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第3章 学園に通おう
101話 再び
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今日も小さな手が僕の体を揺すっている。
「おきてー、おにいちゃん、おきてー」
バナくんが僕を起こそうと体を揺すってくれている。
日常生活のお手伝いはバナくんとエミールくんにやってもらうことになったけど、朝のルーチンワークはいつもどおりみんなで順番のはずだ。
今日担当のムーサくんに代わってもらったのかな?
となると……。
「……お、起きてください、お兄様、起きてください」
バナくんとは反対側から、バナくんより大きな手で体を揺すられる。
やっぱりエミールくんもいたみたいだ。
二人がかりで起こされてしまっては仕方ない。
ここは素直に……。
「おにいちゃん、おきないとまたチューするよー」
なんと。
昨日に続いて今日もチューしてくれるとなったら起きる訳にはいかない。
「ほら、エミくんも」
「えっ、えっ?……あの……お兄様……起きてくれないと……あの……チューを……」
え?エミールくんもチューしてくれるの?
い、いや、どう考えてもこれはバナくんに無理矢理言わされてるやつだ。
流石にこれは起きなきゃマズイ。
「ちゅっ」
慌てて目を開けようとしたら、先におでこに柔らかい唇を押し付けられた。
お、おおう、もうチューされてしまった。
おでこってことはエミールくんだろうから、恥ずかしくて早いところ済ませたくなったのかな?
流石に無理強いするのは良くない。
バナくんには少し驚いてもらうことにしよう。
そう思って、近づいてきている気配のする顔をつかんで唇を押し付ける。
その勢いのままちょっとカサついた唇を割りいって、ベロを口内に侵入させる。
「むぅっ!?むーっ!!むううっ!!」
そして暴れる相手を抱きしめながら固く縮こまっているベロを舐め回す。
「むうううっ!むうっ…………むうー……」
暴れていた身体がだんだん大人しくなっていくのと合わせて、エミールくんのベロも柔らかくなって少しだけ僕のベロに絡んでくるようになってきた。
……さて、土下座の準備を始めようか。
2日連続のキス誤爆をやらかしてひたすら土下座する僕をエミールくんは寛大にも許してくれた。
もう寝起きのキスで驚かせようとかは絶対にやめようと思う。
……少なくとも、恋人以外の子がいる時は。
ま、まあ、僕としては実に良い目覚めだし、朝から僕とエミールくんが濃厚に仲良くしているのを見てバナくんは大変満足げだ。
エミールくんも怒ったり僕から逃げようとしてたりってこともないし、そんなに気にしていない……と願おう。
起きたあとの着替えとお風呂はいつもの順番通りムーサくんがやってくれた。
そして、恒例となった朝の食事会は、今日はアッキーがお屋敷を建ててくれるという大イベントがあることもあって朝に弱いドラゴニュートの子たちも含めて全員が参加していた。
10人以上が一堂に会しているだけあって、だいぶ賑やかなことになっている。
「あ、あの、す、すみません、お兄様、パンのおかわりをお持ちしました。
お、遅くなってしまって、ご、ごめんなさい……」
「ううん、ありがとう、エミールくん」
オドオドしながらパンの入ったバスケットを置いてくれるエミールくんに笑顔でお礼をいう。
エミールくんはお客様なんだから……と少し思ったけど、もうバナくんはエミールくんを『お手伝い仲間』だと思い込んでいるし、昨日の打ち合わせでもとりあえずこのまま様子を見てみようってことになったのでヴィンターさんのお手伝いをしてもらっている。
今のエミールくんが僕の恋人たちの中に放り込まれても馴染めるか不安があるし、忙しそうに僕の世話をしているのが相変わらず少し楽しそうに見えるし、とりあえずはこういうのもありなのかもしれない。
このままゆっくりと馴染んでいってくれたら良いな。
そんなことを考えながらエミールくんを目で追っていたら、バナくんのところに行ったエミールくんがバナくんになにか指示されてるっぽい。
まあ、お手伝いに関してはバナくんが主導権握ってる感じだし、なにか新しいこと言いつかってるのかな?
奴隷の子と元貴族の子ってことを考えると、色々問題あるのかもしれないけど本人たちは気にしてなさそうだから良いんだろう。
「あ、あの……お兄様……」
「どうしたの?」
スープのおかわりが必要か聞いてこいとか言われたのかな?
それにしてはエミールくんは僕の椅子の横にひざまずくように身をかがめて、ずいぶんかしこまっているようにみえる。
椅子に座る僕を見上げる顔も少し恥ずかしそうだし、どうしたんだろう?
「あ、あの……し、仕事をしたら、ご、ご褒美のキスをしてもらってこいって……」
エミールくんの声は僕にだけ届く程度の小さな声だったけど、言った瞬間部屋の空気が変わったのが分かった。
エミールくんは戸惑うように視線を動かしているけど、部屋の空気の変化に気づいたわけじゃないだろう。
気づいていたら……みんなが先程までと変わらないことをしながら、でも、チラチラとエミールくんと僕を見ていることに気づいていたらこの程度の反応では済まなかっただろう。
どうしたものか……そう思っているうちに、視界の隅のバナくんの頬がぷくーっとしてきてる。
これは……諦めるしか無いな。
そう覚悟を決めて、できる限りみんなから隠れているつもりでいるらしいエミールくんのおでこに静かにキスをした。
「あの……ご、ごめんなさい……あ、ありがとうございます……」
エミールくんは恥ずかしそうにしながら、ちょっと早足でバナくんのところに戻っていった。
残された僕にみんなの視線が突き刺さる。
……これは……これからはなにかしてもらったらみんなにもご褒美のキスだな……。
バナくんに笑いかけられて、ほんの少しだけ笑い返しているエミールくんの初めての笑顔を見ながらそんなことを思った。
「おきてー、おにいちゃん、おきてー」
バナくんが僕を起こそうと体を揺すってくれている。
日常生活のお手伝いはバナくんとエミールくんにやってもらうことになったけど、朝のルーチンワークはいつもどおりみんなで順番のはずだ。
今日担当のムーサくんに代わってもらったのかな?
