上 下
50 / 179

第50話

しおりを挟む
【王国歴999年冬の月71日】

 朝起きると、シスターちゃんが俺の顔を見て俺の体を触っていた。

「おはようございます」
「おはよう」

「すぐに食事の準備をするのです」
「うーん、多分誰かがもう作っていると思う」
「乗り遅れたのです」

 俺とシスターちゃんが大部屋に行くと、皆が俺とシスターちゃんを見た。

「おはよう。昨日は声が漏れていたか?」

「思いっきり漏れていましたよ!」
「そうだね。シスターちゃんの声が、凄かったよ」
「わ、私ああいう声初めて聴いたかも」

「あれ、ファルナも大部屋に居るのか。ファルナにも聞かれてたか」
「そう、ですわね」
「不快だったか?」

「いえ、その、そういう行為は、自然な事ですわ」
「そうか、やっぱりファルナもそういう行為に興味はあるのか?」
「そ、そうですわね、って!私にだけ聞いて反応を楽しんでますわね!」

「赤くなって可愛かったからついな」
「そういう意地悪はいけませんわよ」
「そうだな、ファルナにだけ聞くのは良くない。ヒメはそういうのに興味はあるか?」

 俺はヒメがきゅうを回収しに来た瞬間に聞いた。
 ヒメが固まる。

「わ、わた、私!そ、そういえば今日はクラス会議があるわ」

 ヒメが露骨に話題を逸らした。

「そうか、何時からだ?」
「お昼から」

「わたくしとエリス、そしてトレイン娘も参加しますわ」
「それまでダンジョンに行って来るけど、アオイとカインは呼ばない方向に出来るか?」

「私、皆と話してくる」
「危ないだろ。俺も行く」
「わたくしの兵を護衛につけますわ」
「私も護衛しますよ!」
「僕も一緒に行くよ」

「みんなが居れば大丈夫か。シスターちゃん、今日からファルナの指示で動いて欲しい」
「分かったです」
「俺はダンジョンに行って来る」

 俺はダンジョンの前に向かう。

 ダンジョンに入る前にステータスを開いた。




 ハヤト 男
 レベル:1
 固有スキル きゅう:LV8
 ジョブ:サムライ
 体力:1+100  
 魔力:1+150  
 敏捷:7+350  
 技量:1+100  
 魅力:0+100 
 名声:0+100  
 スキル・闇魔法:LV10・刀剣術:LV10・超人体:LV10・罠感知:LV10・敵感知:LV10・偽装:LV10・ステップ:LV10・カウンター:LV10 ・儀式:LV10【NEW!】 ・リカバリー:LV10【NEW!】
 武器 漆黒の刀:250 ・防具 漆黒の衣:150 
 斥候の紋章 ・耐性の紋章 



 俺は聖魔法の儀式を取得した。
 これにより自分でクラスチェンジなどの儀式が出来る。
 今までなぜ取らなかったか疑問に思うだろう。
 聖魔法は回復魔法を使え、需要が高い。
 パーティーの場合は必須だ。

 しかしソロで活動するなら話は変わって来る。
 だが、そうしにくい仕組みが組み込まれている。
 まず大前提として聖魔法は攻撃の観点から見て弱い。
 この世界は攻撃できるスキルを取り、火力を上げた方がレベルを上げやすいのだ。
 序盤の金がない時期にクラスチェンジして貴重なスキルポイントを消費して聖魔法スキルを取るのはレベル上げという点から見てマイナスだ。

 そして聖魔法はスキルの数が多くスキル統合のハードルは高い。
 スキル統合無しで運用する場合貴重なスキル枠を圧迫する。

 俺は聖魔導士にジョブチェンジせず、『敵を速攻で倒す』スタイルでここまでスキルポイントを貯めてきた。
 だが、今、やっとスキルポイントを楽に貯めることが出来るようになり、金の目途もついた。
 
 しばらく6階でスキルポイントと魔石を大量に集める!
 やっとスキルと金、両方を高速で貯められる状態に持ってこれた。

 スキル統合でスキル枠を空ける。
 そして金を貯めてもっといい装備に変える。
 さらにきゅうのLVを上げる。

 きゅうのLVはさすがに上がりにくくなってきたが数日でLVは上がるだろう。
 聖魔法と斥候術をスキル統合する頃には、もっと強くなっているはずだ。

 俺は走った。
 そして午前中はダンジョンの6階で魔物を狩って過ごす。



 うさぎ亭に帰ると大部屋にクラスメートが集まっていた。

「俺待ちか?」
「そうですわね」
「悪い、すぐ始めよう」

「焦らなくても大丈夫ですよ!」
「食事会の意味が大きいよ。そっちの方がメインかも」

 テーブルの上には様々な料理が用意されていた。
 そう言っていた通りクラス会議とは名ばかりの食事会が始まった。
 俺は1人ずつから情報を集めていくが、良い情報は中々集まらない。

 というよりクラスの女子は前と同じで固まって2階や3階で行動している。
 変化があまり無いのだ。
 もちろんレベルは上がっているようだが、2とか3しか上がっていない。

 そこに奴らが来た。

「ぼ、僕が凄すぎて、さ、誘いにくいのは、わ、分かるよ。でも気にせず、さ、さそっていいいんだ」

 カインか!
 呼んでないのに来たか!

「アオイも遅かったな」
「呼ばれてないのよ!ハヤトの差し金ね!」
「さて、クラス会議を始めるか」

 アオイは『ちっ!』と舌打ちをする。
 だから呼びたくないんだ。

 しかもカインは皆とは違うテーブルが用意されている。

「ぼ、僕がいくら特別でも、そ、そこまでしなくて良いんだよ」

 あいつポジティブすぎるだろ!
 席を用意した兵士のお姉さんが苦笑いを浮かべている。

 アオイはヒメとエリスに抱きつく。
 あいつは2人に抱きつかないと気が済まないのか!

 クラス会議が終わるとクラスの女子は帰っていくが、アオイとカインは部屋に入り浸る。

「き、君は、装備もスキルもあ、あまり変わってない、み、みたいだね」

 俺は斥候の紋章を付けてからステータスを偽装している。
 新しく揃えた漆黒装備は黒装備と同じ見た目をしている。
 黒装備と同じ色にすることも出来るので、黒装備に見えるのだ。

「ダンジョンに行って来る。遅れているからな」
「ぷっふー。が、頑張ってね」

 無駄な努力お疲れさんって顔してるな。
 ほんと分かりやすい
 
「アオイ、ヒメとエリスの仕事の邪魔をするなよ」
「しないわよ。ただ眺めているだけ」
「その時点で邪魔か」
「邪魔じゃないわよ!」

「はあ、もういい。ダンジョンに行って来る」

 俺はダッシュでダンジョンに向かった。
 あと少しだ。
 もっと金を貯めてスキルポイントを貯めれば次のステージに行ける。


 俺は魔物を狩って過ごした。
 ダンジョンが薄暗くなり、ダンジョンの外に出るとファルナの兵士が待ち構えていた。

「大変なの!ファルナ様も!みんなも英雄騎士団に攫われたの!すぐうさぎ亭に来て!」

 英雄騎士団!
 ファルナのバッドエンドルートの1つだ!
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

処理中です...