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第129話

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 カースウォーが切れて、黒いオーラが止んだ。
 ヒメが倒れたのが分かった。

 ヒメの反応が、ほとんどない!反応が消えていく!

 ここからは俺が倒す!
 全部倒す!
 倒さなければ、ここにいるみんなが死ぬ。
 俺にできるのはそれだけだ。

 テクニカルチキンに連撃を食らわせて一気に倒した。

『レベルが80から81に上がりました』

「うおおおおお!」

 スピードラビットを刀で倒す。

『レベルが81から82に上がりました』

 俺はボスを倒し続けた。



『レベルが89から90に上がりました』

『レベルが90から91に上がりました』

 俺を後ろから見ていた4体の獣以外を全滅させた。

 4体の獣が雄たけびを上げた。

「「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」

「まるで怪獣だな」

 俺を睨みつけて4体の獣が向かって来る。

 足を踏みしめる度に地鳴りと轟音で空気が震える。



 ハヤト 男
 レベル:91
 ステータスポイント:0
 スキルポイント:0
 ジョブ:ハイブリッド
 体力:230
 魔力:130
 敏捷:230  
 技量:130  
 魅力:190  
 スキル・攻の紋章LV10・防の紋章LV10・銃の紋章LV10・収納の紋章LV5・カートリッジの紋章LV10・リジェネLV10・経験値取得増加LV10・強化の紋章LV10・感知LV10・きゅう???
 武器 刀:300 ハンドガン:100(最大10発) 防具 ミリタリージャケット:200




 一気に戦えば殺されるか?

 あの大ボス4体は別格だ。
 今までのボスとは違う。

 俺は4種の獣を引き付けるように距離を取ろうとした。

 マジックブルが4属性の魔法を連射して俺を殺しに来る。

 更にスピードラビットが地鳴りを鳴らしつつ物凄い勢いで俺に迫って来る。
 テクニカルチキンとアタックボアは歩いて俺に迫って来る。

 俺を狙ってくれるか。
 ありがたい。

 俺は逃げた。


 マジックブルの魔法で地面ごと軽く吹き飛ばされるが何とか態勢を立て直して距離を取る。

 スピードラビットが俺に追いついたタイミングで俺はスピードラビットを盾にするように立ち、マジックブルから隠れた。

 これでマジックブルは魔法攻撃を撃てないだろう。
 これで1対4から、1対1に持ち込める!
 ここからはスピード勝負だ。
 後ろの3体が俺に迫る前にスピードラビットを倒す!

 怖がって急いで倒すのは得意じゃないか。
 何度もやってきたことだ。

 ここからはタイムアタックだ!
 スピードラビットを速攻で倒す!

「強化の紋章!」

 俺はMPが最大回復し、強化の紋章を使った。
 俺の手に魔力の塊で出来た弾丸が生成された。

 その弾丸を手の甲に押し付けると紋章が弾丸を吸い込んだ。

『武具の性能が2倍に上昇しました』

『効果時間は、残り130秒です』

 強化の紋章の力で技量の値と同じ秒数だけ刀の攻撃力が300から600に上昇する。この力で一気に畳みかける!
 俺は魔力ポーションを飲んでスピードラビットの巨体に飛び込み、顔に連撃を食らわせた。

「グオオオオオオオ!」

 張り付くように攻撃を繰り返し、スピードラビットが狂化状態になるが構わず攻撃を続けた。
 後ろから大ボス3体が迫る。
 早く倒れろ!間に合え!

