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第143話

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 ダークが目をぎょろぎょろさせて言った。

「ヒメは上か、ひっひっひ、この門を突破して奪えばいいだけだ」

 ヒメの能力はサポートに寄りすぎている。
 盗賊に囲まれれば一方的に攫われるだろう。

「おい!ハイブリッド!」
「なんだ?」
「アオイはどこだ?」
「見ていない」

「ち、いねえか!イラつく。お前らを殺してうっぷんを晴らしてやるよ!」

「ふ、そうはいかないよ!」

 アサヒが現れた。
 今まで隠密スキルで隠れていたのだろう。
 戦うなら犯罪者の鎮圧をする時に戦って欲しかった。

「ドリル、犯罪者の君は僕が直接罰を与えてあげよう!ヒメは僕の者だ!」
「は!何を言っている!ヒメはダーク用に俺が貰うんだよ!最初にお前を殺してやろう!俺にぼこぼこにされた無能のアサヒ!!」

「そこの刀使いはドリルに任せる。私はヒメを奪おわせてもらう!突撃しろ!」

 ダークがキンキンと響く高い声で叫んだ。

「総員!魔法攻撃準備!射程に入ったら各自の判断で撃ち込め!戦士はもっと下がれ!魔法攻撃が終わるまで前に出るな!」

 俺はハンドガンを構えて、魔導士に狙いを絞り撃ち込んでいく。
 こいつらがヒールを使ったら厄介だ。
 それに魔導士は体力が低めの者が多い。
 攻撃力の弱いハンドガンでも連続ヒットで倒す事が出来るのだ。

「回復弾丸!」

 回復弾丸をストレージから出して手の甲に押し当てる。
 ハンドガンの弾数を回復させて、撃てなくなるまでハンドガンを素早く撃って行く。

『レベルが53から54に上がりました』

 弾が切れると戦士部隊と共に門の中に走って入る。

 内部は元舞踏会のホールだが今は役所のようなカウンターのある大部屋になっていた。

 2階に続く階段に魔導士が集まって来るが、すぐに魔力が切れて援護射撃は止んだ。

 ここで乱戦状態になるが、もう魔法攻撃はほぼ止んで、近接戦闘での戦いがメインとなる。

 階段を上ろうとする盗賊と護衛が戦い、大部屋ではカウンターを蹴り飛ばしながら近接武器で殺し合う。



 ダークが大部屋に入ると、後ろからアサヒとドリルも入ってきた。

「はははは!僕が華麗に舞ってドリルを倒す姿をみんなにも見せてあげるよ!」
「俺から逃げたの間違いだろ!」

 く、ドリルとアサヒ!
 外で戦っていてくれ!
 こっちに来るな!

 俺はダークと対峙した。

 だがその瞬間、ダークめがけて後ろから槍が飛んでくる。
 ダークは躱そうとするが肩に槍を受けた。

「あら、背中を狙ったのだけれど、勘がいいわね」

「アオイ!」
「ハヤト、雑魚を倒してレベルを上げなさい!ダークは私が相手をするわ!」

 俺の状況を理解しているのか!
 敵のレベルは思ったより高い。
 ここでレベルを上げなければダークにもドリルにも勝てないだろう。
 なるほど、よく見える目か。

 乱戦状態ではあったが戦う相手が決まった。

 アサヒVSドリル
 
 アオイVSダーク

 俺は一刻も早く雑魚を倒す。

 そういう戦いだ!



【アサヒ視点】

「やっと合法的にドリルを殺せる!
 待ちに待っていたんだ!
 なんせドリルは犯罪者で僕は正義の勇者だからね!」

「は、何を笑っている?これからお前は殺される!」
「ドリル、君は勘違いしているよ」

「はあ?また間抜け発言か」
「僕はワザと君に殴られてあげたんだ。そのおかげで君は退学になったよ。君は僕の掌の上で踊らされていたに過ぎないんだ。そしてこの闘いでもそうなるよ」

「ぎゃははははははは!お前必死な顔だったじゃねえか!取り繕うなよ無能が!」
「演技だよ!必死な僕に君は理不尽な理由で暴力をふるったんだ!」

「あーそうだったな。馬鹿アサヒには分からせてやらねえとな!授業料はおまえの命だ!」
「甘いよ!三日月!斬月!」

 ガキンガキンガキンガキン!

 ドリルの槍と僕の刀が打ち合い、音を立てる。
 僕は華麗にドリルの頬を斬った。

「僕に斬られた気分はどうだい?」
「頬のかすり傷の事か?悪いな、手加減しすぎた。スタミナを温存したくて手加減したぜ」

「はははは、負け惜しみかい!僕のスピードについてこられなかったんだろ?」
「殺す!本気で突き刺してやるよ!」

 ぐう!ドリルの奴!調子に乗りすぎだ!
 ガキンガキンガキンガキン!

「どうした!あああ!どうしたよおい!防ぐだけで精一杯か!アサヒ!お前は口だけだ!少し敏捷を上げた程度でいい気になるなよ!」
「ぐうう!くう!」

 ガキンガキンガキンガキン!

「腕!太もも!太もも!」

 僕は3カ所をドリルの槍に突かれて後ろに下がった。

「思い知ったか」
「ドリルううううううう!いい気になるなよおおお!」

 僕は刀を消した。
 ソウルスキルを使うために。

「なんだ?諦めたのか?」
「違うよ、本気を見せてあげよう」

「本気だったじゃねえか!?嘘をつくな」

 僕の両手が光った。
 その事でドリルが身構えた。

「僕のソウルスキル!ガトリングだ!」

 両手を開いてドリルに向ける。
 無数の魔法弾がドリルに飛んでいく。

 ドリルは急いで回避するけど、まだガトリングは終わらない。

 ドガガガガガガガガガガガガガガガ!

 ドリルは体中に無数の傷を負い、血が出ていた。

「殺す!アサヒ!貴様を貫く!」
「おっと!ガトリング!2回目だ!」

 丁度ドリルが僕に接近して来たタイミングでまたガトリングを発動した。
 このソウルスキルは1回だけのものじゃないんだ!

 ドリルは直撃を受けて後ろに下がる。

「はははははははは!直撃を受けたね!これでドリルは終わりだ!」

「それがどうした!雑魚の攻撃で倒れると思うなよ!」

 ドリルが起き上がって槍の猛攻を開始した。

「アサヒ、殺す!」
「ぐう、があ!」

 太ももをまた突かれた。

 まずい!
 急いで刀を出現させ、槍と打ち合う。

 くう!このままでは!まずい!

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