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第99話

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 それにしてもアサヒの怒りが収まらない。
 同じような内容の事を少し言葉を変えて何度も女神に当たり散らす。


「なあ、俺は話を進めたい」
「ハヤトのくせに割って入るなあああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 俺の話を遮ってアサヒが怒鳴る。
 これで全員が何も言わなくなった。



 アサヒが怒鳴り疲れたタイミングで女神が口を開いた。

「生まれ変わる世界と言っても、大きく変わるのはステータスのシステムです。
 選択できるジョブが4つに絞られます。

 そして、ダンジョンや魔物も変わります。
 私が光を与える事で、闇も対抗して工夫を凝らすようになるのです」

「人はそのままで、ステータスシステムとダンジョンの中身や魔物が変わると考えて良いか?」
「そうです」
「そこに俺達がまた初期値の能力に戻って転移すればいいのか?」

「今回は転移ではなく転生です。すでに体がボロボロの者もいますから」

 アサヒ以外の全員が俺を見た。

「俺のことか?」

 確かに思い当たる節はある。
 体が生きようと、回復しようと頑張っているのを感じていた。

 でもそれは、体が追い詰められているから感じることが出来たんじゃないのか?
 体に死が迫る事で、体が生きようとしているのを感じることが出来たように思う。

 それに、無理をしているというなら、アオイも同じ事だろう。
 
 息を整えたアサヒがまた怒鳴る。

「次は強いジョブになる!もう僕を騙すなああああ!!」
「騙していませんよ。分かりやすいように新たな4つのジョブの簡単なイメージを皆に与えます」

 皆の体が光って、4つのジョブの簡単なイメージが流れ込む。
 戦士・魔導士・錬金術師・ハイブリッドの4つだ。

 戦士のイメージは、すべての近接武器と弓を使えるが、紋章装備の関係で結局取得するのは1系統の武器になる。
 ただ、純粋な戦闘能力では最強候補だろう。

 魔導士は、聖魔導士・闇魔導士・4元魔導士を統合され、攻撃魔法、回復魔法、強化魔法、何でもできるようになったかわりに、魔法の威力が少し弱くなっている。
 使いやすい魔導士のイメージが流れ込んでくる。

 錬金術師は、ポーションと紋章カード作成両方のツリーが取得可能となった。
 戦闘よりはサポートが得意か。
 
 そして最後はハイブリッド。
 このジョブは勇者の代わりで、戦士・魔導士・錬金術師の能力を少しづつ受け継ぎ、勇者のようなブレイブアーツすら持たない。
 最弱であることが分かる。

 最強の戦士
 
 万能に近い魔導士

 サポートの錬金術師

 最弱のハイブリッド

 女神から与えられたのはあくまでイメージだ。
 詳細までは分からないが、ハイブリッドだけは誰も選ばないだろう。

「僕は戦士になる!ハヤト!お前はハイブリッドになれえええええええ!そして僕と勝負しろおおおおおお!勇者の苦労を思い知れええええ!!」

「言っている事がめちゃくちゃだ」
「僕は勇者になって苦労してきた!ハヤトも勇者に近いハイブリッドになって僕の苦労を味わえええええ!ぬくぬくと陰でずる賢く立ち回る卑怯者はもっと苦労すべきだよ!!!」

 アサヒの言っている事は訳が分からない。

「そもそもこのジョブは選択できるかどうか分からないだろ?」

「出来ますよ。そして、ハヤトにはハイブリッドになって欲しいのです。世界には多様性が足りません」
「多様性、か。ジョブの多様性を確保したいのか?」



「そうですね、それもあります。

 もし剣を使う強い者が現れたとします。

 そうすれば多くの者が剣を使おうとするのです。結果剣使いが多くなりすぎて多様性を失います。

 ジョブとスキルは可能性です。

 多くの者が自分で考え、スキルの組み合わせを自らで悩み、考える事で、様々な事に対応できる柔軟な力を手に入れ、魂は成長していきます。

 個の成長の蓄積が結果、世界を救うのです」

「多様性を確保するために俺にハイブリッドになって欲しいのか」
「そうなります」

「でも、多様性があっても弱いなら良い方向に進まないんじゃないか?」
「ハヤト!ハイブリッドになるんだ!そして僕と闘え!」

「話が進みませんね。個別に話を聞きます」

 そう言った瞬間に俺達全員がワープする。
 目を開けると、白い部屋にいた。

 そしてそこには、ベッドで眠るトレイン娘がいた。

「トレイン娘!」

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