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ベリーの秘密

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 ルナとエムルが城に向かってからすぐに話はさかのぼる。
 
 ベリーが落ち着くまで俺は待った。
 その頃には夜中になっていた。
 部屋で2人だけで話をする。

「ベリー、今からタケルの所に行って来る。もし、体調がすぐれなければ、俺だけで行って来るがどうする?」

「……キュウビと闘う気ね?一人で行くのは危ないわ」
 ばれていたか。
 だが、キュウビを早く倒したい。

「私ね、秘密があるの」
 ベリーの話が急に変わる。
 大事な事を言うんだろう。
 それはベリーの苦しみに関係している。 
 そう思った。

「分かった。話してくれるのか?」
「うん」

 ベリーが自分の首輪に手を当て、魔力を流す。
 ベリーの首輪が外され、地面に落ちる。

 ベリーの髪色が輝く銀色に変わり、きつね族と同じように耳と尻尾が生える。
 ベリーが縋るような目で俺を見る。
 
 俺は何と言えば良い?
 どういえばベリーは安心する?
 俺は、




 俺はベリーを抱きしめていた。
 ベリーが泣きだす。
 まるで子供のように泣く。
 俺はしばらくベリーを抱きしめ続けた。



 ベリーが泣き止むと照れ隠しをするように笑う。
「えへへへ。今日はいっぱい泣いちゃった」

「私ね、気づいたらきつね族の集落に居たの。小さいときにそこに居て、それより前の記憶が無いの。気づいたら居たの。私をきつね族のみんなは助けてくれたわ。私ね、名前持ちのキュウビに似てるんだって。だから私が殺されないようにきつね族のお姉ちゃんが私に首輪をくれて、デイブックに逃がしてくれたの。でも、ここに帰ってきたら、皆痩せてて、私だけ痩せてないの。ウインにも、ルナにも、エムルにも助けてもらったのに私は何もできなくて、どうしたらいいか分からないの。ルナもエムルもウインもすぐに答えを出して動いたわ。でも私は何もできなかった。それに私はキュウビに似ているわ。私は自分が何なのか分からないの。気づいたらそこに居たの。だから私が何なのか分からないの」

 ベリーは自分の感情を吐き出すように言葉を発する。
 ベリーの苦しさが流れ込んでくるように感じた。

 ベリーは泣きながら眠った。
 きれいな顔だが、寝顔は子供のように弱弱しく見えた。
 俺が布団に運んでもベリーは俺の服を握ったまま離さなかった。




 朝になるとベリーが目を覚ます。
「ずっと横に、居てくれたの」
「そうだな」

「私が服を掴んでいたのね」
「気にしなくていい」

「ねえ、ウインは私をどうするか、答えが出たの?」
「一緒にいるけど、やる事は決まった」
「教えて」

「タケルの元に向かう。で、ベリーの正体を見てもらいたい」
「え?」
「いやだったらやめる。キュウビは無視して帰ろう。アーサー王国でもディアブロ王国でもいい。そこなら怖がられる事もない」

「……タケルが私を受け入れてくれるか見たいって事?」
「そうだ。もしベリーの命を狙ってくるようなら、俺はこの国を助けない。助けるのはきつね族だけだ」
「やるわ」

 ベリーは覚悟を決めたような、そんな顔をしていた。







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