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第96話

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【アサヒ視点】

 ファルナ騎士団がアルナの拠点に向かう情報はすぐに届いた。

「アサヒ様!ファルナ騎士団がアルナ騎士団の拠点に攻撃を仕掛けるようです!」
「ついに動いたようだね。ファルナ騎士団をおとりにして、その隙にアルナを倒すよ!」

「で、ですが、私達には、アルナに勝てるだけの力がありません!」
「大丈夫だよ。僕をアルナの元まで送り届けて欲しい」

「送り届ければ倒せるのですか!?」
「そうだよ、僕は特別な勇者の力を持っているんだ!」

 歓声が上がる。

「総員我ら44名!必ずや勇者アサヒ様をアルナの元へ送り届けます!」

 黄色い歓声が鳴り続ける。

 僕は両手を広げ、目を閉じながらその歓声を浴びた。

 気分がいい。
 僕はこういう扱いをされるべきだ。
 スティンガーもアルナも皆間違えた。

 僕はトップにいるべき人間だ。
 その僕を道具のように使い、殺そうとしたスティンガーは地獄に落ちた。

 アルナ、君も地獄に落ちるよ。
 僕が殺すからね。

「はははははははは!アルナ騎士団とファルナ騎士団がぶつかった瞬間にアルナの首を取るよ!」

 こうして僕を先頭にして、勇者騎士団はアルナの拠点に向かった。

 急がず、歩いて、ゆっくり進む。

 力を温存して、一気に爆発させる。
 ブレイブアーツの餌食になるんだ!
 
 アルナ!


 道を進むと善意の国民が傷を受けていた。

「おお!アサヒ様!ついにアルナを倒すために動くのですね」

 善意の国民は、何故かダミーファックやエクスファックの鞭攻撃をような傷を受けていた。

「その傷は?」
「これは、アルナが教会を襲撃し、エクスファックとダミーファックの封印を解いたようなのです。今教会はその対応に追われているようです。正義の教会を攻撃するなど、アルナの行いは許される事ではありません!」

「安心するんだ、今僕が倒しに行くよ!」
「おお!勇者様がついに動いてくださる!今レジスタンスがアルナの拠点を攻め、失敗に終わったようです。どうやら拠点の中には防御型のカードゴーレムがいるようです」

「カードゴーレム?」

「カードゴーレムはアルナの紋章術で作り出されたゴーレムで、1体だけで私達勇者騎士団1人に近い強さを持っています」

 団員が説明した。

「私達が道を作ります!」
「勇者様は必ずアルナの元へ送り届けます!」

「急いだ方がいいかもしれませんな。今ファルナ騎士団とアルナ騎士団の戦いが始まろうとしています!うかうかしていると決着がついてしまうでしょう」

「急ごう、すぐに拠点に突入するよ!」

「「はい!」」

 勇者騎士団は急いでアルナの拠点に向かった。



【教会騎士団視点】

 教会騎士団の男は勇者騎士団を見送った。

「やっと向かったか。まったく、動きの遅い無能が。代償の時まで時間が無いと言うのに」

 仕方が無いか、アサヒは代償の事を知らないようだ。

 勇者はここで死に、アルナも死ねばこちらとしては都合がよい。

 いや、アサヒはどうでもいいか。
 この闘いが終われば、勇者騎士団は容易に解散させることが出来る。

 何もせずとも、アサヒは自滅するだろう。
 奴は自分に甘く、他人に厳しすぎる。
 長い目で見れば勝手にメッキがはがれていくだろう。

 しかしアルナめ。
 舐めすぎていた。

 教会騎士団を殺し、本部を襲撃しエクスファックとダミーファックの封印を解く奇襲の鮮やかさとその知略。
 これによって我らの動きは制限された。

 そして、代償開始直前にファルナ騎士団に奇襲をかけた。
 ファルナ騎士団が油断した瞬間を突いた攻撃、侮れん。

 だがアルナはミスを犯した。

 ハヤトを怒らせた事だ。

 ハヤトはエクスファックを何度も倒し、スティンガーを倒し、4昇天の内2人を連続で倒した。

 ハヤトは命を削って全力でアルナを殺しに行くだろう。

 確かにアルナの方がハヤトより強い。
 だが、命を削る者は何をして来るか分からん怖さがある。

 アルナがハヤトを殺したとしても、アルナ勢力の弱体は避けられん。

「ハヤト、応援している。死んでもアルナを殺せ。そうなれば都合がよい」


 



 あとがき
 続きが気になる場合はカクヨムで129話まで先行して投稿しております。
 そしてこの作品を超える代表作もカクヨムに投稿しております。
 ではまた!
 
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