いつの間にか異世界転移してイケメンに囲まれていましたが頑張って生きていきます。

アメショもどき

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第2章 街に出てみよう

37話 奴隷

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 アッキーのお陰で少しは気を持ち直せた僕は、楽しくはしゃいでいた行きとは真逆に落ち込んで黙ったまま帰り道を歩いている。
 
 アッキーは嬉しそうに僕の腕に抱きついて、時折お尻を揉んだりしている。

 アッキーなりに励ましてくれてるんだと思う。

 ……多分。

 アレクさんが怪訝な顔で見ているから止めてほしいんだけどなぁ。

 アレクさんからはどう見えてるんだろう?

 貴族の馬鹿な悪ガキに手籠にされているようにみえるんだろうか?

 ごめんなさい、僕が手籠にしたほうです。



 大通りを貴人街への橋に向かって歩いていると前のほうが騒がしくなってくる。

 なんだろう?

 なんか某ランドのパレードみたいのが向かってきてる。

「……よりによってこのタイミングで」

「アレクさん、あれは一体?」

 知っているらしいアレクさんに問いかける。

 アッキーも知らないのか不思議顔だ。

「とりあえず横に避けよう。
 あれの前に立ちふさがったりしたら面倒になる」

 言われた通り道の端による。

 見れば道に商品を並べてた露天商も慌てて商品を片付けてる。

 何なんだろう?

 周りの人は楽しそうに見物している人8割、眉をしかめる人2割って感じだ。

 ド、ドラゴンだっ!?

 その姿が目に入った途端落ち込んでいたのも忘れて、テンションがマックスになった。

 だってドラゴンだっ!

 漫画でもアニメでも映画でも小説でも、ファンタジーなら登場しないことがないドラゴンだ。

 このドラゴンがそういう種類なのか、それともこの世界のドラゴンはみんなそうなのか、とりあえず目の前に現れたドラゴンは某クエストみたいな翼のない地上特化のドラゴンだった。

 そのドラゴンが、なにか檻のようなものを牽いて運んでいる。

 その檻の中には……。

「あれは……」

「奴隷商の凱旋パレードだな。
 先日、隣国との国境沿いの小競り合いで勝利したらしいから、その凱旋だろう」

 アレクさんが教えてくれたけど、奴隷かぁ……。

 これもドラゴンと並んでファンタジーにはつきものだ。

 こちらも出ない作品はないと言ってもいい。

 でも、檻に入っている奴隷さんたちは思ってたイメージと違って、なんか元気そうにしている。

 はじめの檻には筋骨隆々といった感じの半裸の――ただし、いたるところにアクセサリーを付けた――奴隷さんたちが自慢の筋肉をアピールしている。

 いくつかそんな檻が続いたあと、今度の檻には着飾った女性や女の子、男の子が通行人に愛嬌を振りまいている。

「先頭にいるのは剣の腕や力自慢、そして華麗な乙女といった目玉商品たちだな。
 高値で買われれば買われるほど彼ら自身の待遇も良くなるからああして自分をアピールしているんだ」

 なるほど、そういうことなのか。

 彼らの檻が通る時は通行人も歓声をあげて騒ぎ立ててまさにパレードだ。

「次はそういう『売り』のない一般的な奴隷が通るぞ」

 アレクさんの言う通り、今度の檻に入っている人たちは、なんていうか花がない。

 格好も薄汚れた布切れ一枚を頭からかぶっているだけで、無気力に座り込み俯いている人が多い。

 そういう人たちの中でも後ろに行けば行くほど状態は悪くなって、最後の方はガリガリに痩せた人や子どもたちだった。

 中には寝転がったままピクリとも動かない人もいるけど、あれは生きているんだろうか?

