NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
88 / 179

第88話

しおりを挟む
【王国歴999年冬の月87日】

 俺は朝日と共に目覚めた。
 昨日の昼辺りからずっと寝ていたのか。

 隣にはトレイン娘とシスターちゃんがいた。
 俺が起き上がろうとすると、トレイン娘が俺にやさしく手を当てた。

「ダメですよ。今は休みましょう」
「もうちょっと横になるけど、水が欲しい。後血が足りない。何か食べるものを持って来て欲しい」

 トレイン娘が水の入ったコップで俺に水を飲ませる。
 俺を抱きかかえて水を飲ませてくれるけど、老人介護を受けているようだ。
 でも、トレイン娘に介護されるのはいいものだな。

「次は果物にしましょうか?」
「うん、頼む」

 シスターちゃんはなかなか起きないな。
 トレイン娘がナイフと果物を持って戻って来る。
 トレイン娘は俺の視線に気づいた。

「シスターちゃんは疲れているんです。昨日は何度も回復魔法を使って何度も魔力ポーションを飲みましたから」

「まさかアオイの状態が悪いのか?」
「いえ、ハヤトさんが倒れた事で、皆頑張ってレベルを上げようとした結果ですよ。ハヤトさんにばかり責任を押し付けてられませんから」

 そう言ってトレイン娘が俺の口に果物を差し出した。
 トレイン娘はいつも声が大きめだけど、今日は気を使って小さい声で話してくれてる。
 甘い果物が体に染み渡るようだ。

 水とは違う水分を摂っているような不思議な感覚だ。
 果物の水分は水より体に染み渡る気がする。
 
「多めに切りますね」
「ありがとう。そう言えば、代償が来たら、トレイン娘のレベルリセットを手伝えなくなるかもな」

 トレイン娘は満面の笑顔になった。

「私は、その方がいいと思ってるんです」
「ん?」

「ハヤトさんは、代償が来ないと、ずっと走っていそうじゃないですか。安全になっても『安全な今なら脅威を気にせずレベルを上げられるよな?』な~んて言ってダンジョンに行きそうじゃないですか」

「それって普通じゃないか?」
「普通じゃないです」

「いや、でも、何か危機がある時って腰を据えて力を高める事は出来ないだろ?平時こそ力を高めるチャンスじゃないか」
「それはそうですけど普通じゃないです」

「何か起きた時に焦るより、平和な時に訓練しておいた方が安全だろ?」
「そうですけど普通じゃないです」

 トレイン娘は俺の頭を撫でた。

「心配してるんですよ。そうやっていつも走っていたら、ハヤトさんが壊れちゃいます」
「俺は最初にレベルを上げて、後で楽をしたいタイプだって前に言った気が、あ、クラス会議の時だからトレイン娘はいないか」

 どうも頭がぼーっとする。

「ハヤトさん、今は休みましょう」

 そう言って俺の口に果物を差し出した。
 果物をそしゃくして飲み込む。

「旨いな」
「冬のに取れる数少ない果物ですよ。果物でも食べると体を温めてくれます。もっと食べますか?」
「うん、食欲が出て来た」

 俺は果物を咥えた。

「ヒール!」

 シスターちゃんが起きてすぐに俺にヒールをかけた。
 そして、俺が咥えた果物を食べる。

「おいひいのです」

 シスターちゃんがリスのように見える。

「シスターちゃん、もうハヤトさんの傷は治ってますよ」
「おまじない替わりなのです。気にしないで欲しいのです」
「ハヤトさんとシスターちゃんはたくさん果物を食べましょう」

「頼む」
「欲しいのです」

「シスターちゃん、服を着ようか」
「気にしないで欲しいのです」
「ハヤトさんも着てませんよ」

「……その通りだ」

 俺はシスターちゃんやトレイン娘とのんびり過ごした。
 昼を軽く済ませたらまた眠り、起きたら 皆が帰ってきた。

 ファルナとアオイが儀式の間にやって来る。
 ファルナとアオイは最近仲がいい気がする。

 厳しい判断を迫られるファルナと的確なアドバイスをくれるアオイは自然と密になっていくのかもしれない。

「もう大丈夫ですの?」

 ファルナは俺のおでこに手を当てた。

「寝てれば治る、ファルナはお母さんみたいだよな」
「私も18才ですわよ」
「見た目じゃなくて、性格がだ」

「意識した事はありませんでしたわ」
「ファルナ、そろそろハヤトに抱かれてみるのもいいと思うわ」

「わ、わたくしはまだ、その、もう!アオイ!からかうのはよくありませんわよ!」

「ふふふ、悪かったわ」
「アオイ、お前昨日たくさん血を流しただろ?無理してないか?」
「本当ですわ!ハヤトの次にケガが酷かったのはアオイですのよ!」

「そうね、お言葉に甘えてハヤトと一緒に眠ろうかしら」
「そうですわね。今日はゆっくりここで過ごすのですわ」

 ファルナがアオイをベッドに寝かせた。

「冗談なのだけど?」
「いいのですわ。わたくしはその冗談を利用してアオイを休ませるのですわ。アオイの心の傷は少し分かる気がしますわ。わたくしは体より心の傷を心配していますのよ。ハヤトのそばにいて、少しでも心の傷を癒して、体の傷も癒すのですわ」

 ファルナがアオイを抱きしめてアオイの頭を撫でた。
 ファルナは長い抱擁の後に部屋を出て行った。

「私、頭を撫でられるのは嫌いなのだけど」
「嫌じゃなかったんだろ?それはファルナが優しいからだ」

「やさしい、から」

 そうか、ファルナの父親はクズで、残る姉妹も皆クズだった。
 今は姉妹で潰し合いをしている。
 まともな家族とは言えない。

 ゲームでは当然のように出て来たファルナの家族だけど、その背景は、アオイと重なる部分があるのかもしれない。

 ファルナがアオイの事をなんとなく分かるのも、お母さんっぽくて世話焼きでみんなを助けようとするのも、痛みを知っていることの裏返しに思えた。

 俺がもしファルナの立場だったらアオイのようになっていたのかもしれない。

 俺は、相手が武器を持って殺しに来たら人を殺してきた。
 スティンガーの英雄騎士団の時はそうした。

 俺は、アオイと同じ目に合ったら、自分に危害を加えそうな者は先手を打って殺すようになり、どんどん簡単に人を殺せるようになっていく気がする。
 アオイは人を殺していないかもしれないが、人を殺しそうな危うさを感じていた。

 俺は無意識にアオイの頭を撫で、アオイは黙って俺に撫でられていた。






しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...