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第73話
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俺達はダンジョン6階に向かった。
アオイは少し落ち着かない顔で、俺の顔を何度も見ていた。
「アオイ、集中しよう!」
「……何を考えているの?」
「気にするな。今は6階だ。やつが居る!」
「ダミーファックね」
トレイン娘・エリス・シスターちゃんが一斉にアオイの方を向いた。
「あの悪魔だよね?大丈夫かな?」
「ダミーファックは危険です!でも、今はハヤトさんが居ます!」
「私は、ハヤトさんを信じるのです」
シスターちゃんの手が震えていた。
ダミーファックはこの世界の人間にとって、相当危険な認識のようだ。
「いた」
「丁度いいわね」
俺とアオイは無言で突っ込む。
アオイが先行して突撃した。
「ソニックタイム!ロングスティング!ショートスティング!」
速度をブーストしつつ、アーツを2連続で決める。
そして連撃を繰り出す。
さらに俺が後ろから迫る。
ダミーファックが黒いオーラをまとった。
HPが半分以下になったのだ。
ダミーファックの黒い霧が発動する瞬間にアオイが下がる。
俺は黒い霧にかまわず無視して突撃した。
「月光!三日月!斬月!」
ダミーファックを十字に切り裂き、更に連撃を加えた。
ダミーファックが倒れる。
「もう倒したんですか!」
「凄すぎるよ!」
「え?え?あれってダミーファックじゃなくてエクスファックだよね?」
「いや、あれはダミーファックでエクスファックより弱い奴だ」
「色違いの弱いタイプね」
「2人で戦うとこんなにあっさり倒せるのか」
「そうね、もう少ししたら、7階に行きましょう」
「分かった」
俺達は6階でダミーファックを3体倒し、7階でさらにレベルを上げた。
全員のレベルが60を超え、すぐに帰還する。
「帰る頃には暗くなるか」
「走って降りたい所だけど、難しいわね」
俺とアオイは余裕があったが、4人は疲れていた。
「ダミーファックを、あんなに簡単に倒せるんだね」
「アオイが居たし、輪廻の刀がいい感じだ」
「そういう問題じゃないよ。2人とも、この世界に来てそんなに経っていないよね?ダミーファックを倒せる人間は一握りだよ。普通は何年もかけて上を目指しても、多くの人が死んで、一握りの選ばれた人間だけがたどり着ける領域なんだよ」
「そんなに人が死ぬのか?いや、危ない目には何度もあったか。アオイの方が強いから、今回のはアオイのおかげだな」
「何を言っているの?あなたの方が私より強いわよ」
「アオイでも冗談を言うんだな」
「冗談じゃないわ」
「能力値を見ればアオイの方が強いって分かるだろ」
「ハヤトは能力値で測れない動きをするのよ」
「え?待ってください!私はアオイとハヤトさんが同じくらいの能力値だと思っていましたよ!」
「違うわ。能力値は私の方が上よ。でも、それを感じさせない動きをハヤトがしているのよ。
敏捷は私の方が上ね。
これは分かりやすいわ。
攻撃力も私の方が上ね。
そしてクリティカルの出る確率を見ても、私の方が技量は上。
ハヤトは何度も何度も先読みするように魔物に攻撃をヒットさせ続けるのよ。
すべてカウンターとステップでうまく動いて、張り付くように攻撃するわ。
一見すると、魔物が弱く見えるけれど、ハヤトの動きが良すぎてそう見えるのよ。
ハヤトは効率よく何度も攻撃をヒットさせて、すべての攻撃を躱しつつ魔物を倒しているわ。
私のように攻撃力に頼って瞬殺出来ない分、何度も避けて、カウンターを決めつつ戦っているのね。
何度も死にかけて、何度も危機を感じて、無数に躱して、カウンターを決め続けたハヤトのプレイヤースキルは百戦錬磨の域に達しているわ」
「はははは、まさか。俺は普通の人間だ」
「確かに!そう言われればハヤトさんの動きはおかしいです!」
「ハヤト君が普通じゃないのは分かっていたけど、そこまで普通じゃなかったのね」
「ハヤト、君はいつも謙遜しているけど、凄い人間だったんだね」
「私は最初からハヤトさんに得体のしれない部分を感じていたのです。夜のプレーの技量を見れば分かるのです!」
「夜のプレーは関係無いだろ!みんな元気そうだな!走って降りるか!」
「こうして、夜も調教されるのです」
「しねーよ!」
アオイはくすくすと笑っていた。
俺達がうさぎ亭に帰ると、ファルナと兵士が深刻な顔をしていた。
「どう、した?」
「それが、騎士団結成の儀式の後、王決の試練の負けが確定したのですわ」
「それは、ファルナの4姉妹で王位を争う。皆に施しを与える試練の事かしら?その勝負はお金を稼げる陣営が有利ね」
「そうですわね。負けが確定し、下位の2名でどちらが残るか、敗者復活の試練を受ける事になったのですわ」
「試練ってなんだ?」
「騎士団でエクスファックを倒す試練ですわ」
エクスファックか。
闘技場でクラスの男が殺され危ない目に合った。
あの時は皆の集中攻撃があって何とかなった。
だが、騎士団だけで挑むとなると、きつい。
エクスファックは、ダンジョン9階から10階に行く大部屋の、大ボスだ。
早くダンジョンで力をつける必要がある。
「その試練は何時かしら、明日の、早朝ですわ」
まずい!
