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第48話

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 俺はダンジョン6階の奥に進んだ。
 そして奴と会った。

「ダミーファックか!」

 エクスファックの色違いで色は青い。
 指先がうねうねと動く。
 まずい!こいつは強い!

 触手のように鞭を繰り出すが、モーションが早い。
 そして体力が半分になると、あらゆる状態異常を仕掛けてくる。
 エクスファックよりHPは少ないがそれはあくまでエクスファックと比べての話だ。
 この6階に居る他のボスクラスの中でHPは高く、人と同じ体型なので的も小さく攻撃を当てにくい。
 他のボスとは格が違う強さを持つ。
 そして移動速度も速い。

 ゲームでも高速で走ってくるあいつに恐怖を感じた。
 うわ!来た来た来た!

 ダミーファックが走って来る。
 こわ!

 ダミーファックの鞭攻撃に合わせてカウンターを繰り出す。
 何度も中距離から鞭攻撃を繰り出す触手にカウンターを決める。

 ん?
 あれ?
 強くないのか?

 ダミーファックの鞭は体の一部扱いなので、中距離からのカウンターでHPを削れる。

 俺はカウンターを決めつつダミーファックに近づく。
 そしてカウンターの合間に通常攻撃を挟む。

 ダミーファックは左右にステップを踏むが、俺もステップで張り付き攻撃を繰り出す。
 不思議な感覚だった。
 動きは速いのに遅く感じる。

 俺はその感覚を楽しむようにダミーファックに張り付き、刀を連撃する。

 ダミーファックの体から黒いオーラが出てくる。
 そして体から霧を吹き出す。

「毒か!」

 更に不幸は続く。

「まじでか!」

 ダミーファックが更に2体現れたのだ。
 俺はすぐに決断した。

「カースウォー!月光!三日月!斬月!」

 俺はごり押しで1体のダミーファックを倒した。
 残り2体!

 更に、もう1体に迫る。
 もう1体を盾にするように後ろにいるダミーファックから隠れるように位置取りをし続け攻撃を続ける。

「後2秒!1、0。三日月!斬月!」

 これで俺はMPを使い果たした。
 HPが半分以下になったダミーファックが状態異常をまき散らす。

『呪いがLV2に悪化しました』
『毒がLV2に悪化しました』
『麻痺LV1を受けました』

「うおおおおおおおおおお!!!!」

 ダミーファックを倒す。
 残り1体!

 俺は隙を見て異常解除のポーションと魔力ポーションを飲んだ。
 今まで複数戦闘で使う暇がなかった。
 使うのが遅れ、状態異常が進行する。

『呪いがLV3に悪化しました』

 呪いとマヒで動きが悪くなる。
 景色が色を無くし、時間がゆっくりと流れる。

 カースウォーが切れた。

 動きは更に悪くなった。
 だが、攻撃を受ける気がしない。
 俺は連撃でダミーファックを追い詰める。

 だが、ダミーファックが黒いオーラをまとい、状態異常攻撃を連発してきた。
 構わず飛び込み、連撃を続ける。


 MPが回復した瞬間に斬月を叩きこんだ。
 ダミーファックが倒れ、ドロップ品を吐き出す。

 俺の手が震える。
 恐怖からの解放と勝利と麻痺。
 震えが止まらない。
 だが喜びもあった。

 すぐにステータスを開く。
 スキルを振った。



 ハヤト 男
 レベル:1
 固有スキル きゅう:LV7
 ジョブ:サムライ
 体力:1+100  
 魔力:1+100  
 敏捷:7+300  
 技量:1+100  
 魅力:0+100 
 名声:0+100  
 スキル・闇魔法:LV10・刀剣術:LV10・超人体:LV10【NEW!】・罠感知:LV10・敵感知:LV10・偽装:LV10・ステップ:LV10・カウンター:LV10 
 武器 黒の刀:150 ・防具 黒の衣:100 
 斥候の紋章 ・耐性の紋章




 すべての耐性を取得し、スキル統合された。
 更に全能力アップ・全自動回復・全耐性が統合され、超人体にスキル統合された。
 このスキルはここまで統合する事で強スキルとなる。

 耐性を強化した事で、状態異常は問題無い。
 うかつだった。
 今日はステータスを開いていない。

 朝の時点で状態異常を全取得出来ていたかもしれない。
 焦りがあった。
 早く金を貯めたいと何度も思った。

 俺は地面に座る。
 リペアのカードで刀の耐久力を回復させる。
 1つ1つ状態を戻していく。

 状態異常の対策は出来た。
 次もし、ダミーファックが5体来た場合を考える。
 武器の耐久力が足りないか。
 
 スケルトンも出して置くべきか。
 ま、スケルトンは瞬殺されるんだけど、ターゲットを少しでも取ってくれれば安全性が増す。

 俺は、今、ダンジョンに居る。
 落ち着かない。
 考えがまとまらない。

 すぐにダンジョンの外に出た。



 ダンジョン外のベンチに座る。
 やはり装備か。
 6階で戦い、金が貯まった。

 しかもダミーファックは他のボスと比べたくさんの魔石を落とす。
 次の装備を買う金が貯まったのだ。
 俺はショップに走って装備を整えた。



 ハヤト 男
 レベル:1
 固有スキル きゅう:LV7
 ジョブ:サムライ
 体力:1+100  
 魔力:1+100  
 敏捷:7+300  
 技量:1+100  
 魅力:0+100 
 名声:0+100  
 スキル・闇魔法:LV10・刀剣術:LV10・超人体:LV10・罠感知:LV10・敵感知:LV10・偽装:LV10・ステップ:LV10・カウンター:LV10 
 武器 漆黒の刀:250【NEW!】 ・防具 漆黒の衣:150 【NEW!】
 斥候の紋章 ・耐性の紋章 



 黒から漆黒装備に変えた。
 黒装備の上位互換装備だ。

 後は……頭がぼーっとする。
 少し帰って休もう。
 俺はうさぎ亭に帰った。



「過労、ですわね」

 ファルナがベッドで横になる俺の額に手を当てながら言った。
 そういえば、最近体が熱かった。
 性欲かと思っていたけど、過労だったのか。
 だから、いつも開くステータスを開かなかったのか

「無理をしすぎですわ。特にハヤトのように機転が利いて優秀な兵士ほどなりやすいのですわ。もっと気楽にいくのですわ」
「そう、か。今日は、休もう」

「それがいいですわね」

 ファルナが俺の頭を撫でる。
 ファルナのやさしさを感じた。


 俺はその日、ベッドの上でゆっくり過ごした。




 ハヤトは色々考え、どんどん改善する性格だが、その性格が原因で過労となった。
 だが、その事でハヤトは一気に成長し、ダミーファックへの対策を備えつつある。
 ハヤトは更なる高みに至りつつあった。






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