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第1章 異世界で暮らそう
15話 ユニさんのこと
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「そういえば、ユニさんの日本人研究って仕事なんだよね?
貴族の仕事って領地経営だけかと思ってたんだけど、そうじゃないんだね?」
談話室の大きなテーブルに隣同士で座って夕食中、雑談のつもりで聞いてみた。
今日の夕食もユニさんと二人でイヴァンさんにお世話してもらいながら食べている。
なんと、夕食からはお医者さんからの許可も出て、僕もリゾット以外のものを食べられるようになった。
だから今日のご飯はユニさんと同じ、鳥肉を焼いたなにかをメインにした豪華な料理だ。
風味だとかは鶏とぜんぜん違うけど、これはこれで美味しい。
「ええ、そうですね。
ニホンでは……って、そうでした。
今のニホンには貴族自体がいないんでしたね」
聞き取りの時に日本の社会制度は僕の知っている限りユニさんに説明していた。
現在日本にいわゆる貴族がいないことも説明してある。
サラダ――これもちょっと変わった味がするけど美味しい――を食べながら頷く僕にユニさんは詳しく説明してくれる。
「ハルの言う通り、貴族の一番の仕事は領地経営です。
ですが、実務の大半は代官が済ませているので、平時の仕事というものはたいしてないのですよ」
まあ確かに漫画でも映画でも貴族があくせく一日中働いているってイメージはないな。
なんかパーティーに出ているか、会議をしているかってイメージしか無い。
「なので大抵の貴族は領地経営の他に、なにか仕事を持っているのが普通ですね。
まあ、仕事と言っても国政にかかわる重要な職務から、ほとんど趣味と変わらないものまで千差万別ですけどね」
「へぇ。ちなみに、ユニさんの場合は?」
「私の場合はほぼ趣味の側ですね。
まあ、領地経営や政務、社交は主に父がやっていますから、私は遊ばせてもらっているようなものです」
そう言って苦笑いを浮かべるユニさん。
「あれ?でも、確かユニさんって司祭様なんだよね?」
確かアレクさんがそう呼んでた記憶がある。
よく分からないけど、ファンタジーなんかの司祭って言うと、よく出てくる神官の上司の人ってイメージだ。
そこそこ?立派な役職なのかと思っていたけど……。
「そうですね、私の場合、神学司祭の位を頂いています。
と言っても、歴史学に携わるには神学部に在籍していなければいけなかったと言うだけで、正式な聖職者でもない名ばかりの位階ですけどね。
ニホン人に関する遺物を閲覧するのに必要だっただけです」
「趣味をそのまま仕事にできるのは羨ましい気もするなぁ」
貴族パワー恐るべしと言うよりは、ユニさんのマニアパワー恐るべしって感じかな?
「まあ、仕事と言っても父の跡を継ぐまでの間だけの話ですけどね」
また苦笑いを浮かべるユニさん。
「え?そうなの?
てっきり、さっき言ってた領地経営の他にやる仕事なのかと思ってた」
「本当は私もそうしたいんですけどね。
モノケロス家の場合は武門の家なので、父からの指示があれば私も軍務省に入ることになるでしょうね。
神学司祭はそれまでのモラトリアムってやつですね」
ちょっと寂しそうに言うユニさんの顔は年下とは思えないくらい大人びてた。
そっか、貴族となると自分で自分の職業を選ぶわけにもいかないのか……。
それもきついなぁ……。
「えっと、ユニさんは何才くらいで家業を継ぐの?」
「うーん、父次第なので正確に何才というのは少しわからないですね。
ただ学園を卒業するまではこのままでいられると思います。
卒業した後はすぐに軍務省に行くことになるか、少し猶予があるかは父次第ですね」
やっぱり、貴族の家は父親=当主様が何でも決めるんだなぁ。
「ん?あれ?ユニさんって学校……学園に通ってたの?
……って、ごめん、色々聞きすぎだよね」
「いえいえ、昼間は私がハルに質問し通しでしたからね。
それに、ハルが私のことを知ってくれるのは嬉しいですし、今夜はハルの質問大会としましょう」
本当に嬉しそうに笑いながら言うユニさん。
ちょっと恥ずかしいような申し訳ないような気もするけど、せっかくだからお言葉に甘えさせてもらおうかな?