「檻は後ろに行けば行くほど質が悪くなる。
 子供が最後尾なのは労働力にならないからだな。
 労働力以外の需要が見込める子供は先頭の方の檻に入っているはずだ」

 説明の合間合間でアレクさんは僕の顔色をうかがってくれるけど、自分でも意外だけど僕は奴隷さんたちを見てても結構平気だった。

 薄情な話だけど、眼の前で犯罪を犯した子供と違って、奴隷という日本では考えたこともなかったものだと、『この世界はそうなんだ』っていうふうに考えていられるのかもしれない。

 極力良いご主人さまにあたってくれるといいな、と祈るだけだ。

「ある意味では主力商品だから、ここらへんを熱心に見ている人は本当に買う気のある人達だな」

 言われてみれば、普通の奴隷さんが通ってるあたりになると通行人はほとんど興味をなくしてしまっているけど、その中にたまに熱心に奴隷を見ている人達がいる。

 あの人たちが買う気のある人達なのだろう。

 パレード的な騒がしさよりも、今の通行人の興味の無さで、これがこの世界の常識なんだって言う気持ちが強くなる。

「おや、珍しいな」

 ぼーっと目の前を通り過ぎる檻を見ていたら、アレクさんが後ろの方の檻を見てそんな声を上げた。

 なんとはなしにそちらの方をみると、なんか騒ぎ声が聞こえる。

 いや、騒ぎ声というか叫び声か。

「あれは、亜人だな。
 今回は亜人がいる地域だったようだな」

 アレクさんがちょっと興奮している。

 周りの興味なさげにしていた人たちも、また興奮した様子で檻を見ている。

 そんなに珍しいものなんだろうか?

「亜人と言うのは、我々と正式な交流を持っていない種族の者たちのことだ。
 交流がないだけあって、滅多に接触することがないから見る機会すら稀で言葉が通じない。
 それが今回は奴隷になるとは、なにかあったんだろうか?」

