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第107話
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「はははははは!僕の勝ちだ!勝ったんだ!」
「アサヒ選手!ご苦労様でした。続きまして、本日のメインイベントです。ハヤト選手による新ジョブ、ハイブリッドの使用感をお聞かせください」
俺に魔道マイクが向けられる。
「まだ、始まったばかりで掴めていない。ステータスを開示するから、皆好きに見て欲しい」
俺はステータスを開示した。
アサヒの顔が怒りに歪んでいく。
「何でハヤトが主役のようになっているんだい!
おかしいおかしいおかしいおかしい!
僕が勝ったんだ!
なんでハヤトが注目されているんだ!」
「アサヒ選手、お疲れさまでした。余興は終わりましたので、お帰りください」
アサヒは審判に嫌われている。
「余興!?
おかしいおかしい!
腕を掴むな!
離せええ!離せよおおお!」
アサヒが退場していく。
「他に質問はありますか?」
セイコウコウボウがジャンプしてリングに降りてくる。
楽しそうに俺を見る。
「1分とはいえ、能力値7倍差の相手に対して引き分けに持ち込んでいたけど、あれはスキル?それともバトルセンスかな?」
「スキルは無い」
「バトルセンスか、中々出来る事じゃない。並みのバトルセンスじゃないね」
アサヒが観客席から出て怒鳴る。
「引き分けじゃない!僕が勝った!もう一度戦え!」
アサヒは悔しそうに叫ぶが、取り押さえられて会場を出て行く。
「後バトルモードが終わった後のあの光は何?」
「試練だ。俺は皆とパーティーを組んだり、協力プレーが出来ない。そういう試練を受けている。HPを削った魔物を倒そうとしても光の壁に阻まれて魔物に攻撃できなくなる」
「ふ~ん」
セイコウコウボウは無言で俺を殴ろうとする。
光の壁が発生して攻撃が俺に通らない。
セイコウコウボウはちょっとづつ攻撃を強くし、最後は武器で俺を殴ろうとする。
怖い怖い!
壁を突き抜けたら俺は死ぬんだ!
「やめてくれ!」
「そうか~。大体分かった」
俺の話を聞いていない!
こいつのこう言う所が怖いんだ。
子供のような急に何をするか分からない怖さがある。
「ハイブリッドの使用感を聞きたい」
「まだ始めたばかりで掴めていない」
「それは分かる。今の使用感は?」
「……使い勝手の悪い、紋章装備」
「今後ハイブリッドの能力はどうなると思う?」
「使い勝手の悪い、器用貧乏かな?」
「良く分かったよ。次回も楽しみだ」
セイコウコウボウがジャンプして席に戻る。
そう、アサヒとのバトルモード対決は1回で終わりではない。
まだあるのだ。
その後も質問は続いた。
「武具の耐久力はあるの?あるなら耐久力は回復するの?」
「耐久力はある。少しづつ自然回復している。リペアのカードと紋章チャージは出来なかった」
「女神さまはどんな人?」
「人とは思えないような美人で、考えは掴めなかった」
質問は続く。
◇
「今日はここまでですわ!ハイブリッドの能力については、学園でまとめて全員に開示しますわ!」
ファルナ、助かる。
学園で検証した内容を聞かれる事が多かった。
それにクラスメートに聞けば済む質問内容が多いし、質問じゃなく演説になって話し続ける質問者もいた。
セイコウコウボウは会場から消えていた。
【セイコウコウボウ視点】
アサヒとハヤトのバトルモードが終わり、聞きたいことを聞いて僕はすぐ教会本部に向かった。
バトルモードは楽しかったのに、今からくだらない会議か。
そこには幹部がずらりと並び、座っていた。
「ボウ、遅い。早く座れ」
無能のじじいがある程度減り、会議の雰囲気は少し良くなっていた。
僕の事をセイコウコウボウではなく、ボウと呼ぶ。
ま、剣や棒と呼ばれて、人間扱いされてないんだけどね。
「ケン、闘技場の視察に行ってたんだよ」
セイコウコウケンは堅苦しくてめんどくさい。
バトルモードで戦う時は楽しいけど、会議では会いたくない相手だ。
