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第150話

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『レベルリセットにより、サミスフィールが復活します』

 苦しい思いは無駄ではなかった。
 俺の魂は成長し、トレイン娘が復活する。

 俺達は、セーフゾーンに戻って、すぐに話し合いをした。
 
「ここでレベルリセットをしましょう」
「気になるのは、トレイン娘の状態だ」
「レベル1の、転生状態で復活すると思うわ。少なくとも、ボロボロの状態では復活しないわね。レベルなら簡単に上げられるわ。パーティーを組んで私が魔物を倒せばいいだけよ」


「……分かった。遠慮はしない。今レベルリセットする」

 アオイが俺に抱きつく。
 そして俺の耳元でささやく。

「いいのよ、早くレベルを上げて、トレイン娘と私、ハヤトで、夜を過ごしましょう」

 アオイは離れて笑顔になった。
 めちゃめちゃエロく感じる。
 俺の能力値を上げてから……激しく、乱暴にしてほしいと言われた気がして体が熱くなる。
 し、しかも2人同時にだと!

 ヒメがジト目で俺を見ていたが、気づかないふりをした。

「レベルをリセットする!」

 俺のレベルが1に戻り、俺の目の前が光り輝く。
 何もまとわず、生まれたままの姿でトレイン娘が立っていた。

 トレイン娘は笑顔で涙を流した。
 そして俺に抱き着く。

「うえーん!ハヤトさん!ハヤトさん!ハヤトさん!」

 言いたい事がいっぱいあった。

 一緒にレベルを上げたい。

 レベル上げを手伝いたい。

 トレイン娘の事をサミスと呼びたい。

 何度も優しくしてくれた。

 たくさん話をしたい。

 一気に感情があふれ出す。

「お帰り、トレイン娘」

 でも、出てきた言葉は短かった。

 俺はトレイン娘を抱きしめた。

 泣き止むまで、ただ、抱きしめ続けた。



 落ち着いた事を確認すると、アオイが最初に口を開いた。

「早速なのだけれど、トレイン娘を入れて4人でパーティーを組みましょう」

「分かりました!」

 パーティーを組むと、アオイはすっと離れて、魔物を狩りに行った。
 アオイは、どこか自分に自信がなく、トレイン娘の譲るように離れたような、そんな気がした。

「トレイン娘、あのね、服を、着よう?ね!」
「あ、うっかりしてました」

 俺は、トレイン娘をテントに入れて2人だけでジョブやスキルについて話し合った。

『トレイン娘は、俺と同じハイブリッドを選択した』

 ヒメは、テントに入ってこない。
 転生前のトレイン娘も遠慮するようなところがあった。

 アオイも、ヒメも、トレイン娘も、どこか共通したような心を感じた。

「はじめはハイブリッドの紋章LV1ですね」

 トレイン娘の言葉で現実に引き戻される。

「そうだな、それが無いと服が不便だ」

 トレイン娘の体が光って服が出現した。

「便利ですね!あ、レベルが上がりましたよ!」
「すぐに経験値取得増加を取ってくれ」
「あ、はい!」

「レベル10になるまでそれを取り続けてくれ」
「分かりました!あ、またレベルが上がりました」
「俺もだ、アオイのおかげだな」

 トレイン娘のハイブリッドは俺の時と大分違う。
 ハイブリッドの紋章を1つ取得するだけで防具も武器も銃もストレージもすべて一通り揃う。
 更に最初から経験値取得増加を選択できるため、トレイン娘のレベルはすぐに上がるだろう。

「外に出て武器や銃のセットアップをしたいです」
「そうだな」

 俺とトレイン娘は外に出た。
 武器は短剣を選んだ。
 
「ハヤトさん、銃を見せてください!」

 俺はツインハンドガンを出現させた。

「えへへ、お揃いにします」

 トレイン娘がそういうと、俺と同じ色と形で、一回り小さいハンドガンを出現させた。
 トレイン娘のやる事は落ち着いたか。

 名前で呼ぼう、ずっとそう思っていた。
 今からそうしよう。

「サミス」

 反応が無い。

「トレイン娘?」
「ハヤトさん?どうしました?」

 自分の名前では反応しないのにトレイン娘と呼ばれて反応するのか。

「トレイン娘の事をサミスと呼びたい。嫌じゃなければそうしたいんだ」
「私はただのトレイン娘ですよ!気にしなくていいんです」
「嫌か?嫌ならやめるけど」

「嫌じゃないですけど、私なんかが……」
「今から、サミスと呼ぼう。そう、俺がしたいんだ」
「分かりました」

 トレイン娘、いや、サミスは笑顔で俺を見つめた。
 サミスの顔を見ると、吸い込まれそうな魅力があって、俺は自然とサミスに近づく。

「あ!レベルがまた上がりましたよ!」
「そ、そうだな」
「もう経験値取得増加がLV10になりましたよ!次はどれにしましょう!」
「次は正直、好きなのを取っていいぞ」
「分かりました」

 トレイン娘はステータスを開いてスキルを振っていく。

 ダンジョンが暗くなってきて、夕焼けがトレイン娘を照らす。
 その姿はとてもきれいで、でも、顔が赤いように見えた。
 いや、夕焼けのせいか。

 ヒメが焚火に座って俺とトレイン娘をちらちら見ていた。

「ヒメ、こっちに来てくれ。きゅうが消えずに残っているんだ。抱いてやってくれ」

 きゅうはサミスの方に乗っている。
 俺のスキルではなくなり、サミスのスキルになった。
 魂を融合させたせいかもしれないが、消えなくて良かった。

「ヒメ、きゅうを抱きましょう!」

 ヒメはきゅうを強く抱きしめた。
 ヒメがきゅうを見つめる。

「色々忘れているけど、きゅうのままだよ」
「きゅうもレベルリセットのような状態になったのかもな」
「そうだよ!きゅうはきゅうのままだよ!」

 それから、きゅうはヒメが面倒を見る状態になった。
 きゅうも自然とヒメの肩に乗った。
 まだ少し、ヒメに可愛がられた記憶が残っているのかもしれない。

 ヒメは夕食用のシチューを作り、俺とサミスはハイブリッドの話をした。



 アオイが帰って来る。

「アオイ、お帰り」
「ただいま」

「アオイ、ありがとうございます」
「助かった。もうレベル20を超えている」

「いいのよ、しばらくは弾丸をチャージしましょう。所で、食事の前に水浴びに行きたいのだけれど、全員で水場に行きましょう。たまにはヒメも一緒に行くのがいいと思うわ。夜になって薄暗くなったのだから、顔を見られずに済むのよ?」

「わ、わた、私は、シチューを温めるから!あ、後で!」
「そう、ヒメ、そろそろ、もっと仲良くなるのがいいと思うわ。このままだと私達のテントから声が聞こえてなかなか寝付けなくなると思うわ」

「だ、大丈夫だから!」
「そう、ハヤト、トレイン娘、一緒に水浴びをしましょう」

 それって、一緒に水浴びだけじゃなく!
 そういう事か!
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