いつの間にか異世界転移してイケメンに囲まれていましたが頑張って生きていきます。

アメショもどき

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第3章 学園に通おう

99話 仕事

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「続いて、同じく人材登用メファート」

 ミゲルくんに指名されて立ち上がるメファートくん。

 メファートくんもミゲルくんと同じく使用人や家臣を探してくれている。

「はい。私の方はサクラハラ領の代官を通じて、領内からの募集を進めています」

 そうそう、色々話し合った結果、結局のところ領内出身の人はいた方がいい……というか、いないといけないということで代官さんに募集をお願いすることになった。

 なんせその代官さん自体が、ユニさんちから借りている人なんだから、他に後々代官になってもらう領地に詳しい人を探さない訳にはいかない。

 これは僕が男爵を続けようが、エミールくんに譲ろうが同じ話だ。

「本日、依頼は出しましたのであとは向こうでの選考を待つことになります。
 結果が出るのは大分先のこととなりますが、主さま自ら最終選考を行うか、主さまが領地に赴くか、選考者を王都に呼ぶか等考えておいていただければと思います」

 了解、分かりました。

「それと、もうしばらく先……そうですね、学園に入って落ち着いた頃にでも直接サクラハラ領に出向いて代官に挨拶をするつもりです。
 その際に主さまもご同行いただくか、考えておいてください」

 僕の領地かぁ……エミールくんを引き受けた時に、少なくともエミールくんに譲るまでは男爵でいることには覚悟を決めたけど領地に顔を出すかまでは少し考えてみないとなぁ。

 領地には顔を出さない貴族様とかもいるみたいだし、今後のことを考えるとエミールくんを前面に押し出したほうがいいのかもしれない。

 ここらへんはエミールくんの様子も見ながら、相談してみよう。

「うん、分かった。考えてみるね」

「よろしくお願いいたします」

 うなずく僕に一礼を返して、メファートくんが椅子に座る。

「では、続いて、普請について、ムーサ」

「はい」

 さて、ムーサくんの方はどんな感じかな?



 ミゲルくんに呼ばれ立ち上がったムーサくんを見る。

 ムーサくんは普請……要するにサクラハラ家でやる仕事関係のことをやってくれている。

 後々、本格的な領地経営に乗り出すようになったら、街並みの計画や、道路を作る作業なんかの公共事業の話が出てくるらしいけど、今のサクラハラ家の仕事と言ったら寮の話だ。

 サクラハラ寮、紛らわしいけどこっちは学園生の住む寮の話。

 寮の家具の入れ替えとかの入寮のための準備を全てムーサくんが担当してくれている。
 
 さて、順調に進んでいるといいけど。

「寮についてですが、現在のところなにも問題ありません」

 ……。

「……え?それだけ?」

「え、あ、はい。
 現在、学生寮の整備については全て計画通り順調に進んでいまして、特にご報告に上げることはありません」

 お、おおう。

 家具の入れ替えの他にも掃除やら改装やらでいろんな業者さんに頼まなきゃいけないって話を聞いてたけど、全部問題なく進んでいるのか。

 ほんと、有能だなぁ、この子達。

「……あっ、あえて言えばひとつ。
 バナとエミール様についてはいかが致しましょうか?」

 バナくんとエミールくん?

 バナくんは懐いているヴィンターさんと同室にして、まあちょっとした『お手伝い』でもやっててもらおうかって話だったけど。

「バナですが、当初の計画では名目上だけの『使用人』として入寮させる予定でしたが、今の様子を見る限り想像以上にきちんと働いてくれています。
 礼儀作法の面で難がありますので一人前、とまでは行きませんが主さまの生活のお手伝いに限ればある程度任せられるかと思います」

 ムーサくんの話を聞いて、壁際で待機しているヴィンターさんを見ると、ちょっと小首を傾げたあと頷いていた。

 あれは……『ちょっと不安はあるけど、まあ及第点』って感じかな?

「え?それじゃ、バナくんも戦力に数えちゃっていいってこと?」

「主さまのお手伝いと限定させていただければ、可能だと思います」

 おおう。たしかに色々僕の世話焼いてくれてたけど、想像以上に頑張っていたみたいだバナくん。

「えっと、それじゃ、その件は僕の方からバナくんに話してみるね」

「お願いいたします。
 その結果次第で、使用人のシフトを少しイジりたいと思います」

 どうなるかは聞いてみないと分からないけど、『これからも僕のお世話焼いてくれない?』って話ならバナくん喜んて頷いてくれそうな気はする。

 ……ちょっとプロポーズっぽいから言い方は気をつけよう。

「それと、エミール様の件ですが……」

 エミールくんはとりあえず一人で部屋に入ってもらって、状況を見て僕やもう一人入るって人と二人部屋にするかどうするかって話だったと思ったけど……。

「今日の主さまの話を聞いて、ただの『客人』として入寮させるより、バナと同じく多少の『お手伝い』をしてもらうのも良いのではと少し思いました」

 ……なるほど、色々体動かしていたほうが気が紛れるっていうのもあるかもしれないしな。

 状況的に学園に素直に通いやすいとは言えない状況だし、それはそれでありかもなぁ。

 とはいえ。

「それに関しては、もうちょっと状況を見てからにしよう。
 寮の場合だと他の人の目もあるし」

 僕のお世話に関しては今は少し楽しそうに見えるけど、これから先どうなるか分からない。

 それになにより、寮にはまだ詳細不明の外部の人がひとり入る予定だ。

 それ以外にも学園の中の寮ってことでユニさんのお屋敷と違って人目がまったくないとはいえないからなぁ。

 ちょっと、この件に関しては状況を見極めてからだ。

「承知いたしました」

「ごめんね。
 みんなも、この件についてはどうしたほうが良さそうかエミールくんの様子見て考えてくれると助かります」

 参加者を見回して頭を下げると、みんなうなずき返してくれた。

「それと、それ聞いてて思い出したんだけど、ユニさん、謎の外部の人ってまだ公表できないの?」

 寮の話が出た時に『入るかもしれない』とだけ言われてそのままなんだけど……。

「すみません、まだ未定です。
 声はかけているんですが、なかなか良い返事がもらえなくて。
 下手に強要して話がこじれると面倒なことになるので慎重にならざるを得なくて」

 苦笑いしているし結構面倒な話なのかもしれない。

 というか、こっちから呼び寄せてる形だったのか。

 本当にどういう人なんだろう?

「そういうことなら仕方ないね。
 でも、話が決まったらできるだけ早く教えてください」

「すみません、分かりました」

 ユニさんも申し訳無さそうにしてるけど、これはちゃんと釘刺しておかないとな。

 入寮者1人不明のままじゃ準備も大変だろうし。
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