「見たくて行っただけだろう」
「その話はいい、いまは会議を始める。今回は転移者、いや、転生者の危険人物について、そして聖魔導士のスキルのありようが変わった事についてだ。
まずは転生者について話す。
代償前の危険人物は、アオイ・アサヒ・ハヤトの3名だけだった。
まずは報告を聞こう」
報告役の者が話し始める。
「まずアオイですが人目を避け、ダンジョンでレベルを上げる生活を送っています」
「理由は分かるか?」
「はっきりとは分かりませんが、スティンガーに犯されている過去を持つため、慎重になっているのかもしれません。そして、魔道具による鑑定を行いましたが、異端者ではなくなっているようです」
「次」
「はい、アサヒですが勇者騎士団の解散後、教会騎士団への入団を希望しましたが、門前払いをしました。今のレベルはたった7で、危険人物とは言えません」
「勇者騎士団を解散させたのも、門前払いしたのも正解だね。あいつはスティンガーの英雄騎士団に入って英雄騎士団を殺そうとして、その後はアルナの隊に入ってアルナを恨んで殺そうとした。味方にしても敵にしても厄介だよ」
「最後に、ハヤトですが、完全に力を失い、今は最弱ジョブであるハイブリッドになっています。全員手を下す必要は無いかと」
僕は口角を釣り上げた。
確かに現状ハイブリッドは弱い。
専用紋章のせいで、錬金術師の作った紋章装備を装備出来ず、スキルも強いとは言えない。
でも、あのバトルセンスは中々のものだ。
もし、ハイブリッドの力が覚醒して……ジョブがそこまで強くならなくてもいい。
普通レベルのジョブレベルまで伸びれば、一気に最強候補に躍り出るだろう。
女神は皆に平等に力を与えようとしている。
今回のジョブや能力値の変更にはそういう意図を感じる。
そう考えると、ハイブリッドが最弱のままとは思えない。
「罪人をハイブリッドにして、教会でもジョブの分析をした方がいいと思うよ」
「検討しよう」
やらないか。
検討=やらないって事だ。
でも、僕は提案した。
それを聞かなかったのは上だ。
書記を確認すると、しっかり僕の発言は議事録に記載されていた。
ハイブリッドが強くなったとしても、僕が責任を取らされることは無いだろう。
教会は何かあると僕たちに責任を押し付けて火消しをさせる。
こういう根回しをしても、責任を押し付けられたりするんだけどね。
やらないよりはましだ。
「そっかー。可能性を考えると、ハイブリッドの分析も必要だと思うけどな~。上は乗り気じゃないのか~」
書記はしっかりと僕の発言を記載していく。
僕は書記の記載をしっかりと確認した。
まったく、こういう発言をして気を回さないと、すぐに責任を押し付けられる。
だから会議は嫌いだ。
「続いては本日最も重視すべき聖魔導士の法則変化についてだ。
この議題が今回の会議のメインテーマとなる。
『儀式』のスキルが無くなった事で、教会の収益悪化が見込まれる。
そして、聖魔導士が魔導士に統合されたことで、回復魔法の価格暴落が……」
くだらない。
利権にすがりついて自分では何もしない老人が焦って騒いでいる。
もっと老人が死ねばよかったのに。
セイコウコウボウは黙って会議をやり過ごした。
そして会議を聞かず、戦いの事を考える。
僕と闘えるほど強くなりそうなのは『カムイ』だ。
バトルセンスが高く、いや、バトルセンスは僕の少し下か。
そしてレベルの上がり方も異常に速い。
恐らく女神の切り札だ。
でも、『ハヤト』にも可能性を感じる。
恐らく、僕と、カムイの次にバトルセンスが高いのはハヤトだ。
そして、ハイブリッドは、成長すればどう化けるか分からない。
早く、早く育てて、戦いたい。
【ハヤト視点】
アサヒとのバトルモードが終わると、カムイが話しかけてきた。
「いまから、話を、しないか?」
「俺も、話をしたいと思っていた」
俺も話が聞きたいと思っていた。
トレイン娘のことが気になって聞き忘れていた事があった。
女神に聞いておけばよかったと後悔している事がある。
ゲームの真実を。
そしてなぜ俺達は召喚されたのか?