実のところ、まだユニさんのことほとんど知らない――変なことは一杯知ってるけど――から、聞いてみたいことは一杯あったんだ。
「えっと、学園でしたね。
そうですね、6才の頃から通っています。
今は神学部と二足のわらじ状態なので、あまり顔を出していませんが今も日によっては授業に出ていますよ」
「へぇ、司祭様やってるって言うからてっきり学園には行ってないのかと思ってたよ」
初対面からアレクさんの上の人ってオーラバリバリに出してたし、若いけど社会人だと思ってた。
「学園に通うのは貴族の義務に近いものがありますから。
私もできれば神学部の方に集中したいんですけど、まあこればっかりは」
またまた苦笑いを浮かべるユニさん。
うーん、これは……。
「……やっぱり、お父さん、厳しい感じ?」
「え?ああ……父はむしろ神学に……歴史学に集中してもいいと言ってくれているんですが……」
となるとお母さんとかが反対してるのかな?
なんか言いづらそうにしてるし、これ以上は聞かないほうがいいか。
「そういえば……」
「坊ちゃま」
話を変えようとした僕を、今まで黙って給仕をしてくれていたイヴァンさんが遮る。
「良い機会でございますし、サクラハラ様には早いうちにお話しておいたほうがよろしいかと」
「……そう……ですね。
ハル、家のゴタゴタの話になるのですが聞いていただけますか?」
イヴァンさんの言葉を受けて、ユニさんが改まった様子で言う。
和やかな雑談の雰囲気が消えたことを感じ取って、僕も姿勢を正して頷いた。
――――――
「まあ、よくある話ではあるのですが」
ユニさんはそう前置きをして話しだした。
「私の母……実の母は私を生んですぐに亡くなっているのですが、父と後妻の間にひとつ年下の弟がおりまして。
その後妻……継母(はは)がその……悪い方ではないのですが……」
言いづらそうに言葉を濁すユニさん。
踏み込んでいいのか少し迷ったけど、聞いてほしいと言われたからにはちゃんと聞いておこう。
「その……跡継ぎ争い的な……?」
僕の言葉に苦笑いを浮かべて頷くユニさん。
「お恥ずかしい話ですが、有り体に言ってそのとおりです。
継母は悪い方ではないのですが、あまり心が強いとはいえない方で、モノケロス家傘下の有力貴族であるご実家の意向に影響されてまして……」
「それは大変だね……。
お父さんはなんて?」
もしかして、お父さんまで篭絡されてユニさんが孤軍奮闘しているとか……。
その場合は……僕がユニさんを守らねば。なにが出来るかわかんないけど。
僕が一人勝手に闘志を燃やしているのに構わず、ユニさんは苦笑い。
と言うか、困ったような顔?
「父は……いえ、父も私も弟本人がそのつもりで適正があればそれでもかまわないと思っているのですが……」
「あれ?そうなの?
ユニさん的には跡取り譲っちゃっていいんだ?」
「そうですね。
包み隠さずにいえば領地や家業にとらわれることなく研究に没頭していたいですし。
……あ、ハルが望むなら跡目争い頑張ります」
なんでも無いようにとんでもないことを事を言い出すユニさんに慌てて首を振る。
そんな火種にしかならないこと望むはずがない。
それに、ユニさんには自分の好きなことやっていてほしいと思うし。
…………あわよくば跡取りじゃなくなったら許嫁とかいなくならないかなとか悪いことを考えていたりもする。
「ん?てことはなんにも問題ないじゃん。
もしかして、お継母さんの独り相撲?」
僕の言葉に、イヴァンさんと顔を見合わせて苦笑いするユニさん。
まあ、いつも通りイヴァンさんの表情は一切変わらないけど。
「それが……そうすんなりと話は進まないものでして……。
継母も弟もやる気はあるのですが……あの……えーと……なんと言いますか……」
「坊ちゃまの口からは言いづらいことですので、僭越ながら私の方から客観的事実として申し上げます」
ものすごい言いづらそうに言葉を濁すユニさんを引き継いでイヴァンさんが教えてくれるらしい。
「現在の弟御様と奥様はモノケロス家の後継ぎとその御母堂様としては不適格と言わざるをえません。
まず奥様におかれましてはご自分の意志が弱すぎ、ご実家の干渉を受けすぎることが問題となります」
あー、ユニさんもお継母さんの実家がうるさいって言ってたもんなぁ。
たしかに大貴族の次期当主の母親がそれじゃまずいか。
「そして、弟御様御本人におかれましても、少々軽薄に過ぎ、取り巻きからの影響を受けやすく、激高しやすいところが見受けられます。
その他学業等の能力的なことを勘案いたしましても、僭越ながら、現状、当家の当主としては不適格と申し上げざるを得ません」
軽薄で激高しやすい……お調子者でキレやすい子って感じかな?
