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マスコミギルドの悪意

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 俺はヘイトの右わき腹にキャンプファイアを放った。
 ヘイトの半身が燃える。
 ヘイトはバックステップで素早く下がった。

「素早いが、攻撃は大した事が無い。リカバー」
 ヘイトは余裕の動きで状態異常解除の魔法を使う
 そこでヘイトの顔色が変わる。
 キャンプファイアは解除できない。
 消えない炎が毒のようにじわじわとヘイトの体力を削る。

 タケルの体力に余裕はないだろう。
 ヘイトの敵意を俺に集める。
 俺がおとりになる。

「どうした?解除できないか?言っておくが、その炎は24時間燃え続ける。俺が死ねば解除されるかもしれないが、俺は死んだ事が無い。試してみるか?」
 敵意を集める。

「ウイン!無茶をするでない!」
 タケルが俺の意図を見切って止めてくる。

「そうか、お前がウインか。雑魚だと思い、顔すら覚えていなかった。ウインを殺せ!ターゲットをウインに変更する!全力で殺せ!」

 少し数は減ったが約90の精鋭とヘイトが俺を追いかけてくる。
 タケルの安全を確保する為俺はその場を逃げ出した。
 
 城の防壁を飛び越え、街を走って外に向かう。
 迫って来る精鋭を倒しながら数を減らしていく。

 ヘイトの動きが早い。
ブレイブタイム!戦闘力二倍
 ヘイトの動きが特に早い。
 しかもブレイブと同じスキルか!
 ステータスを見ても勇者としか表示されずスキルの詳細は分からないのだ。
 同じ勇者でも個性があり人によってスキルが異なる場合もある。
 しかしブレイブと同じスキルを持っていたか。

 だが、奴のレベルは700だ。
 ブレイブタイムの力でレベル1400相当の力を持つ。
 俺との距離を一気に詰められた。

 俺は補助魔法で自身を強化するが、それでも距離を詰められる。
「お前、ブレイブと同じスキルを使えるのか」
「ふ、ブレイブと一緒にするな。私こそが真の勇者だ」

「その力があればデイブックを救えただろう!」
「そうだな」
「救う気はなかったのか?」

 俺は逃げながら問いかける。
 ヘイトは俺に並走するように走り、俺を鼻で笑う。

「私の力を見せれば私が悪者になる。そう言えばお前はフェイクニュースを食らっていたな」
「お前のせいだろ」
「私は何もしていない。デイブック民の質の問題だ」
「お前の組織の力だ」

「違うな、民の嫉妬深さをブレイブに利用されただけだ。おまえも感じていただろう?あの国の息苦しさを。表舞台に立つべきではないのだよ!表舞台に立てば引きずり降ろされる。それにあの国はもう終わりだ。5体の名前持ちにじわじわと滅ぼされるだろう」
 
 ヘイトと俺の話は合わないだろう。

 だが、名前持ちが5体?
 ゴブリンの名前持ち4体だけではないのか?
 それにデイブックは滅びるのか!
 デイブックが滅びれば次危険になるのはアーサー王国かディアブロ王国だろう。
 だが今はヘイトとの戦いに集中する。
 こいつは今までの敵で一番戦闘力が高い。
 特にブレイブタイムが切れるまでは油断できない。
 奴の方が今は動きが早い。

「くくくく、こう考えてはいないかね?ブレイブタイムの効果が切れるまでの1分間をしのぎ切ると。くくくくくく」
「何がおかしい?」
「私のブレイブタイムの効果が1分で切れると思っていないか?ブレイブと同じたった1分だと思い込んでいないか?」
「どのくらい持つんだ?」
「ご想像にお任せする」



【ヘイト視点】


 奴は思ったより素早い
 変則的な攻撃もしてくる。
 だがそれだけだ。
 その証拠に奴は逃げ出した。

 タケルを殺す事は失敗したがこいつを殺す。
 今回はそれでよしとしよう。
 それにタケルの暗殺よりもメインの目標は本土の兵のかく乱だ。
 十分役目は果たした。

 ウインはタケルより厄介だ。
 この炎が私をじわじわ焼いていく。
 実に不快だ。
 威力は大した事が無いが炎が消えない。
 定期的に回復魔法を使う必要がある。

 奴の能力は変則的だ。
 それに奴の肩に乗っているぬいぐるみのような生き物はなんだ?
 ふざけているのか?
 あのもこもこを肩に乗せたまま戦っている。
 やる気はあるのか?
 いや、奴の変則的なスキルの可能性もある。

 だが逆に言えば奴は圧倒的な攻撃力を持っていない。
 そうでなければ私に近づいた瞬間もっと威力のある攻撃を放っていたはずだ。

「ウイン殿!助太刀しますぞ!」
 奴の仲間が来たか。
 私の部下と私の部下が戦闘を開始し、乱戦状態となる。
 
 こちらは精鋭の部下が85、いや、80人。
 対して敵は約300。
 タケルの直属か?
 意外と強い。
 味方が苦戦している。

 うるさいハエどもめ。
 一気になぎ倒す。

 私は真の勇者だ。
 私の切り札はブレイブタイムのスキルだけではない。
 【ファイナルスラッシュ】を使う。
 うるさいハエ共もウインも一気に蹴散らす。
 部下も巻き込んで死ぬが大した問題ではない。

 私は口角を釣り上げた。
 そしてエクスカリバーを横に大きく構える。

 勇者ブレイブの時とは違う。
 フルパワーの一撃を見せてやろう。
 最も、私の攻撃を把握することも出来ず死んでしまうかもしれんがね。

 ウインか。
 ほどほどの強さは持っていたようだ。
 私に全力のファイナルスラッシュを使わせるのだから。
 だがあくまでほどほどだ。
 この脇腹の炎。
 ファイナルスラッシュを全力で使わせる点。
 実に不快だった。
 

「だが、これでお別れだ。ファイナルスラッシュ!!」
 絶大な私の攻撃でぎしぎしと自身の骨がきしむ感覚を覚える。
 1回の戦闘で1発が限度の最強スキル。
 体に負担がかかる。

 ふ、まさか最強の攻撃を全力で人に放つことになるとは思わなかった。
 横なぎに扇状の斬撃がウインとその仲間を襲う。
 さようなら、ウイン。





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