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2か国間会議

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「まずはウインの件について話をしたい」
 魔王はいきなり俺の名を出した。

「え?俺?」
「うむ、持っている木材を全て貰いたい。代価は払う」
「問題無い。次ディアブロ王国に着いた時でいいか?」
「それで構わない。アーサー王はどう思うか?」

「木材の件は大丈夫だが、気になっているのは、今アーサー王国は人手が不足している。交易路の運搬や巡回はディアブロ王国に多く人を出してもらいたい。スタンピードで今我が国の余裕は無くなった」

「それは構わないが、魔族がアーサー王国に行くと怖がられないだろうか?」
「それは問題ない。もし問題が出たら、連絡が欲しい」

「それでは交易路の人員はすべてこちら側から出す形で良いか?」
「おお!そうしてもらえると助かる!しばらくすれば多少は余裕が出来るはずだ。その時再度話をしたい」

「分かった。次にウイン。キャンプハウスのスキルで作った交易路の家があるが、こちらで使用したい」
「うん。自由に使ってくれ」

「助かる。代金として素材などを渡そう」
「ただで良いぞ」
「対価は必要だ」
 魔王はどうも公平な契約を好む感じがする。
 何かすればきっちりお返しをするし、意外と義理堅いよな。

「分かった」
「両国の問題点を上げていきたい。こちらから良いか?」
「うむ」

「アーサー王国の問題点だが、重要度の高い順に言うと……」
 



 その後両国の問題点や欲しい物資の意見が交わされた。

「ウイン殿はこれから数か月や年単位で何か予定はあるかな?」
「修行はしようと思っていたけど、ちょっと考え中だ。ちょっと両国の問題点を紙に書いたのをもらいたい」

「こちらになります。優先順位の高い順に並び変えてあります」
 大臣は素早く紙を渡してきた。

「アーサー王国の大臣は優秀だ」
 宰相的な立ち位置に居るのかもしれない。

「ありがとうございます」
 大臣は嬉しそうだった。

 _______________________

 アーサー王国問題点
 ①深刻なポーション不足
 ②人材不足
 ③デイブック民主国からの魔物のなすりつけ
 ④盗賊問題

 ディアブロ王国問題点
 ①飢餓問題
 ②文官不足
 ③街道整備
 ④デイブック民主国からの魔物のなすりつけ
 _______________________

「アーサー王に聞きたいんだけど、ポーション不足は、今回のスタンピードで消費した分と新しく兵を訓練する時に使いたい分ってことで良いか?」

「その通りだよ」
 兵のレベルを上げる際には魔物と戦うわけだが、どうしても傷を負う。特に新兵ならなおさらだ。さらに治癒士はどこも不足していて、治癒士だけで回復は足りない。治癒士をレベルアップするには、治癒士に魔物を倒してもらう必要がある。そうなると、ほかの人に使う分の魔法を攻撃に回すことになる。兵を訓練するにはどうしてもポーションが必要になる。

 なぜか全員が俺を見ていた。

「ん?何?」
「次のウイン君の発言が気になってしまいました」
 メアは興味深そうに俺を見た。

「俺は魔の森の北で魔物を狩って肉を集め、魔物が居なくなったら薬草集めをする。ディアブロの飢餓と、ポーション問題同時に手伝う」
 ディアブロ王国の飢餓は交易路の開通で良くなっていくとは思うが時間がかかるだろう。
 俺も魔物の肉を狩って手伝おう。


「さすが僕のご主人様だよ」
「ウイン様、さすがです!」

「ウイン。もし良ければ、こちらから人を出したい。ウインが魔物を狩った後に人を使って薬草などの素材を集めたい。もちろん薬草などはアーサー王国に売却し、対価は払うがどうだろう」

「俺は助かるけど、アーサー王はどうなんだろ?」
「むしろ助かる。所でどの程度の期間続けるつもりかな?」
「決めていない。出来ればアーサー王国に溢れるほどポーションの材料を渡せたらいいと思う」


 