なんか貴族っぽいといえば貴族っぽいけど、たしかにそんな子が当主になられたら困るだろうなぁ。
「せめてどちらかがもう少ししっかりしてくれれば父も私も安心できるのですけどね。
まあ、弟はまだ私の1つしたなのでこれからに期待といったところです」
そして、このお兄様の落ち着き具合と寛容さである。
相当年が離れているならともかく、たった1才差でこれなんだから、周りのものとしてもどちらを推すかは言うまでもないだろう。
「な、なかなか大変だね」
色々想像できてしまった僕としては、苦笑いするしか無い。
「でも、身の危険とかはないの?
その……暗殺とか……」
フィクションなんかじゃよくそういう血みどろ劇を目にするけど。
「ああ、うちではそういうのはないですから安心してください。
継母も弟もそこまで悪辣でも、愚かでもありませんから」
僕を安心させるようにニッコリと笑うユニさん。
イヴァンさんも頷いているところから本当に心配は無いのだろう。
……『うちでは』というのは深く突っ込まないでおこう。
「今、継母たちが熱心なのは私の醜聞集めですかね?
それでさっき話しに出た学園にもきちんと貴族らしく通っているというわけです」
え?
それを聞いてギクリとしてしまう。
「あの……醜聞そのものがここにいるんですけど、大丈夫なんでしょうか……?」
肉体関係ありの同性――それも淫乱――という醜聞の塊がおずおずと手を挙げる。
言うまでもなく僕だ。
「あははは、心配しなくても大丈夫ですよ。
みんな気にしていませんから」
おもしろい冗談を聞いたというように笑うユニさんは置いといて、イヴァンさんを見る。
「例のないことではないのでそれほど心配なさらなくても大丈夫かと存じます。
ただ、念のため人目の多いところでは過度な睦み合いはご自重いただけるよう僭越ながらご進言いたします」
「はい分かりました。気をつけます」
イヴァンさんのしてくれた注意に素直に頷く。
うん、人目のあるところでは僕が気をつけよう。
「ハル……たまに私よりイヴァンの言葉を優先していますよね」
ジト目で言うユニさん。
目をそらすことしか僕には出来なかった。
――――――
ユニさんが拗ねてしまったので、談話室に置かれたソファで膝枕しながら頭をなでて甘やかしている。
さっきまで拗ねて機嫌悪そうだったのに、もう嬉しそうにグリグリしている。
実に可愛い。
ついさっき人前でイチャつくのはやめよう……控えようって思ったばかりだけど、イヴァンさんしかいないから大丈夫ということにしよう。
イヴァンさんもなにも言わずにお茶の用意してくれてるし。
「そういえばさ」
「ふぁい?」
股間に顔を埋めたまま返事をするユニさん。
微妙な刺激が来るから止めてほしい。
「そういえば、ちゃんと聞いてなかったんだけど、ユニさんって貴族様でいいんだよね?
えっと、なんていうか……どれくらい偉いの?」
「爵位ですか?
モノケロス家は侯爵家ですね。
一応私個人としても子爵位を叙爵してはいますが、これはおまけみたいなものなので気にしなくていいです」
膝枕のまま裏返って下から僕の顔を見ながら説明してくれるユニさん。
だけど、侯爵って言われても、なんとなく貴族の中でもかなり偉い方という程度はわかるんだけど、実際にどれくらい偉い人なのか実感がわかない。
子爵に至っては聞いたことある程度だ。
「えっと、ごめん。
侯爵様とかなんとなく偉い人なんだなっていうのは分かるんだけど、具体的にどれくらい偉いのかわからなくて」
「ああ、そういうことですか。
うーん、どう説明したものでしょうか……」
ユニさんは少しのあいだ目を閉じて考をまとめたあと口を開く。
「国によって色々な差がありますし、例外はいくらでも存在するので、王国の場合の一般論として聞いてくださいね」
「うん、分かった」
「まず、下級貴族として下から男爵と子爵がいます。
何らかの功績をあげて、村や町など収入を得られる土地を下賜された際に叙爵されるのが一般的な爵位となります。
男爵と子爵の差は明確ではありませんが、大体は支配する集落の規模で分けられていますね」
ふむふむ。
村長とか、町長、市長って感じかな?