「アサヒ選手!ご苦労様でした。続きまして、本日のメインイベントです。ハヤト選手による新ジョブ、ハイブリッドの使用感をお聞かせください」
俺に魔道マイクが向けられる。
「まだ、始まったばかりで掴めていない。ステータスを開示するから、皆好きに見て欲しい」
俺はステータスを開示した。
アサヒの顔が怒りに歪んでいく。
「何でハヤトが主役のようになっているんだい!
おかしいおかしいおかしいおかしい!
僕が勝ったんだ!
なんでハヤトが注目されているんだ!」
「アサヒ選手、お疲れさまでした。余興は終わりましたので、お帰りください」
アサヒは審判に嫌われている。
「余興!?
おかしいおかしい!
腕を掴むな!
離せええ!離せよおおお!」
アサヒが退場していく。
「他に質問はありますか?」
セイコウコウボウがジャンプしてリングに降りてくる。
楽しそうに俺を見る。
「1分とはいえ、能力値7倍差の相手に対して引き分けに持ち込んでいたけど、あれはスキル?それともバトルセンスかな?」
「スキルは無い」
「バトルセンスか、中々出来る事じゃない。並みのバトルセンスじゃないね」
アサヒが観客席から出て怒鳴る。
「引き分けじゃない!僕が勝った!もう一度戦え!」
アサヒは悔しそうに叫ぶが、取り押さえられて会場を出て行く。
「後バトルモードが終わった後のあの光は何?」
「試練だ。俺は皆とパーティーを組んだり、協力プレーが出来ない。そういう試練を受けている。HPを削った魔物を倒そうとしても光の壁に阻まれて魔物に攻撃できなくなる」
「ふ~ん」
セイコウコウボウは無言で俺を殴ろうとする。
光の壁が発生して攻撃が俺に通らない。
セイコウコウボウはちょっとづつ攻撃を強くし、最後は武器で俺を殴ろうとする。
怖い怖い!
壁を突き抜けたら俺は死ぬんだ!
「やめてくれ!」
「そうか~。大体分かった」
俺の話を聞いていない!
こいつのこう言う所が怖いんだ。
子供のような急に何をするか分からない怖さがある。
「ハイブリッドの使用感を聞きたい」
「まだ始めたばかりで掴めていない」
「それは分かる。今の使用感は?」
「……使い勝手の悪い、紋章装備」
「今後ハイブリッドの能力はどうなると思う?」
「使い勝手の悪い、器用貧乏かな?」
「良く分かったよ。次回も楽しみだ」
セイコウコウボウがジャンプして席に戻る。
そう、アサヒとのバトルモード対決は1回で終わりではない。
まだあるのだ。
その後も質問は続いた。
「武具の耐久力はあるの?あるなら耐久力は回復するの?」
「耐久力はある。少しづつ自然回復している。リペアのカードと紋章チャージは出来なかった」
「女神さまはどんな人?」
「人とは思えないような美人で、考えは掴めなかった」
質問は続く。
◇
「今日はここまでですわ!ハイブリッドの能力については、学園でまとめて全員に開示しますわ!」
ファルナ、助かる。
学園で検証した内容を聞かれる事が多かった。
それにクラスメートに聞けば済む質問内容が多いし、質問じゃなく演説になって話し続ける質問者もいた。
セイコウコウボウは会場から消えていた。
【セイコウコウボウ視点】
アサヒとハヤトのバトルモードが終わり、聞きたいことを聞いて僕はすぐ教会本部に向かった。
バトルモードは楽しかったのに、今からくだらない会議か。
そこには幹部がずらりと並び、座っていた。
「ボウ、遅い。早く座れ」
無能のじじいがある程度減り、会議の雰囲気は少し良くなっていた。
僕の事をセイコウコウボウではなく、ボウと呼ぶ。
ま、剣や棒と呼ばれて、人間扱いされてないんだけどね。
「ケン、闘技場の視察に行ってたんだよ」
セイコウコウケンは堅苦しくてめんどくさい。
バトルモードで戦う時は楽しいけど、会議では会いたくない相手だ。
「見たくて行っただけだろう」
「その話はいい、いまは会議を始める。今回は転移者、いや、転生者の危険人物について、そして聖魔導士のスキルのありようが変わった事についてだ。
まずは転生者について話す。
