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第4話 ヨウカ
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目覚めると頭に柔らかい感触があった。
目を開けると美人の女性が俺を膝枕していた。
「目が覚めましたか。良かったです」
「ここは?」
「ダンジョンですよ」
「そう、なんですね」
ダンジョンっぽいと思っていたけどダンジョンだった!
異界の中にダンジョンがある、まるでゲームのようだ。
俺が起き上がろうとすると、女性が俺を止めた。
「駄目ですよ。回復はしましたがボロボロだったんですから。寝ていてください」
「でも、ここはダンジョンですよね?安全な場所に行きたいです」
「……実は、私も安全な場所に戻れなくなっちゃって……」
「そ、そうなんですね」
「見回りに来たら、急にモンスターが多く出てきて、逃げて来ちゃいました。いつからここに居るんですか?」
武器が壊れてから気絶してモンスターの気配を感じて起きて戦って、モンスターがいなくなってからまた気絶して、それを繰り返していた気がする。
どのくらいここに居たのか分からない。
恐怖とまどろみで時間の感覚がおかしくなっている。
モンスターのドロップ品がたくさん収納されているから、長い間戦っていたんだと思う。
「記憶が、曖昧で、よく分からないんです」
「死にかけていましたから、そのせいかもしれませんね」
「俺……死にかけてました?」
「そうですよ?」
「お礼が遅れました。回復してくれたようで、ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらず、そう言えば、食べ物を持っていませんか?お腹が空いてしまって」
「ブル肉と、チキン肉ならありますよ」
「おお!もし良ければ分けて貰えませんか?」
「俺もお腹が空きました。ここで焼いて食べましょう」
「いいですね!」
俺は収納からバーベキューセットを出した。
起き上がろうとすると俺を膝に戻す。
「起き上がらないと料理ができません」
「私がやるので大丈夫……見た事のない道具ですね」
「え?普通のバーベキューセットですよ?俺がやります」
バーベキューセットを知らない人は珍しいな。
俺はようやく起き上がる事が出来た。
彼女は丈の短い巫女服を着ており、頭の上にはきつね耳を付けていた。
後ろからはキツネの尻尾が揺れていた。
銀色の長い髪をサイドテールでまとめ、瞳の色は赤い。
凄く、美人だ。
おお!精巧なコスプレ装備だ。
きっと高性能に違いない。
きつね耳が動くし、尻尾も動いている。
錬金術師の中にはコスプレ装備を作りたがる者がいる。
特に男性が作った女性用のコスプレ装備は露出が多いパターンが多いのだ。
布が薄くて防御力が弱く見えるがそんな事は無い。
精巧に魔法陣を織り込み、体全体を覆う防御効果を付与する事で防御力を高めている。
「コスプレ装備が好きなんですか?」
「コスプレはよく分からないですがこの服の事なら気に入っていますよ」
「そうなんですね」
俺は炭に火を付けて斬った肉を焼いていく。
「焼けましたので、どうぞどうぞ」
「良いんですか!いただきます!」
なんか、素朴な感じの子だな。
擦れてないっていうか、素直で裏表が無い感じがする。
あかりに似ている気がする。
あれ?何才なんだろ?
俺より年下か?
……いやいや、体型を見る限り、子供なわけがない。
もう大人なはずだ。
「どうしました?」
「いえ、何でもないです」
「……嘘はいけませんよ」
「何才なのかなーと失礼な事を考えていました」
「1018才です。あむ、美味しいですね」
「なるほど、そういう設定ですか。コスプレ魂を感じます!」
俺と同じ18才か。
1000年生きた美人お稲荷様的な?
そういう設定か。
「コスプレや設定はよく分かりませんが喜んでもらえてうれしいです。それよりも、一緒に食べましょう」
「ですね、いただきます」
奥からスライムが出てきた。
「狐火!」
俺が動く前に彼女がスキルを使った。
狐火が自動で飛んでいきスライムを次々と倒していく。
「ウィザードですか」
「いえ、違いますよ?」
「え?」
「私はファイターですよ。体術が得意ですが、器用貧乏なんです」
ウイザードだけでもやって行けるくらい強い。
得意な体術を使ったらどれだけ強いんだ?