 なるほど、亜人の言葉はわからないのか。

 だからみんなあんなに楽しそうにしてられるんだな。

「助けてクレっ!我々は騙されたンダっ!
 誰カっ!言葉が分かるものはいないノカっ!?
 ここから出してクレっ!」

 今までの奴隷さんたちはなぜか誰も叫んだり暴れたりする人はいなかった。

 しなかったのか、出来なかったのか分からないけどとにかくいなかった。

 だから、このパレードで悲痛な叫びを上げているのは彼だけだ。

「あれはリザードマンだな。
 彼らは種族全てが屈強な戦士だと伝えられているが、流石にすごい威嚇の声だな。
 それが5体も……どうしたんだろうな?」

「戦士を見世物か。
 悪趣味な」

「たしかに。
 あまりいい趣味とはいえなかったな、すまん」

 僕らに軽く頭を下げるアレクさん。

 その横を檻が通り過ぎていく。

「誰カっ!?助けてクレっ!
 ワレラをどうする気ダっ!?頼ムっ!誰カっ!」

 リザードマンという言葉から想像したよりもずっと人間っぽい顔立ちをしていた。

 目の虹彩が縦に切れているのと、少し硬質そうな緑がかった肌、髪の間から後ろに伸びる二対の角が人間と明らかに異なるところだろうか。

 腰布ひとつの上半身裸で、胸とお腹周りを除いて鱗が体を覆っている。

 腰布からはトカゲのような太いしっぽが垂れている。

 日本人の僕からすると、リザードマンというより竜人とか言ったほうがしっくりくる気がする。

 そんなリザードマンさんが5人。

 もう立ち上がる気力もなくなっているのか床にへたり込んでいる4人と、檻に掴まって叫び声を上げている1人。

 その誰もが僕とそう変わらない年か年下に見えた。

「誰カっ!言葉が分かるものはいないノカっ!?」

 その声に思わず彼の顔を見てしまう。

「オオっ!お前はワレの言葉が分かるノカっ!?
 分かるんダロっ!?頼ムっ!ワレラを助けてクレっ!礼は何でもスルっ!」

 そのすがるような目に耐えられず顔を背けてしまう。

 僕を見て興奮したリザードマンから僕をかばうようにアレクさんが間に入ってくれる。

「頼ムっ!何でもするカラっ!助けてクレっ!頼ムっ!頼ムっ!」

 彼の声がだんだん遠くなっていってやがて聞こえなくなった。

「ハル……そうか、君にはそのペンダントで聞こえていたんだな。
 彼はなんと?」

「…………助けてくれ、と」

「そうか……。
 まあ、ハルが気にしなくていいことさ。
 さっきも言ったとおり、リザードマンは勇猛な戦士として知られている。
 いい主人がきっと見つかるさ」

 なんでもないことのように明るい声で言ってくれるアレクさん。

 アッキーも優しく手を握りしめてくれる。

「そうですね、うん、きっとそうです」

 そう、彼らにもユニさんのようないいご主人さまが見つかるはずだ。

 そう思い込もうとしても、彼のすがるような目が頭から消えてくれない。

 きっと、僕はあんな目をしてたんだと思う。



 ――――――



 いつの間にやら夕食時。

 気がついたらミゲルくんに給仕をされてご飯を食べてた。

「あ、良かった。
 ようやく目を覚ましましたね」

 隣りに座ったユニさんが心配そうに僕の顔を覗き込んでた。

「あ、ごめん、ボーッとしてた」

「見え見えな嘘をつくでないぞ」

 アッキーが苦笑している。

 そりゃ、分かるよーねー。

「お前はお人好しだからなぁ。
 どうせ昼間のことをまだ気にしているのだろう?
 くだらない」

 くだらないとは何だ、結構本気で悩んでるんだぞ。

「師匠はハルから聞けって言って話してくれないし、一体何があったんですか?」

「いや、たいしたことじゃないんだけどね」

「たいしたことだろうが、お前にとっては」

 アッキーうるさい。

 ちょっと心配そうな感じが混じってるところが大好き。

 とりあえずアッキーへのお礼はあとにすることにして、スリの子の件をユニさんたちに話す。

「あー、アレクらしいですねぇ」

 あれ?

 なんかユニさんもミゲルくんも苦笑い?

 反省しましょうね的なことを言われるかと思ったのに。

「アレクは真面目ですからねぇ。
 職務に忠実なのでそういうふうに考えるんでしょうね」

「頭が固い人ってイメージがします」

 ミゲルくんまで。

「いや、でも、アレクさんの言うとおりだなって思って。
 色々無責任なことしちゃったから反省しなきゃなって」

「うーん、それはどうでしょうね?」

 はぇ?

「えっと、アレクさんが言ってること、なんか変なとこあった?」

「いいえ、全然。
 アレクの言う通り最悪の場合、そういうこともありえたでしょうね」

 だよね、だから僕も反省しないと……。

「でも、それは『最悪の場合』です」

「えっと……どういう事?」

「悪い方に転がったらアレクの言う通りになるでしょうね。
 でも、良い方に転がったら?」

 良い方に?

 ピンときていない顔をしている僕にユニさんが言葉を続けてくれる。

「もし、今回のことが良い方に転がっていったら、彼は改心してもう二度とスリなんてしなくなってくれるかもしれません。
 結局は彼次第ですよ」

 なんかアッキーもミゲルくんもウンウン頷いてるけど、そんなにうまくいくものなのかな?

「アレクは騎士っていう犯罪を取り締まる立場上、再犯が後をたたないことを知っていますからね。
 どうしても悪い方に考えてしまうんでしょう。
 しかし、罪を悔いてまっとうな道に戻れるものもいます。
 この差はどこでつくと思いますか?」

「えっと……持って生まれた人間性?」

「まあ、その要素がかなり大きいのは事実です」

 苦笑するユニさん。

「ちょっと話を変えましょうか。
 今回のことがあって、またハルにおんなじようなことがあったら次はどうしますか?
 また施しを与えますか?」

 え?おんなじようなことというと……スリの子が僕の前で捕まったらってこと?

「えっと、流石に考えると思う……」

「考えてどうするんですか?」

 考えて……。

 たしかに正しいのはアレクさんだと思う。

 でも、僕はなんとかスリの子が助かってほしい。

 手を切り落とす以外の罰はなにかないんだろうか?