「その次が伯爵になります。
いわゆる貴族というとこの爵位になりますね。
陛下に直接お目通りが望めるようになるのも伯爵からになります。
こちらは男爵や子爵が更に功績を上げて、都市を含めた複数の集落を下賜された際に陞爵……爵位が上がります。
大抵の場合、自分の領地の他に近隣の下級貴族を傘下としていて広大な影響域を持っていますね」
伯爵はフィクションで多分一番よく聞く、貴族といえばこれって感じの貴族様だ。
「次が侯爵ですね。うちもここです。
全部で6家……いえ、7家ありまして、成り立ちは家によって全く異なりますね。
伯爵と同じく都市を含めた複数の集落を支配した上で、伯爵家以下の多数の貴族を傘下としていて、小さな国くらいの影響域を持っています。
実際元々国だった家がほとんどです」
そ、想像以上にすごい大貴族だったんだ、ユニさん……。
「最後に公爵ですが、これは王族や累代……建国当初からの重臣が叙爵される半ば名誉称号ですね。
大体の家は伯爵家と同程度の影響域しか持ちませんが、そのうちの5家は侯爵家と同等かそれ以上の影響域を持ちますね」
ということは、ほとんど最上位の貴族じゃないか侯爵って……。
さっき想像以上だと思ったばかりだけど、そのさらに上だった。
「でも、どうして急にそんなことに興味を?
ハルが権力者の愛人に興味あるなら、跡目争いほか諸々頑張りますよ?」
「いやいやいや、だからそれは頑張んなくていいから。
そういうのに興味はないから安心して」
また物騒なことを言い出したユニさんを慌てて止める。
「いや、なんとなく興味で聞いただけだから。
…………って、ごめん、嘘付いた」
うー……恥ずかしくて言いづらいけど……下手な嘘ついちゃったせいでユニさんも不思議そうに見てるし、なんか言わなきゃいけない雰囲気だ。
「いや……その……ユニさんの家族のこととか聞いてさ……。
ユニさんと、その……こ、こういう関係になった以上、ちゃんとユニさんの家のこととかも知っておかないとなって思って。
…………………………そ、そのうち、ユニさんのお父さん……侯爵様にもご挨拶しないとだし……」
あー、もう顔が熱いっ!
分かってるっ!分かってるよっ!
この短期間でなにその気になっちゃってるのって、自分が一番思ってるっ!
でも、そういう気になっちゃったんだから仕方ないじゃんっ!?
なんかユニさんもキョトンとした顔しちゃってるし、死にたい……。
「えっと……それって、愛人の件を受けてくれるってことですか?」
キョトンとした顔のまま核心をズバリと聞いてくるユニさん。
やめてほしい。聞き流してほしい。
「い、いやっ!それはまだ気が早いというかさっ!
