待ちのノームさんにキスしちゃっても大丈夫かな?
キスしてくれるまでどかないぞって感じで邪魔なんだ。
なんか見かけによらないすごい力で顔押さえられちゃってるし、諦めてキスしよう。
チュッと、軽くキスするとノームさんは嬉しそうに笑ったあとスウッと消えてしまった。
えっ!?成仏っ!?今の成仏的なアレッ!?
も、もしかして今のがアッキーの言ってた『マナに溶けて消える』ってやつっ!?
「ア、アッキー、ノームさんマナに溶けて消えるとどうなっちゃうの?
死んじゃうの?」
「いや、隠れてしまう的な感じだな。
奴らに死という概念はないから、気が向いたりマナが濃くなったりすれば出てくるぞ」
よ、良かったぁ……。
キスしたせいでノームさんが死んじゃったりなんかしたらトラウマになるところだった。
「ああ、そういえばお前は精霊の巫女だったな。
無駄に魔力振りまいてるしもしかしたら奴らにも好かれるかもな。
お前と同じ体質の長老の爺達なんかも色々いたずらされて大変みたいだぞ」
そう言って、僕を見て意地悪そうな笑いを浮かべるアッキー。
うん、確かにもうすでにアッキーから隠れるためにノームさんの1人が後頭部にしがみついててちょっと痛い。
そういえば前にアッキーが何百年か前は僕みたいな魔力を周りに振りまく人がいて精霊に好かれてたとか言ってたっけ。
なんかまた別のノームさんが足から登ってきてるけど、これは一応好かれてるってことなんだろうか?
ノームさん達は誰かに見られそうになると僕の体の影に隠れたり、消えちゃったりするので今や僕の体がノームさんだらけなことに誰も気づいてくれない。
「えっと、本当にノームさんたちに害ってないの?
なんか吸い取られて死んじゃったり」
僕の体にくっついてるノームさんたちの結構な人数が、僕の肌にチューチュー吸い付いてきててちょっと怖いんだけど。
「我々もきちんとした生態を知っているわけではないが、いたずら好きという以外に害という害は聞いたことはないな。
爺共もよく物を隠されるらしいが、隠されたものを見つけるとたいてい一緒に宝石が置いてあったりするらしい。
宝探しで遊んでくれたお礼みたいな感じだろうと言ってたな」
「あとは、ノームと言えば働き者のところに来てちょっとした幸運をもたらして帰っていくとかっておとぎ話がありますね。
善良な働き者の職人の家に夜やってきて、素晴らしい宝飾品を作っていってくれるとか。
基本的には善良なものという書かれ方で悪い話は聞きませんよ」
そうなんだ?
なんか体中で一斉に可愛らしくドヤってるし、確かに悪いものって感じはしない。
ちょっと安心した。
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