代償前の危険人物は、アオイ・アサヒ・ハヤトの3名だけだった。
まずは報告を聞こう」
報告役の者が話し始める。
「まずアオイですが人目を避け、ダンジョンでレベルを上げる生活を送っています」
「理由は分かるか?」
「はっきりとは分かりませんが、スティンガーに犯されている過去を持つため、慎重になっているのかもしれません。そして、魔道具による鑑定を行いましたが、異端者ではなくなっているようです」
「次」
「はい、アサヒですが勇者騎士団の解散後、教会騎士団への入団を希望しましたが、門前払いをしました。今のレベルはたった7で、危険人物とは言えません」
「勇者騎士団を解散させたのも、門前払いしたのも正解だね。あいつはスティンガーの英雄騎士団に入って英雄騎士団を殺そうとして、その後はアルナの隊に入ってアルナを恨んで殺そうとした。味方にしても敵にしても厄介だよ」
「最後に、ハヤトですが、完全に力を失い、今は最弱ジョブであるハイブリッドになっています。全員手を下す必要は無いかと」
僕は口角を釣り上げた。
確かに現状ハイブリッドは弱い。
専用紋章のせいで、錬金術師の作った紋章装備を装備出来ず、スキルも強いとは言えない。
でも、あのバトルセンスは中々のものだ。
もし、ハイブリッドの力が覚醒して……ジョブがそこまで強くならなくてもいい。
普通レベルのジョブレベルまで伸びれば、一気に最強候補に躍り出るだろう。
女神は皆に平等に力を与えようとしている。
今回のジョブや能力値の変更にはそういう意図を感じる。
そう考えると、ハイブリッドが最弱のままとは思えない。
「罪人をハイブリッドにして、教会でもジョブの分析をした方がいいと思うよ」
「検討しよう」
やらないか。
検討=やらないって事だ。
でも、僕は提案した。
それを聞かなかったのは上だ。
書記を確認すると、しっかり僕の発言は議事録に記載されていた。
ハイブリッドが強くなったとしても、僕が責任を取らされることは無いだろう。
教会は何かあると僕たちに責任を押し付けて火消しをさせる。
こういう根回しをしても、責任を押し付けられたりするんだけどね。
やらないよりはましだ。
「そっかー。可能性を考えると、ハイブリッドの分析も必要だと思うけどな~。上は乗り気じゃないのか~」
書記はしっかりと僕の発言を記載していく。
僕は書記の記載をしっかりと確認した。
まったく、こういう発言をして気を回さないと、すぐに責任を押し付けられる。
だから会議は嫌いだ。
「続いては本日最も重視すべき聖魔導士の法則変化についてだ。
この議題が今回の会議のメインテーマとなる。
『儀式』のスキルが無くなった事で、教会の収益悪化が見込まれる。
そして、聖魔導士が魔導士に統合されたことで、回復魔法の価格暴落が……」
くだらない。
利権にすがりついて自分では何もしない老人が焦って騒いでいる。
もっと老人が死ねばよかったのに。
セイコウコウボウは黙って会議をやり過ごした。
そして会議を聞かず、戦いの事を考える。
僕と闘えるほど強くなりそうなのは『カムイ』だ。
バトルセンスが高く、いや、バトルセンスは僕の少し下か。
そしてレベルの上がり方も異常に速い。
恐らく女神の切り札だ。
でも、『ハヤト』にも可能性を感じる。
恐らく、僕と、カムイの次にバトルセンスが高いのはハヤトだ。
そして、ハイブリッドは、成長すればどう化けるか分からない。
早く、早く育てて、戦いたい。
【ハヤト視点】
アサヒとのバトルモードが終わると、カムイが話しかけてきた。
「いまから、話を、しないか?」
「俺も、話をしたいと思っていた」
俺も話が聞きたいと思っていた。
トレイン娘のことが気になって聞き忘れていた事があった。
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そしてなぜ俺達は召喚されたのか?
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