準備不足だ!
アオイは少し落ち着かない顔で、俺の顔を何度も見ていた。
「アオイ、集中しよう!」
「……何を考えているの?」
「気にするな。今は6階だ。やつが居る!」
「ダミーファックね」
トレイン娘・エリス・シスターちゃんが一斉にアオイの方を向いた。
「あの悪魔だよね?大丈夫かな?」
「ダミーファックは危険です!でも、今はハヤトさんが居ます!」
「私は、ハヤトさんを信じるのです」
シスターちゃんの手が震えていた。
ダミーファックはこの世界の人間にとって、相当危険な認識のようだ。
「いた」
「丁度いいわね」
俺とアオイは無言で突っ込む。
アオイが先行して突撃した。
「ソニックタイム!ロングスティング!ショートスティング!」
速度をブーストしつつ、アーツを2連続で決める。
そして連撃を繰り出す。
さらに俺が後ろから迫る。
ダミーファックが黒いオーラをまとった。
HPが半分以下になったのだ。
ダミーファックの黒い霧が発動する瞬間にアオイが下がる。
俺は黒い霧にかまわず無視して突撃した。
「月光!三日月!斬月!」
ダミーファックを十字に切り裂き、更に連撃を加えた。
ダミーファックが倒れる。
「もう倒したんですか!」
「凄すぎるよ!」
「え?え?あれってダミーファックじゃなくてエクスファックだよね?」
「いや、あれはダミーファックでエクスファックより弱い奴だ」
「色違いの弱いタイプね」
「2人で戦うとこんなにあっさり倒せるのか」
「そうね、もう少ししたら、7階に行きましょう」
「分かった」
俺達は6階でダミーファックを3体倒し、7階でさらにレベルを上げた。
全員のレベルが60を超え、すぐに帰還する。
「帰る頃には暗くなるか」
「走って降りたい所だけど、難しいわね」
俺とアオイは余裕があったが、4人は疲れていた。
「ダミーファックを、あんなに簡単に倒せるんだね」
「アオイが居たし、輪廻の刀がいい感じだ」
「そういう問題じゃないよ。2人とも、この世界に来てそんなに経っていないよね?ダミーファックを倒せる人間は一握りだよ。普通は何年もかけて上を目指しても、多くの人が死んで、一握りの選ばれた人間だけがたどり着ける領域なんだよ」
「そんなに人が死ぬのか?いや、危ない目には何度もあったか。アオイの方が強いから、今回のはアオイのおかげだな」
「何を言っているの?あなたの方が私より強いわよ」
「アオイでも冗談を言うんだな」
「冗談じゃないわ」
「能力値を見ればアオイの方が強いって分かるだろ」
「ハヤトは能力値で測れない動きをするのよ」
「え?待ってください!私はアオイとハヤトさんが同じくらいの能力値だと思っていましたよ!」
「違うわ。能力値は私の方が上よ。でも、それを感じさせない動きをハヤトがしているのよ。
敏捷は私の方が上ね。
これは分かりやすいわ。
攻撃力も私の方が上ね。
そしてクリティカルの出る確率を見ても、私の方が技量は上。
ハヤトは何度も何度も先読みするように魔物に攻撃をヒットさせ続けるのよ。
すべてカウンターとステップでうまく動いて、張り付くように攻撃するわ。
一見すると、魔物が弱く見えるけれど、ハヤトの動きが良すぎてそう見えるのよ。
ハヤトは効率よく何度も攻撃をヒットさせて、すべての攻撃を躱しつつ魔物を倒しているわ。
私のように攻撃力に頼って瞬殺出来ない分、何度も避けて、カウンターを決めつつ戦っているのね。
何度も死にかけて、何度も危機を感じて、無数に躱して、カウンターを決め続けたハヤトのプレイヤースキルは百戦錬磨の域に達しているわ」
「はははは、まさか。俺は普通の人間だ」
「確かに!そう言われればハヤトさんの動きはおかしいです!」
「ハヤト君が普通じゃないのは分かっていたけど、そこまで普通じゃなかったのね」
「ハヤト、君はいつも謙遜しているけど、凄い人間だったんだね」
「私は最初からハヤトさんに得体のしれない部分を感じていたのです。夜のプレーの技量を見れば分かるのです!」
「夜のプレーは関係無いだろ!みんな元気そうだな!走って降りるか!」
「こうして、夜も調教されるのです」
「しねーよ!」
アオイはくすくすと笑っていた。
俺達がうさぎ亭に帰ると、ファルナと兵士が深刻な顔をしていた。
「どう、した?」
「それが、騎士団結成の儀式の後、王決の試練の負けが確定したのですわ」
「それは、ファルナの4姉妹で王位を争う。皆に施しを与える試練の事かしら?その勝負はお金を稼げる陣営が有利ね」
「そうですわね。負けが確定し、下位の2名でどちらが残るか、敗者復活の試練を受ける事になったのですわ」
「試練ってなんだ?」
「騎士団でエクスファックを倒す試練ですわ」
エクスファックか。
闘技場でクラスの男が殺され危ない目に合った。
あの時は皆の集中攻撃があって何とかなった。
だが、騎士団だけで挑むとなると、きつい。
エクスファックは、ダンジョン9階から10階に行く大部屋の、大ボスだ。
早くダンジョンで力をつける必要がある。
「その試練は何時かしら、明日の、早朝ですわ」
まずい!
準備不足だ!
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