まだ僕たち出会って数日だよっ!?……そりゃ、もう色々やっちゃったけどさ……。
そういうことはさ、もっとじっくり時間をかけてお互いの相性をちゃんと確かめて……。
いや、時間だけかけてればいいってものもでもないと思うけどさ。
とは言え流石にいくらなんでも急すぎるし……。
………………あの…………今のところは……前向きに検討させていただきます……ということで……」
恥ずかしさをこらえて、なんとか返事をした瞬間、起き上がったユニさんに押し倒されて熱烈なキスをされた。
イヴァンさんはいつの間にかいなくなっていた。
――――――
作者注:本来、貴族の重要な仕事に軍事力の提供というものがありますが、ユニはハルを不安がらせないために『領地経営』という言葉に全てを含ませて説明して、嘘にならないようにしています。
また、ユニの貴族に関する説明は、この国での基本的な考え方でしかなく、例外は無数に存在します。地球の爵位とは扱いが全然違います。
貴族の仕事って領地経営だけかと思ってたんだけど、そうじゃないんだね?」
談話室の大きなテーブルに隣同士で座って夕食中、雑談のつもりで聞いてみた。
今日の夕食もユニさんと二人でイヴァンさんにお世話してもらいながら食べている。
なんと、夕食からはお医者さんからの許可も出て、僕もリゾット以外のものを食べられるようになった。
だから今日のご飯はユニさんと同じ、鳥肉を焼いたなにかをメインにした豪華な料理だ。
風味だとかは鶏とぜんぜん違うけど、これはこれで美味しい。
「ええ、そうですね。
ニホンでは……って、そうでした。
今のニホンには貴族自体がいないんでしたね」
聞き取りの時に日本の社会制度は僕の知っている限りユニさんに説明していた。
現在日本にいわゆる貴族がいないことも説明してある。
サラダ――これもちょっと変わった味がするけど美味しい――を食べながら頷く僕にユニさんは詳しく説明してくれる。
「ハルの言う通り、貴族の一番の仕事は領地経営です。
ですが、実務の大半は代官が済ませているので、平時の仕事というものはたいしてないのですよ」
まあ確かに漫画でも映画でも貴族があくせく一日中働いているってイメージはないな。
なんかパーティーに出ているか、会議をしているかってイメージしか無い。
「なので大抵の貴族は領地経営の他に、なにか仕事を持っているのが普通ですね。
まあ、仕事と言っても国政にかかわる重要な職務から、ほとんど趣味と変わらないものまで千差万別ですけどね」
「へぇ。ちなみに、ユニさんの場合は?」
「私の場合はほぼ趣味の側ですね。
まあ、領地経営や政務、社交は主に父がやっていますから、私は遊ばせてもらっているようなものです」
そう言って苦笑いを浮かべるユニさん。
「あれ?でも、確かユニさんって司祭様なんだよね?」
確かアレクさんがそう呼んでた記憶がある。
よく分からないけど、ファンタジーなんかの司祭って言うと、よく出てくる神官の上司の人ってイメージだ。
そこそこ?立派な役職なのかと思っていたけど……。
「そうですね、私の場合、神学司祭の位を頂いています。
と言っても、歴史学に携わるには神学部に在籍していなければいけなかったと言うだけで、正式な聖職者でもない名ばかりの位階ですけどね。
ニホン人に関する遺物を閲覧するのに必要だっただけです」
「趣味をそのまま仕事にできるのは羨ましい気もするなぁ」
貴族パワー恐るべしと言うよりは、ユニさんのマニアパワー恐るべしって感じかな?
「まあ、仕事と言っても父の跡を継ぐまでの間だけの話ですけどね」
また苦笑いを浮かべるユニさん。
「え?そうなの?
てっきり、さっき言ってた領地経営の他にやる仕事なのかと思ってた」
「本当は私もそうしたいんですけどね。
モノケロス家の場合は武門の家なので、父からの指示があれば私も軍務省に入ることになるでしょうね。
神学司祭はそれまでのモラトリアムってやつですね」
ちょっと寂しそうに言うユニさんの顔は年下とは思えないくらい大人びてた。
そっか、貴族となると自分で自分の職業を選ぶわけにもいかないのか……。
それもきついなぁ……。
「えっと、ユニさんは何才くらいで家業を継ぐの?」
「うーん、父次第なので正確に何才というのは少しわからないですね。
ただ学園を卒業するまではこのままでいられると思います。
卒業した後はすぐに軍務省に行くことになるか、少し猶予があるかは父次第ですね」
やっぱり、貴族の家は父親=当主様が何でも決めるんだなぁ。
「ん?あれ?ユニさんって学校……学園に通ってたの?
……って、ごめん、色々聞きすぎだよね」
「いえいえ、昼間は私がハルに質問し通しでしたからね。
それに、ハルが私のことを知ってくれるのは嬉しいですし、今夜はハルの質問大会としましょう」
本当に嬉しそうに笑いながら言うユニさん。
ちょっと恥ずかしいような申し訳ないような気もするけど、せっかくだからお言葉に甘えさせてもらおうかな?
