いつの間にか異世界転移してイケメンに囲まれていましたが頑張って生きていきます。

アメショもどき

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第3章 学園に通おう

62話 里の意向

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 ミッくんの発言で緩みかけていた場の空気がまた硬くなってしまった。

「えっと、それはどういう事?」

「うむ。
 エルフの里にサルを少子化担当の顧問として招聘しようと言う意志があるのは事実だ」

「……それは、強制的にですか?」

 ユニさんの言葉を聞いて場の空気が一層固くなる。

「いや、あくまでそういう意志があるというだけだ。
 兄上の仰ったとおり、里にサルの意向を無視するという考えはない。
 打診してサルが来てくれると言うなら喜んでお招きするといった感じだな」

 強制的に連れて行くような考えはないと聞いて、みんなの空気が弛緩する。

 僕もちょっとホッとした。

 無理矢理なんとかしようというのなら、僕もなんとか長老さんたちを説得しないといけないところだった。

「理由をお聞きしてもよろしいですか?
 ハルが貴方がたの恋人だから、という訳だけではないでしょう?」

 不思議そうな顔で問いかけるユニさん。

 実際僕も不思議だ。

 確かにアッキーやミッくんには色々やったけど、それでエルフ全体がどうにかなるとは思えないし……。

 僕に出来ることと言ったらエッチを教えるくらいで、それなら僕に限らずにいくらでも人はいるだろう。

「うむ、ここで言えるのはサルには我らの問題を根本的に解決する力があるかもしれない、ということだな。
 すまぬが、それ以上はまだ未確定な事が多すぎてこの場で話すわけにはいかん」

 ぼ、僕にそんな力がっ!?

 ……あるとは思えないんだけどなぁ。

 エルフの人たちみんなとエッチするとかは流石に嫌だぞ。

「主さまに危険とかはないのですか?」

「うむ、それは我が確かに保証しよう」

 心配そうに言うミゲルくんに、しっかりと頷くミッくん。

「それなら、あとは条件次第だと思いますが……」

 そう言ってみんなを見回すミゲルくん。

 みんなも、今のところでの反対意見はなくってとりあえずは話を聞いてみようって感じだ。

「そうだな、まずハルの衣食住については里で保証することが決まっている。
 現在、屋敷を建設中だ」

「待った」

 話に割り込んできた僕を不思議そうな顔で見るミッくん。

 そりゃ割り込むさ。

「僕そんな話一切聞いてないんだけど?」

 エルフの里に屋敷が出来るなんて話すら聞いてなかったのに、『建設中』ってどゆこと?

「だって、屋敷がないとサルが遊びに来た時に寝るところがないじゃないか」

 さも当然っていう風に言われた。

 あー、いや、まあそう言われればそうなのかもしれないけど……。

「えっと、ミッくんの家とかは?」

 僕の言葉に不思議そうな顔をするミッくん。

「あー、ハルよ。
 我らエルフは基本、お前らの言うところの野宿生活のような感じでな。
 いわゆる家という物を持たん。
 たしかに、ハルが里に来るなら屋敷のひとつも建てておかんと不便であろうな」

 エルフってそんな感じなんだ?

 そういえば病気とかもしないって言ってたし、家とかなくてもそれほど不便じゃないのかもしれない。

 ……だからアッキーも冒険者生活に抵抗ないのか。

「た、建てちゃダメだったか?サルの家」

 不安そうな顔になっちゃってるミッくん。

 えっと、正直なところそこまでしてくれなくてもとは思うけど、ここはミッくんの気持ちをありがたく受け取ろう。

「ううん、そういうことなら嬉しいよ。
 いつか、建ててくれた家を見に行かせてもらうね」

 笑いながら頭を撫でると、ミッくんもホッとしたように笑ってくれる。

「うむ、いつでも遊びに来るがよい。
 いや、この際、里に移住してくるがよい。
 先程の話の続きだが、屋敷の使用人については里で雇うということで決まっている。
 人選についてはもちろんサルに一任されている」