 スピードラビットの眉間に刀を突きさすと、巨体が魔石とドロップ品に変わる。

『レベルが91から92に上がりました』

『レベルが92から93に上がりました』

『レベルが93から94に上がりました』

『武具強化の残り時間は後67秒です』

 俺は後ろから迫ってきたテクニカルチキンの咥えた巨大なハンマーを避けて攻撃するがアタックボアが追い付いて来てテクニカルチキンもろともタックルをしてきた。

 俺が吹き飛ばされると、追い打ちをかけるようにマジックブルが魔法攻撃を乱射してくる。

 炎の直撃を受け、風の刃で太ももが切れて血が出てくる。

 魔法攻撃とアタックボアの巨体によるタックル、更にテクニカルチキンが咥えている巨大なハンマーを必死で躱す。

「く!避けきれないか!」

『武具強化の残り時間は後13秒です』

 更にマジックブルの放つ風魔法で胸に直撃を受け、斬撃のような傷を受ける。

『武具強化の効果が切れました』
 
 息が続かない。

 カウンターとステップが使えればこうはならなかった。
 いや、それ以前にスタミナが切れそうだ。

 何度もステップとカウンターを使いたい衝動に駆られる。

 俺の目に信じられないものが飛び込んできた。

 俺に強制クエストを与えた女性兵士が戦士を連れて走って来る。

「総員!突撃です!分散して注意を逸らしてください!ハヤトさんの為に隙を作るんです!」
「無茶だ!死にに行くようなものだ!」
「ハヤトさん!無理して倒してください!みんながハヤトさんにかけているんです!」

 戦士たちはすでにボロボロで、しかも意図的にターゲットを分散するように動いて的になる。
 怯えていた姿とは打って変わり、果敢に大ボスの注意を引き付けていた。

 自らを的にして注意を引き付けているんだ!


 無理して倒せか、いや、皆が無理をしている!
 俺も、無理をしよう!
 俺はポーションと魔力ポーションを飲みながら走る。

 テクニカルチキンだけを狙った。
 テクニカルチキンの上に飛び乗って首と頭を狙って刀を何度も突き刺す。

 俺を振り払おうとするが何度も何度も何度も食らいつくように攻撃を続けた。


 
『レベルが94から95に上がりました』

『レベルが95から96に上がりました』

 ステータスを振りつつマジックブルに迫る。
 魔力を使い果たしていたマジックブルは俺の猛攻で簡単に倒れた。

『レベルが96から97に上がりました』

『レベルが97から98に上がりました』

「こー!ひゅー!こー!ひゅー!」

 アルナ4昇天と闘って気絶する前、その時と同じ感覚がする。
 俺は、もう長く戦えない。

 最後に残ったアタックボアの前足を攻撃した。
 こいつはしぶとい。
 防御力とHPが高く、何度攻撃しても中々倒れない。

 みんなの声だけでなく、音が聞こえなくなっていく。
 アタックボアの動きが遅くなっていく。
 景色が白黒に変わり、アタックボアに攻撃を繰り出す。

 MPが完全回復した瞬間に強化弾丸を生成して手の甲に押し付けた。

『武具の性能が2倍に上昇しました』

 魔力ポーションを飲んで頭痛を感じ、魔力が無くなり体が重い感覚も無視して刀を振る。

 アタックボアが前足で蹴り上げてくるが、最低限の動きで躱しつつ刀で斬りつける。

 体の内側に燃える温かい何かを感じる。
 そのなにかが意思となって俺を動かすような感覚を覚えた。

 アタックボアの動きが、未来が見える。
 無数の未来が多重に枝分かれする。

 その中から一番いい未来を選び取る。

 俺が生き残り、アタックボアに攻撃を当てる未来を選び取る!

 俺はアタックボアの攻撃をギリギリで躱しながら相手の動きを利用するように刀で斬っていく。

 俺を蹴り上げようとした瞬間に刀を突きさす。

 俺を踏みつけようとした瞬間に避けてジャンプしつつ交差するように刀を振り上げる。
 踏みつける足と交差するように刀が足を切り裂く。

 アタックボアの動きが止まる未来に合わせて刀を振る。
 刀に吸い込まれるように俺の攻撃が当たっていく。

 何度も俺への攻撃を避けて刀を振る。

『武具強化の効果が切れました』

 アタックボアの固い体と強い攻撃で刀がきしむ。
 刀が折れる未来を先読みして魔力弾丸を手の甲に押し付ける。

『武具の耐久力と銃弾が回復しました』

 アタックボアの前足が折れるように地面に着くと、顔に刀を突きさす。

 後ろ脚を使ってタックルを仕掛けるが、タイミングを合わせて刀で斬る付けつつ後ろに下がる。
 攻撃を剣で防いでも衝撃で骨がきしむ。

 ポーションを飲む。

「リジェネ!」

 壊れようとする体をポーションとリジェネで治しながら戦う。



 何度も何度も無数に斬り、無数に突きさす。

『レベルが98から……

 俺は、レベルアップの声を聞きながら、途中で意識を失った。
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