実のところ、まだユニさんのことほとんど知らない――変なことは一杯知ってるけど――から、聞いてみたいことは一杯あったんだ。
「えっと、学園でしたね。
そうですね、6才の頃から通っています。
今は神学部と二足のわらじ状態なので、あまり顔を出していませんが今も日によっては授業に出ていますよ」
「へぇ、司祭様やってるって言うからてっきり学園には行ってないのかと思ってたよ」
初対面からアレクさんの上の人ってオーラバリバリに出してたし、若いけど社会人だと思ってた。
「学園に通うのは貴族の義務に近いものがありますから。
私もできれば神学部の方に集中したいんですけど、まあこればっかりは」
またまた苦笑いを浮かべるユニさん。
うーん、これは……。
「……やっぱり、お父さん、厳しい感じ?」
「え?ああ……父はむしろ神学に……歴史学に集中してもいいと言ってくれているんですが……」
となるとお母さんとかが反対してるのかな?
なんか言いづらそうにしてるし、これ以上は聞かないほうがいいか。
「そういえば……」
「坊ちゃま」
話を変えようとした僕を、今まで黙って給仕をしてくれていたイヴァンさんが遮る。
「良い機会でございますし、サクラハラ様には早いうちにお話しておいたほうがよろしいかと」
「……そう……ですね。
ハル、家のゴタゴタの話になるのですが聞いていただけますか?」
イヴァンさんの言葉を受けて、ユニさんが改まった様子で言う。
和やかな雑談の雰囲気が消えたことを感じ取って、僕も姿勢を正して頷いた。
――――――
「まあ、よくある話ではあるのですが」
ユニさんはそう前置きをして話しだした。
「私の母……実の母は私を生んですぐに亡くなっているのですが、父と後妻の間にひとつ年下の弟がおりまして。
その後妻……継母(はは)がその……悪い方ではないのですが……」
言いづらそうに言葉を濁すユニさん。
踏み込んでいいのか少し迷ったけど、聞いてほしいと言われたからにはちゃんと聞いておこう。
「その……跡継ぎ争い的な……?」
僕の言葉に苦笑いを浮かべて頷くユニさん。
「お恥ずかしい話ですが、有り体に言ってそのとおりです。
継母は悪い方ではないのですが、あまり心が強いとはいえない方で、モノケロス家傘下の有力貴族であるご実家の意向に影響されてまして……」
「それは大変だね……。
お父さんはなんて?」
もしかして、お父さんまで篭絡されてユニさんが孤軍奮闘しているとか……。
その場合は……僕がユニさんを守らねば。なにが出来るかわかんないけど。
僕が一人勝手に闘志を燃やしているのに構わず、ユニさんは苦笑い。
と言うか、困ったような顔?
「父は……いえ、父も私も弟本人がそのつもりで適正があればそれでもかまわないと思っているのですが……」
「あれ?そうなの?
ユニさん的には跡取り譲っちゃっていいんだ?」
「そうですね。
包み隠さずにいえば領地や家業にとらわれることなく研究に没頭していたいですし。
……あ、ハルが望むなら跡目争い頑張ります」
なんでも無いようにとんでもないことを事を言い出すユニさんに慌てて首を振る。
そんな火種にしかならないこと望むはずがない。
それに、ユニさんには自分の好きなことやっていてほしいと思うし。
…………あわよくば跡取りじゃなくなったら許嫁とかいなくならないかなとか悪いことを考えていたりもする。
「ん?てことはなんにも問題ないじゃん。
もしかして、お継母さんの独り相撲?」
僕の言葉に、イヴァンさんと顔を見合わせて苦笑いするユニさん。
まあ、いつも通りイヴァンさんの表情は一切変わらないけど。
「それが……そうすんなりと話は進まないものでして……。
継母も弟もやる気はあるのですが……あの……えーと……なんと言いますか……」
「坊ちゃまの口からは言いづらいことですので、僭越ながら私の方から客観的事実として申し上げます」
ものすごい言いづらそうに言葉を濁すユニさんを引き継いでイヴァンさんが教えてくれるらしい。
「現在の弟御様と奥様はモノケロス家の後継ぎとその御母堂様としては不適格と言わざるをえません。
まず奥様におかれましてはご自分の意志が弱すぎ、ご実家の干渉を受けすぎることが問題となります」
あー、ユニさんもお継母さんの実家がうるさいって言ってたもんなぁ。
たしかに大貴族の次期当主の母親がそれじゃまずいか。
「そして、弟御様御本人におかれましても、少々軽薄に過ぎ、取り巻きからの影響を受けやすく、激高しやすいところが見受けられます。
その他学業等の能力的なことを勘案いたしましても、僭越ながら、現状、当家の当主としては不適格と申し上げざるを得ません」
軽薄で激高しやすい……お調子者でキレやすい子って感じかな?