 この世界に来て間もない僕にはこの国の法律に文句はつけられないし……。

 でも、施しを与えるだけじゃダメなんだって言うのは僕にも分かった。

 じゃ、どうすれば……。

「はい、時間切れでーす。
 答えをどうぞ」

 えっ、そんな事言われても、まだ答えなんて全然……。

「とりあえず今思ってることを言ってみてください」

 優しい声でそう言ってくれるユニさん。

「えっと……まだ答えが全然まとまんないんだけど……。
 とりあえず施しを与えるだけじゃダメなんだってことは分かったけど、絶対に腕を切り落とされるのは避けたいと思う。
 あの年で腕を切り落とされたりしたらせっかく仕事もしてるらしいのに上手くいかなくなっちゃうだろうし、家族揃って路頭に迷っちゃうかもしれないし……。
 なんとかスリをやめてくれるように説得して……」

「説得を聞いてくれなかったら?」

「うー……その時は……どうしよう。
 なんかどうにか他の手はないか考えてみる。
 今は全然浮かばないけど……」

「それでいいと思います」

 全然グチャグチャな説明なのにユニさんはウンウンと頷いている。

 ミゲルくんもだ。

 アッキーはなんかもう飽きてるっぽい。

 後でチュー地獄に落としてやる。

「そうやって考え続けてくれる人がいる限り、その相手は大丈夫です。
 自分のことを考えてくれる人がいるのにそれでも道を踏み外すというのなら、それは残念ながらその人の資質の問題でしょう」

 ユニさん……。

「いつまでそんなくだらない話をしているのやら。
 今までずっとその事を考え続けている男だぞ、別にそんな事改めて言う必要もなかろう」

 アッキー……。

「ただし、独りよがりの考えにならないようにだけは気をつけろよ。
 幸いお前には相談に乗ってくれるものがいっぱいいる。
 そいつらを利用するがよい」

 わかったよアッキー、いっぱい利用させてもらうねっ!

「ご主人さまはどうせ厳しくなんて出来ないんですから、とことん甘く行けばいいのです」

 ミゲルくん……。

 そうだったね、僕は甘やかすのだけは得意なんだ。

 でも……。

「でも、彼にだけ甘くしても良いのかなぁ」

 それは贔屓にならないだろうか?

「人はだれしも贔屓するものです」

 イヴァンさん?

「どんな人格者であっても、だれかは贔屓します。
 それは家族であったり、友人であったり、知人であったり、ペットという方もいますな……。
 もちろん贔屓する対象はひとつとは限りません。
 そして、それが出来ない人は人格者などではなく、単なる人でなしです」

 いや、まあそこまでいい切るのはどうかとも思うけど、たしかに贔屓のひとつもない人は気持ち悪い気がする。

「でも、貴族がそれを見せちゃダメなんじゃないの?
 いや、もちろん僕は貴族じゃないしなる気もないけど」

 お金持ちとか権力者が贔屓するのは、なんていうか不味くない?

「いいえ、それについては逆でございます。
 貴族こそ贔屓しなければなりません」

 いやいやいや、それはどうなんだ?

「少し例を上げてみましょうか。
 目の前に飢えで苦しんでいる領民がいました。
 領主として食べ物を与えましたがこれは贔屓となりますでしょうか?」

 えっ、いや、それは当然のことだろう。

「流石にそれはならないと思う」

「で、ございますか。
 では、ある他よりも倍働く領民がおりました。
 この者に働きの褒美を与えましたが、これは贔屓になりますでしょうか?」

「うーん、それくらいなら贔屓にはならないと思うけど……」

「で、ございますか。
 では、ある盗人が飢えた家族がいることを理由に領主より慈悲を与えられ、かえって施しを与えられました。
 これは贔屓になりますでしょうか?」
 
 これは……完全に僕のことだな。

「……それは贔屓だと思います」
 
 反省しないといけない。
 
「で、ございますか。
 これらは全てある領主が他領の領主より貴族らしからぬ贔屓とされ吊し上げをされた事案でございます」

 えっ?