となると……。
「……お、起きてください、お兄様、起きてください」
バナくんとは反対側から、バナくんより大きな手で体を揺すられる。
やっぱりエミールくんもいたみたいだ。
二人がかりで起こされてしまっては仕方ない。
ここは素直に……。
「おにいちゃん、おきないとまたチューするよー」
なんと。
昨日に続いて今日もチューしてくれるとなったら起きる訳にはいかない。
「ほら、エミくんも」
「えっ、えっ?……あの……お兄様……起きてくれないと……あの……チューを……」
え?エミールくんもチューしてくれるの?
い、いや、どう考えてもこれはバナくんに無理矢理言わされてるやつだ。
流石にこれは起きなきゃマズイ。
「ちゅっ」
慌てて目を開けようとしたら、先におでこに柔らかい唇を押し付けられた。
お、おおう、もうチューされてしまった。
おでこってことはエミールくんだろうから、恥ずかしくて早いところ済ませたくなったのかな?
流石に無理強いするのは良くない。
バナくんには少し驚いてもらうことにしよう。
そう思って、近づいてきている気配のする顔をつかんで唇を押し付ける。
その勢いのままちょっとカサついた唇を割りいって、ベロを口内に侵入させる。
「むぅっ!?むーっ!!むううっ!!」
そして暴れる相手を抱きしめながら固く縮こまっているベロを舐め回す。
「むうううっ!むうっ…………むうー……」
暴れていた身体がだんだん大人しくなっていくのと合わせて、エミールくんのベロも柔らかくなって少しだけ僕のベロに絡んでくるようになってきた。
……さて、土下座の準備を始めようか。
2日連続のキス誤爆をやらかしてひたすら土下座する僕をエミールくんは寛大にも許してくれた。
もう寝起きのキスで驚かせようとかは絶対にやめようと思う。
……少なくとも、恋人以外の子がいる時は。
ま、まあ、僕としては実に良い目覚めだし、朝から僕とエミールくんが濃厚に仲良くしているのを見てバナくんは大変満足げだ。
エミールくんも怒ったり僕から逃げようとしてたりってこともないし、そんなに気にしていない……と願おう。
起きたあとの着替えとお風呂はいつもの順番通りムーサくんがやってくれた。
そして、恒例となった朝の食事会は、今日はアッキーがお屋敷を建ててくれるという大イベントがあることもあって朝に弱いドラゴニュートの子たちも含めて全員が参加していた。
10人以上が一堂に会しているだけあって、だいぶ賑やかなことになっている。
「あ、あの、す、すみません、お兄様、パンのおかわりをお持ちしました。
お、遅くなってしまって、ご、ごめんなさい……」
「ううん、ありがとう、エミールくん」
オドオドしながらパンの入ったバスケットを置いてくれるエミールくんに笑顔でお礼をいう。
エミールくんはお客様なんだから……と少し思ったけど、もうバナくんはエミールくんを『お手伝い仲間』だと思い込んでいるし、昨日の打ち合わせでもとりあえずこのまま様子を見てみようってことになったのでヴィンターさんのお手伝いをしてもらっている。
今のエミールくんが僕の恋人たちの中に放り込まれても馴染めるか不安があるし、忙しそうに僕の世話をしているのが相変わらず少し楽しそうに見えるし、とりあえずはこういうのもありなのかもしれない。
このままゆっくりと馴染んでいってくれたら良いな。
そんなことを考えながらエミールくんを目で追っていたら、バナくんのところに行ったエミールくんがバナくんになにか指示されてるっぽい。
まあ、お手伝いに関してはバナくんが主導権握ってる感じだし、なにか新しいこと言いつかってるのかな?
奴隷の子と元貴族の子ってことを考えると、色々問題あるのかもしれないけど本人たちは気にしてなさそうだから良いんだろう。
「あ、あの……お兄様……」
「どうしたの?」
スープのおかわりが必要か聞いてこいとか言われたのかな?
それにしてはエミールくんは僕の椅子の横にひざまずくように身をかがめて、ずいぶんかしこまっているようにみえる。
椅子に座る僕を見上げる顔も少し恥ずかしそうだし、どうしたんだろう?
「あ、あの……し、仕事をしたら、ご、ご褒美のキスをしてもらってこいって……」
エミールくんの声は僕にだけ届く程度の小さな声だったけど、言った瞬間部屋の空気が変わったのが分かった。
エミールくんは戸惑うように視線を動かしているけど、部屋の空気の変化に気づいたわけじゃないだろう。
気づいていたら……みんなが先程までと変わらないことをしながら、でも、チラチラとエミールくんと僕を見ていることに気づいていたらこの程度の反応では済まなかっただろう。
どうしたものか……そう思っているうちに、視界の隅のバナくんの頬がぷくーっとしてきてる。
これは……諦めるしか無いな。
そう覚悟を決めて、できる限りみんなから隠れているつもりでいるらしいエミールくんのおでこに静かにキスをした。
「あの……ご、ごめんなさい……あ、ありがとうございます……」
エミールくんは恥ずかしそうにしながら、ちょっと早足でバナくんのところに戻っていった。
残された僕にみんなの視線が突き刺さる。
……これは……これからはなにかしてもらったらみんなにもご褒美のキスだな……。
バナくんに笑いかけられて、ほんの少しだけ笑い返しているエミールくんの初めての笑顔を見ながらそんなことを思った。
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