「つまり、ボクたちがこのまま主さまの家臣としてついて行ったとしても……」

「うむ、生活は全て里が保証しよう」

 ミゲルくんの質問に、笑顔でうなずくミッくん。

 つまり、ボクの仕事が男爵から少子化対策担当顧問とやらに変わるだけで、ボクの家臣や使用人たちとの関係はたいして変わらないのか。

「さらに、サルの顧問就任後は、正式に王国との国交を結んで大使館を設置することとしている。
 そして、大使としてはユニコロメドを指名する事に決まっている」

「我が国と国交をですかっ!?」

 驚愕ってレベルで驚いているユニさん。

「そんなにすごいことなの?」

 いや、まあ、エルフがすごいのは知ってるけど。

「すごいなんてレベルの話じゃないです。
 今までの歴史でエルフと正式な国交を結んだ国なんてありませんでしたから。
 前代未聞のこと過ぎて利があるのか害があるのかすら分かりませんが、断る国はないでしょう。
 このことをは王国には?」

「もちろんまだ極秘である。
 王国に先に話が行ってサルの意志に何かしら影響が及ぶことは我らの本意ではないからな」

 ……?…………あー、王国のほうが先にこの話を聞いた場合はこの話を実現するために、僕より先にユニさんの大使就任を強制するかもしれないってことか。

 たしかに、ユニさんが大使としてエルフの里に行くとなったら僕もついていくなぁ。

「サルの顧問就任が決まるまでは完全に極秘の情報だから安心するがよい。
 さらにいえば、国交を開いた後はサルの機嫌を損ねられん以上、恋人であるユニコロメドのいる王国へは友好的な対応にならざるをえないだろう」

「実利だけで見ればいい事ずくめじゃないですか……。
 これ、王国に知られたら本当に話進められちゃいますね」

 おののいているユニさんに、ドヤ顔をしているミッくん。

 なんかガチな提案持ってきたな。

「……利点はお聞きしました。
 そこまでの待遇を用意されると隠されている問題点があるのではと疑ってしまいますが?」

 ここまで良い話聞かされるとたしかに裏を疑いたくなるなぁ。

「別段問題点という問題点はない。
 少子化対策としてサルには少し協力をしてもらうが、現在のところそれほど問題のあることにはならないはずだ。
 もし状況が変わればそれはそれとしてきちんと説明をしてサルに改めて判断してもらうことになっている。
 少子化対策はサルの協力有りきの話だからな、兄上の脅しの件もあるが少子化対策としてもサルの機嫌は損ねられん」
 
 まあ、ここまでの対応をしてくれるっていうんだからそれなりの役割が与えられるのは覚悟している。

 大引っ越しになるのは大変だけど、これならどの方面にもあんまり迷惑かからないし、結構現実的な案なんじゃなかろうか?

「ああ、まあ、細かいことだがサルを含めて移住してきたものはその後一切里からは出られないと思ってくれ」

 あっさりと爆弾発言をかますミッくん。

「は?」

 呆然とした顔をするユニさんたち。

 あまりにびっくりして通訳を忘れててツヴァイくんたちは不思議顔だ。

 慌てて通訳したら、同じくびっくり顔になるツヴァイくんたち。

「ん?どうした変な顔をして。
 エルフの里の深奥をしることになるのだ、当然のことだろう?
 なに、不自由はさせないから安心するがいい」

 とんでもないことを聞いたという感じの僕たちに対して、何を驚いているのか分からない顔をしているミッくん。

 アッキーがフォローを入れてくれる。

「エルフは元々引きこもり気質だからな、里から一切出なくても苦痛など感じん。
 一応言っておくが、人里暮らしのお前たちにとってエルフの里は退屈極まりないぞ」

「退屈とは失礼ですよ兄上。
 静謐で穏やかで、こんなゴミゴミしたところよりずっといいではないですか」

 さも当然というような顔で、苦笑いしているアッキーに言いかえすミッくん。
 
「大丈夫、親族や友人を一時招くことは禁止せんぞ」

 ミッくんは妥協案を示してくれるけど……。

 なんかみんなうへぇって顔になっちゃってる。

 僕としても、この世界に慣れたい以上引きこもり生活はちょっとなぁ……。
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