なんか貴族っぽいといえば貴族っぽいけど、たしかにそんな子が当主になられたら困るだろうなぁ。
「せめてどちらかがもう少ししっかりしてくれれば父も私も安心できるのですけどね。
まあ、弟はまだ私の1つしたなのでこれからに期待といったところです」
そして、このお兄様の落ち着き具合と寛容さである。
相当年が離れているならともかく、たった1才差でこれなんだから、周りのものとしてもどちらを推すかは言うまでもないだろう。
「な、なかなか大変だね」
色々想像できてしまった僕としては、苦笑いするしか無い。
「でも、身の危険とかはないの?
その……暗殺とか……」
フィクションなんかじゃよくそういう血みどろ劇を目にするけど。
「ああ、うちではそういうのはないですから安心してください。
継母も弟もそこまで悪辣でも、愚かでもありませんから」
僕を安心させるようにニッコリと笑うユニさん。
イヴァンさんも頷いているところから本当に心配は無いのだろう。
……『うちでは』というのは深く突っ込まないでおこう。
「今、継母たちが熱心なのは私の醜聞集めですかね?
それでさっき話しに出た学園にもきちんと貴族らしく通っているというわけです」
え?
それを聞いてギクリとしてしまう。
「あの……醜聞そのものがここにいるんですけど、大丈夫なんでしょうか……?」
肉体関係ありの同性――それも淫乱――という醜聞の塊がおずおずと手を挙げる。
言うまでもなく僕だ。
「あははは、心配しなくても大丈夫ですよ。
みんな気にしていませんから」
おもしろい冗談を聞いたというように笑うユニさんは置いといて、イヴァンさんを見る。
「例のないことではないのでそれほど心配なさらなくても大丈夫かと存じます。
ただ、念のため人目の多いところでは過度な睦み合いはご自重いただけるよう僭越ながらご進言いたします」
「はい分かりました。気をつけます」
イヴァンさんのしてくれた注意に素直に頷く。
うん、人目のあるところでは僕が気をつけよう。
「ハル……たまに私よりイヴァンの言葉を優先していますよね」
ジト目で言うユニさん。
目をそらすことしか僕には出来なかった。
――――――
ユニさんが拗ねてしまったので、談話室に置かれたソファで膝枕しながら頭をなでて甘やかしている。
さっきまで拗ねて機嫌悪そうだったのに、もう嬉しそうにグリグリしている。
実に可愛い。
ついさっき人前でイチャつくのはやめよう……控えようって思ったばかりだけど、イヴァンさんしかいないから大丈夫ということにしよう。
イヴァンさんもなにも言わずにお茶の用意してくれてるし。
「そういえばさ」
「ふぁい?」
股間に顔を埋めたまま返事をするユニさん。
微妙な刺激が来るから止めてほしい。
「そういえば、ちゃんと聞いてなかったんだけど、ユニさんって貴族様でいいんだよね?
えっと、なんていうか……どれくらい偉いの?」
「爵位ですか?
モノケロス家は侯爵家ですね。
一応私個人としても子爵位を叙爵してはいますが、これはおまけみたいなものなので気にしなくていいです」
膝枕のまま裏返って下から僕の顔を見ながら説明してくれるユニさん。
だけど、侯爵って言われても、なんとなく貴族の中でもかなり偉い方という程度はわかるんだけど、実際にどれくらい偉い人なのか実感がわかない。
子爵に至っては聞いたことある程度だ。
「えっと、ごめん。
侯爵様とかなんとなく偉い人なんだなっていうのは分かるんだけど、具体的にどれくらい偉いのかわからなくて」
「ああ、そういうことですか。
うーん、どう説明したものでしょうか……」
ユニさんは少しのあいだ目を閉じて考をまとめたあと口を開く。
「国によって色々な差がありますし、例外はいくらでも存在するので、王国の場合の一般論として聞いてくださいね」
「うん、分かった」
「まず、下級貴族として下から男爵と子爵がいます。
何らかの功績をあげて、村や町など収入を得られる土地を下賜された際に叙爵されるのが一般的な爵位となります。
男爵と子爵の差は明確ではありませんが、大体は支配する集落の規模で分けられていますね」
ふむふむ。
村長とか、町長、市長って感じかな?
