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第130話

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【王国歴1000年春の月57日】

 まだ辺りは暗い。
 日付が変わり、今は真夜中か。
 俺の部屋のベッド?
 皆が運んでくれたのか。

 ぷにゅん。

 ん?柔らかくて気持ちいい感触がする。
 隣にヒメが寝ている!

 ぷにゅんぷにゅん。
 うむ、いい感触だ。

「う~ん、ハヤト君?」

「……」
「……」

「な、なななな!何で!」

 ヒメが俺の手を払った。

「落ち着こう、俺とヒメは気絶していたんだ。無理はいけない」
「な、何で私の部屋にハヤト君がいるのよ!」
「俺の部屋だ」
「え?あ、そうか、そうじゃなくて!なんで一緒に寝てるのよ!」

「みんなが気を使ってくれたんだろう。一緒に寝て欲しいと!一緒に仲良くなってほしいと!一緒に重なって欲しいと!」

 俺は枕で軽く叩かれた。
 手加減してくれているけど、動いたヒメがうめき声を上げる。

「んあ、」
「ソウルスキルを使ったんだ。動くと体に響く。横になろう」

 俺はヒメの肩を掴んで横に寝かせた。
 そして俺も横になる。

「俺もヒメもまだ体が本調子じゃない。横になろう」
「……ハヤト君」
「どうした?」

「私が恥ずかしがっているのを見て、楽しい?」
「何を言っている?」

「からかって遊んでいるように見えるんだよ」
「ヒメと話が出来て楽しいぞ」

「そうじゃなくて、私が恥ずかしがらせて楽しんでいるよね?」
「俺と居ると恥ずかしいか?俺とヒメはお互い助け合って、生死を共にした仲じゃないか」

 ヒメが薄暗い部屋で俺をジト目で見る。
 俺はヒメを見つめ返す。

「み、見ないでよぉ」

 可愛い。
 ヒメが可愛い。
 
「そうか、目をつぶって、横になろう」

 俺は目をつぶった。

 ヒメが子羊のように立ち上がり、ふらふらと出て行こうとする。
 体中が痛いと思うけど、それでも出て行くのか。

「送って行こう」
「だ、大丈夫だよ」
「ダメだ」

 俺はヒメをお姫様抱っこして部屋に運んでいく。

「え!ちょ!ええええ!」

 ヒメを部屋のベッドに横に寝かせ、椅子に座る。

「ふー。話をしようか」
「出て行ってよお!」

 俺は追い出された。
 ヒメ、可愛かったな。

 俺は自室に戻り、ベッドで横になる。
 さっきからステータスのメッセージが定期的に出ていた。

『レベルをリセットしてください』

 レベルリセットか。
 トレイン娘を復活させるためのものなのか?
 それとも、ハイブリッドの特性が元々そうなのか?

 ……分からない。
 でも、レベルリセットを使ってしまうと、能力値が初期値に戻る。
 その状態で魔力弾丸を使用しても、武具の回復力が落ちる。
 
 俺は武具の回復に苦労してきた。
 ……決めた。
 まずは全弾回復をさせて、その後にレベルリセットだ!
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