ANGEL -エンジェル-

蜜星

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S8.1年生の二階堂君

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「二階堂って奴心当たりないか?」





そんな唐突な質問に一瞬間が空いて


「…男には興味がないんじゃなかったの?」


と、珍しく驚いた様子で
唯一の男友達である星梓が答える。

相変わらず休み時間に本ばかり読んでいる梓も
この時ばかりは本から視線を外して俺の方を見た。


「興味の有る無しじゃなくて、調べなきゃいけなくなったんだよ…」


そう、本当はこんなことしたくもない…

でもそうしなきゃいけなくなってしまったのだ…



















「あの男…二階堂を調べてきなさい。」




「はぁ?!」


二階堂って、さっきの横取り男か?!


「何で俺がそんな事…?!」

「あんたあいつと同じ一年生だし、私よりも調べやすいでしょ?」

「そうかもしれないけど…あんたは何であいつのこと知りたいわけ?さっきも、何で2人を見てたんだよ?」


“二階堂を調べろ”と言うことは、
甘実かんなの知り合いだとは思うが…

すると彼女の口がへの字に曲がり
不機嫌そうな顔になる。


「敬語、使いなさいって言ってるでしょ」

「…すみません」

「私は昼休みには屋上に居るから、一週間以内に宜しくね。」

「え、おい…!」


彼女は俺の質問には一切答えず
その場をスタスタ離れていく。

引き止めようとしたところで、
急にその足がピタッと止まったかと思うと
振り返って言った。






「一週間で報告に来なかったら…どうなるか分かってるわよね?」



















「あの女…今思い出しても腹がたつ…!」

「…弱みを握られたわけか」


なんで俺があんな地味女の言いなりにならなくちゃいけないんだよ…
悔しがって居る傍で、梓は冷静に話し出す。


「何組の人なの?」

「知らん」

「部活とか、委員会とかは…」

「知らん」

「え、この学校の人だよね?有名人とかじゃないよね?」

「なんも知らないからって有名人にしないでくれ。この学校の生徒だよ。」


そこからのスタートか…と深くため息をつかれ、
その後に梓が腕を組んで考え出す。


「二階堂…ねぇ…」

「…やっぱり知らないよな。女の子の知り合いにも当たって見たけど、二階堂なんて奴、どのクラスにもいないんだよ…おかしくないか?」

「あ、2年生には居るよね。頭のいい先輩。」

「…2年生じゃねーし。1年生の話な。」


この学校には全国模試でいつもトップの方に入る
二階堂先輩が居る…のは知って居るのだ。

でもあいつは、確かに俺と同じ
緑色の上履きとネクタイをしていたし
1年生である事は間違いない。

でも、どのクラスにも二階堂なんて生徒はいない…
とすればやっぱり2年生…?
いやいや、あの変な女も1年生であることを
確認しているしそんなはずはない。

あーでもない、こーでもないと考え込む俺をよそに、
梓はまた本を開こうとして、
ピタッと手が止まった。


「ねぇ、忍。」

「なんだよ…」

「俺、1年生の二階堂君…知ってた。」

「………はぁ?!」



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