「その次が伯爵になります。
いわゆる貴族というとこの爵位になりますね。
陛下に直接お目通りが望めるようになるのも伯爵からになります。
こちらは男爵や子爵が更に功績を上げて、都市を含めた複数の集落を下賜された際に陞爵……爵位が上がります。
大抵の場合、自分の領地の他に近隣の下級貴族を傘下としていて広大な影響域を持っていますね」
伯爵はフィクションで多分一番よく聞く、貴族といえばこれって感じの貴族様だ。
「次が侯爵ですね。うちもここです。
全部で6家……いえ、7家ありまして、成り立ちは家によって全く異なりますね。
伯爵と同じく都市を含めた複数の集落を支配した上で、伯爵家以下の多数の貴族を傘下としていて、小さな国くらいの影響域を持っています。
実際元々国だった家がほとんどです」
そ、想像以上にすごい大貴族だったんだ、ユニさん……。
「最後に公爵ですが、これは王族や累代……建国当初からの重臣が叙爵される半ば名誉称号ですね。
大体の家は伯爵家と同程度の影響域しか持ちませんが、そのうちの5家は侯爵家と同等かそれ以上の影響域を持ちますね」
ということは、ほとんど最上位の貴族じゃないか侯爵って……。
さっき想像以上だと思ったばかりだけど、そのさらに上だった。
「でも、どうして急にそんなことに興味を?
ハルが権力者の愛人に興味あるなら、跡目争いほか諸々頑張りますよ?」
「いやいやいや、だからそれは頑張んなくていいから。
そういうのに興味はないから安心して」
また物騒なことを言い出したユニさんを慌てて止める。
「いや、なんとなく興味で聞いただけだから。
…………って、ごめん、嘘付いた」
うー……恥ずかしくて言いづらいけど……下手な嘘ついちゃったせいでユニさんも不思議そうに見てるし、なんか言わなきゃいけない雰囲気だ。
「いや……その……ユニさんの家族のこととか聞いてさ……。
ユニさんと、その……こ、こういう関係になった以上、ちゃんとユニさんの家のこととかも知っておかないとなって思って。
…………………………そ、そのうち、ユニさんのお父さん……侯爵様にもご挨拶しないとだし……」
あー、もう顔が熱いっ!
分かってるっ!分かってるよっ!
この短期間でなにその気になっちゃってるのって、自分が一番思ってるっ!
でも、そういう気になっちゃったんだから仕方ないじゃんっ!?
なんかユニさんもキョトンとした顔しちゃってるし、死にたい……。
「えっと……それって、愛人の件を受けてくれるってことですか?」
キョトンとした顔のまま核心をズバリと聞いてくるユニさん。
やめてほしい。聞き流してほしい。
「い、いやっ!それはまだ気が早いというかさっ!
まだ僕たち出会って数日だよっ!?……そりゃ、もう色々やっちゃったけどさ……。
そういうことはさ、もっとじっくり時間をかけてお互いの相性をちゃんと確かめて……。
いや、時間だけかけてればいいってものもでもないと思うけどさ。
とは言え流石にいくらなんでも急すぎるし……。
………………あの…………今のところは……前向きに検討させていただきます……ということで……」
恥ずかしさをこらえて、なんとか返事をした瞬間、起き上がったユニさんに押し倒されて熱烈なキスをされた。
イヴァンさんはいつの間にかいなくなっていた。
――――――
作者注:本来、貴族の重要な仕事に軍事力の提供というものがありますが、ユニはハルを不安がらせないために『領地経営』という言葉に全てを含ませて説明して、嘘にならないようにしています。
また、ユニの貴族に関する説明は、この国での基本的な考え方でしかなく、例外は無数に存在します。地球の爵位とは扱いが全然違います。
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