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Darling Darling
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もしも突然、わたしがいなくなったら、あなたはそのクリクリの大きな目を血眼にして、わたしを捜すかしら。
もしも数日後、変わり果てた姿になって戻ってきたら、あなたはその柔らかな頬に、ハラハラと涙を流すのかしら。
そんなことをしたらいけないってわかっているのに、ある日、わざと何も告げずに外泊してみた。もちろん、食事や諸々のあなたのお世話を、気の優しい大家さんによくお願いして。
翌朝、わたしを叱ったのは、そのアパートの大家さん。
夜、わたしが帰ってこないことに取り乱したあなたが、大騒ぎして、大暴れして、手がつけられなかったって。こんなことは二度とごめんだ、次にこんなことがあったら出て行ってもらいますよって、たっぷり大目玉を食らった。
こっぴどく怒られている最中に、わたしは頬がゆるんできてしかたがなかった。
部屋に戻ると、あなたは素知らぬ顔で、テレビの前に陣取っていた。少し経ってから、「あぁ、帰ったの?」なんて、さも今知ったんだって顔をして振り向いてみせた。
口はへのへのもへじ。その目が、寝不足で真っ赤だった。
わたしは急いで駆け寄って、その身体にしがみつく。
もしも、あなたが忽然といなくなってしまったとしたら。
きっと、この六畳半の部屋は、うんと広く冷たく感じられるでしょうね。ストーブを焚いても、冷えていく身体と、心の温度は止められないかもしれない。
そもそも、温度なんて感じないかもしれない。
温かいのも冷たいのも、薄いも濃いも、痛いも痒いも、一切合切何も感じないかもしれない。
あなたがここにいて、そうして初めてリミッターを振り切るほどに過剰反応する、感情の針だから。今さらわずかに揺れたからって、それは動いていないのと等しいわ。
だから、大丈夫。
あなたを置いて、わたしはどこにも行かない。あなたがいないと、わたしは少しも人間らしく生きられないんだもの。
大好きよ。愛しているわ。
どこへも行かない。どこへも行かないで。
茶色い毛並みに、黒いブチ。赤い首輪がよく映えているね。
血統書は付いていないけど。
わたしのダーリン。愛おしい、ニャンコちゃん。
(Darling Darling~fin~)
もしも数日後、変わり果てた姿になって戻ってきたら、あなたはその柔らかな頬に、ハラハラと涙を流すのかしら。
そんなことをしたらいけないってわかっているのに、ある日、わざと何も告げずに外泊してみた。もちろん、食事や諸々のあなたのお世話を、気の優しい大家さんによくお願いして。
翌朝、わたしを叱ったのは、そのアパートの大家さん。
夜、わたしが帰ってこないことに取り乱したあなたが、大騒ぎして、大暴れして、手がつけられなかったって。こんなことは二度とごめんだ、次にこんなことがあったら出て行ってもらいますよって、たっぷり大目玉を食らった。
こっぴどく怒られている最中に、わたしは頬がゆるんできてしかたがなかった。
部屋に戻ると、あなたは素知らぬ顔で、テレビの前に陣取っていた。少し経ってから、「あぁ、帰ったの?」なんて、さも今知ったんだって顔をして振り向いてみせた。
口はへのへのもへじ。その目が、寝不足で真っ赤だった。
わたしは急いで駆け寄って、その身体にしがみつく。
もしも、あなたが忽然といなくなってしまったとしたら。
きっと、この六畳半の部屋は、うんと広く冷たく感じられるでしょうね。ストーブを焚いても、冷えていく身体と、心の温度は止められないかもしれない。
そもそも、温度なんて感じないかもしれない。
温かいのも冷たいのも、薄いも濃いも、痛いも痒いも、一切合切何も感じないかもしれない。
あなたがここにいて、そうして初めてリミッターを振り切るほどに過剰反応する、感情の針だから。今さらわずかに揺れたからって、それは動いていないのと等しいわ。
だから、大丈夫。
あなたを置いて、わたしはどこにも行かない。あなたがいないと、わたしは少しも人間らしく生きられないんだもの。
大好きよ。愛しているわ。
どこへも行かない。どこへも行かないで。
茶色い毛並みに、黒いブチ。赤い首輪がよく映えているね。
血統書は付いていないけど。
わたしのダーリン。愛おしい、ニャンコちゃん。
(Darling Darling~fin~)
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