「俺はもう良いか?退出したいんだが?」
「待ってください!」
 ルナが口を開いた。

「まだあるのか?」
「私をウイン様のそばにおいてください!」
「私からもお願いしたい。ルナをもらってやってほしい」
 アーサー王と王女が頭を下げた。

「ウイン殿、権力者への拒否感があるのは承知しています。しかしアーサー王国はデイブック民主国とは違います。決してウイン殿の迷惑が掛からないよう努力します」
「ルナ様は良いお方だ!決して悪いようにはならない!」
「ウイン君とルナ様は相性が良いと思いますよ」
 大臣・ウォール・メアが一気にまくし立てる。

「ちょちょえ?なに?」
 みんなでまくしたてるようなのなんなんだ?
 急にみんなしゃべりだして怖いんだけど。
 さっきまで黙ってただろ?

「ルナはウイン殿の事を好きなのだ!」
「ん?」
「初めて会った時から、魅力的な男性だと思っていました」
 ルナはもじもじしはじめた。

「う、うん。魔の森の件が終わったら改めて話をしよう」

「ウイン、王女にここまで言わせておいて逃げるのは良くない。エムルとベリーとセイラも一緒に居たいと思っているが、ルナ王女は大丈夫か?」

「わ、私は……」
 セイラが赤くなった。

「構いません。私をハーレムの一員にしてください。」
 ルナは赤くなった。
「ルナがついてきたら、ルナにエロい事をするかもしれないけど?」
「大丈夫です」

「ベットで押し倒して、無理やりやられたら泣いてしまうかもよ?アーサー王まで怒らせることになる」
「お好きなようにお願いします!」
 ルナはさらに真っ赤になった。

「はあ!はあ!ついにウインが目覚めたんだ!」
 エムル黙れ!
 黙れエムル!

「良い。二人が結ばれることをうれしく思う」
「そこは分かったんだけど、ん?ルナのレベルが25か、厳しいな。下手をすれば死なせてしまうのと、魔物狩りが遅れてしまう」

「では、私のレベルが50になったらそばにおいてくれますか?」
「50でも死ぬときは死ぬ。と言うか、100でも死ぬときは死ぬ」
「ウイン、もし心配なら、セイラを護衛につける。セイラもウインといられて喜ぶはずだ!」

 セイラは真っ赤になった。
 真っ赤になったセイラに視線が集まり、セイラはさらに真っ赤になる。

「ウイン殿はルナの事をどう思うかね?」

「かわいいし、性格も良さそうで、かなり魅力的だと思う。けど正直権力者なのが引っかかるのと、他の人からの嫉妬を受けたくない」

「重ねて言いますが、権力によってウイン殿に迷惑が掛からないよう努めます。そして嫉妬についてですが、デイブック民主国より、アーサー王国の国民の方が嫉妬は少ないかと、失礼ですが、昔に勇者ブレイブやベリー後援会によってひどい目に合いすぎたのでは?それで過剰に反応しているように見えます」
 大臣の言葉に思い当たる節がありすぎた。

「分かったよ。まだ飲み込み切れていないから、考えておきます」
「今約束してほしいのです。そんなに私といるのが嫌ですか?そんなに私と、う、えぐ」
 ルナは泣き出した。

「泣かせたな」
「ウイン。良くないな」
「ウイン君。良くないですよ」
 魔王・ウォール・メアが一斉に反応する。
「ルナを今からでもベッドに連れ込んで押し倒すべきだよ!」

 え?俺ええええ!!しかもエムルの最後のおかしいよね?そこは誰も突っ込まないのか!?
 おかしくね?


「わかった。ただ、問題が起きたら相談させてもらう」
「それはルナと結婚するという事で良いな?」
「良いでしょう。はっきりと聞きました」

「分かった。もう疲れた。寝るぞ」

「ご苦労だったな。ゆっくり休め。くくくく」
「魔王笑ってる?わらってるよね?」
「ゆっくり休め」
 そう言って魔王は顔をそむけた。
 このやり取りを見ていた周りも笑い出した。

 解せぬ。
「……休みます」
 疲れた。
 疲れすぎた。


 俺が部屋を出た後、一斉にみんなの笑い声が聞こえた。



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