「どのようなことでも、悪い方にみる輩は存在します。
 貴族は結果のみにて語るもの。
 始めの例ではこの領主は飢饉の際にも誰一人として領民に被害を出さなかったと称賛されました。
 2つ目の例では褒美をもらったものに続こうと領内の生産量が上がり、領民に与えた褒美以上の収益を得たそうでございます。
 最後の例は、今やその盗人はとある家の末席にて奉公しております」

「イヴァンによく言われましたねー。
 貴族は結果のみにて語るもの。
 だから、結果が良ければなにをやっても良いのです、と」

 そんな無茶な……。

 イヴァンさんがそんな事言うとか信じられないな。

「私もこの話をされた時は、イヴァンがとうとうボケたかと思いました」

 考えてること読まれたっ!?

「坊ちゃま、ボケ老人の言う事の真意はおわかりになられましたか?」

「もちろんです。
 結局はさっきと同じ話。
 終わりまできちんといい話になるように面倒を見ればいいのだ、ということですよね」

「そのとおりでございます」

 えー、本当にそんなのでいいのかなぁ?

 って、そもそも話が変わってないか?

「えっと、そもそも、貴族が贔屓していいのって話だった気が……」

「貴族がなにをやったところで気に入らないものには贔屓に見えるので気にするだけ無駄ですよ」

 たしかにイヴァンさんもそんなこと言ってたけどさぁ。

「それでは、贔屓になるのを避けるために誰にも施しを与えないことにいたしますか?」

 え、いや、イヴァンさん、それは極端な気が……。

「では、贔屓になるのを避けるために、リザードマンに手を差し伸べるのをお止めいたしますか?」

「ゔ……なんでそれを……」

 まだ言ってないはずなのに……。

 アッキーか?アッキーが言ったのか?

 アッキーは苦笑いしながら首を横に振ってる。

「我じゃないぞ」

 アッキーは指でイヴァンさんを指しているけど……。

「先程、西方戦域よりリザードマンの奴隷が届いたという知らせがまいりました上に、サクラハラ様のお帰りの時間から逆算したところそのパレードにかち合っている可能性が大と考え、推測いたしました」

 普通に行動読まれてただけだった。

 アッキーごめん。

 そしてイヴァンさん怖い。

「あー、それでハルはやたらと贔屓にこだわってたんですね。
 そのスリの子のことならもう結論出てそうなのにって不思議に思ってたんですよ」

「ご主人さまでしたら、その子は甘やかして終わりです」

 ……いや、まあそうなんだけどさぁ。

 なんだろう、すごい聞こえが悪い気がする。

「それでよろしいのです」

 いいのかなぁ……。

「貴き者には目についた下々の者に手を差し伸べる義務があります。
 たとえ贔屓などと悪評を与えられようとそれは果たさねばならない貴き者の責務です」

 ユニさんもミゲルくんもアッキーですら頷いてる。

「そして、手を差し伸べた以上最後まで責任を持つ必要があります」

「その気はあるけど、僕には責任を取れるだけの根拠がないから……」

 具体的にはお金だ。

 僕基本的に無一文。

「ああ、それなら、色々と後で話さなきゃいけないことがあるので気にしなくていいですよ」

 え、なにそれ怖い。

 顔に出ていたのかユニさんに苦笑される。

「ハルハル、仮にも侯爵家跡取り息子の命を救ったんですからただで済むとは思わないでくださいね。
 とりあえずお金で済むことならあまり気にしなくていいですよ」

 なにそれ、本当に怖い。

「責任を取れる以上、サクラハラ様、あなたは目の前にいる救えるものを贔屓だからと……目の前にいなかったものに悪いからと見放しますか?」

 ……。

 僕はとことん甘ちゃんだなぁ。

「無理だなー」

「それこそ、貴き者の矜持でございます」

 イヴァンさんは我が意を得たりと大きく頷いた。
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