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【元勇者視点】奪う者②

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 俺は大木の上に昇って上から魔物と闘う生活を続けた。
 俺は新たなスキルを覚えた。
 覚えたのは【魔石食い】だ。
 魔石を食う事で経験値を得ることが出来るのか。

 俺は倒した魔石を口に含む。
 魔石は俺の体内に吸収されるようにして消えるが、全身を痛みが襲う。
「いた、がががが!」
 すぐに痛みは治まったが、この痛みには覚えがある。

 魔物化する時と同じ痛みだ。
 魔石を口に含むと経験値を得ることが出来るが、体が痛くなる。
「まったく、使えないスキルだ」

 俺がゴブリンの拠点に帰ると、バグズが話しかけてきた。
「新しいスキルを覚えたようだな」
「ああ、だが使えない。魔石を食うと痛みが発生するだけだ」
「魔石を持ってこい!」

「痛みが発生するだけの使えないスキルだ!話を聞け!」
「この間抜けを抑えろ!」
 バグズが俺の口に魔石を押し込む。

「だ、ダメだ!量が多い!うぐ、が、あががががが!」
「口に入れるだけでいいのか。もっと押し込め!」
「やめ、むぐぐぐ、がが、うがががが!」

「こいつ、レベル、上がった」
「ほう、魔石を食らうとレベルが上がるのか。面白い。ある分の魔石を持ってこい!」

「や、やめろ!苦痛が発生するんだ!」
「遠慮するな。強くしてやる。良いから食らえ」
 俺は痛みで気絶した。




 目を覚ますと目の前には序列13位のゴブリンが居た。
「序列入れ替えのチャンスだ。戦うか?それとも恐れをなして逃げ出す無能のクズか?」
「俺は最強だ!俺が貴様を倒してやる!」

 俺は剣を構えた。
 エースゴブリンが短剣で襲い掛かって来るが、俺は剣で攻撃を受ける。
 エースゴブリンは二刀で短剣を構えて何度も剣を振るうが、俺は剣で受けきる。

「ふ!どうした!そんなものか!」
 そう言った瞬間にエースゴブリンが投げた短剣が脇腹に刺さる。
 その隙に新たに短剣を抜いて斬りかかるエースゴブリンに連撃を食らい、俺は敗北した。

「ぐ、くそ、卑怯者が!」
「何を言っている、お前の負けだ。短剣使いが剣を投げてくるのはよくある事。やはり間抜けが、だが前よりましになった。魔石をもっと食わせてやろう。ありがたく思え」

「も、問題無い。俺が自分で集めて自分で強くなる。よ、余計なお世話だ」
「遠慮するな。強くしてやる。今ある魔石をすべて持ってこい!!」
「バグズ、れんきんじゅつで、つかうぶんも、ある。のこして、おけ」

「そうだ!グラブの言う通りだ!先の事を考えろ!」
「先の事を考えて戦力アップは必要だ!お前が強くなればたくさん魔石を持ってこれるだろう。間抜けを抑えろ!」

 ふざけるな!
 あんな痛い目に会うのはごめんだ!
 俺は押さえつけられる。

 拠点にあるすべての魔石が俺の口に入り、俺は強くなった。
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