あれ?もう肉が無い!
「もっと食べたいです」
「分かりました」
よっぽどお腹が空いていたんだな。
……いや、食べた方がいいのは俺も同じだ。
自分の頬を触ると骨が浮き出ていた。
俺は大量の肉を取り出して焼いた。
2人黙々と肉を焼いて食べた。
「もうお腹いっぱいです」
この人凄い食べる。
俺の3倍は食べてるぞ。
高校3年男子の3倍は相当多い。
「あ、そう言えば自己紹介がまだでした俺の名前は優也です」
「あ、そうでしたね。私の名前はヨウカです。ユウヤさんは良い人ですね。匂いや話した感じで分かるんです。いい人の匂いや表情をしています」
「いい人ではないですが、一時的にパーティーを組みませんか?」
「ぜひぜひ!こちらからお願いしたいくらいですよ。友好的な人間なおかげで美味しく食事が出来ました」
「はは、あは、ははははははは、まるでヨウカさんが人間じゃないみたいじゃないですか」
「私は人間じゃありませんよ?」
「……え?」
目を開けると美人の女性が俺を膝枕していた。
「目が覚めましたか。良かったです」
「ここは?」
「ダンジョンですよ」
「そう、なんですね」
ダンジョンっぽいと思っていたけどダンジョンだった!
異界の中にダンジョンがある、まるでゲームのようだ。
俺が起き上がろうとすると、女性が俺を止めた。
「駄目ですよ。回復はしましたがボロボロだったんですから。寝ていてください」
「でも、ここはダンジョンですよね?安全な場所に行きたいです」
「……実は、私も安全な場所に戻れなくなっちゃって……」
「そ、そうなんですね」
「見回りに来たら、急にモンスターが多く出てきて、逃げて来ちゃいました。いつからここに居るんですか?」
武器が壊れてから気絶してモンスターの気配を感じて起きて戦って、モンスターがいなくなってからまた気絶して、それを繰り返していた気がする。
どのくらいここに居たのか分からない。
恐怖とまどろみで時間の感覚がおかしくなっている。
モンスターのドロップ品がたくさん収納されているから、長い間戦っていたんだと思う。
「記憶が、曖昧で、よく分からないんです」
「死にかけていましたから、そのせいかもしれませんね」
「俺……死にかけてました?」
「そうですよ?」
「お礼が遅れました。回復してくれたようで、ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらず、そう言えば、食べ物を持っていませんか?お腹が空いてしまって」
「ブル肉と、チキン肉ならありますよ」
「おお!もし良ければ分けて貰えませんか?」
「俺もお腹が空きました。ここで焼いて食べましょう」
「いいですね!」
俺は収納からバーベキューセットを出した。
起き上がろうとすると俺を膝に戻す。
「起き上がらないと料理ができません」
「私がやるので大丈夫……見た事のない道具ですね」
「え?普通のバーベキューセットですよ?俺がやります」
バーベキューセットを知らない人は珍しいな。
俺はようやく起き上がる事が出来た。
彼女は丈の短い巫女服を着ており、頭の上にはきつね耳を付けていた。
後ろからはキツネの尻尾が揺れていた。
銀色の長い髪をサイドテールでまとめ、瞳の色は赤い。
凄く、美人だ。
おお!精巧なコスプレ装備だ。
きっと高性能に違いない。
きつね耳が動くし、尻尾も動いている。
錬金術師の中にはコスプレ装備を作りたがる者がいる。
特に男性が作った女性用のコスプレ装備は露出が多いパターンが多いのだ。
布が薄くて防御力が弱く見えるがそんな事は無い。
精巧に魔法陣を織り込み、体全体を覆う防御効果を付与する事で防御力を高めている。
「コスプレ装備が好きなんですか?」
「コスプレはよく分からないですがこの服の事なら気に入っていますよ」
「そうなんですね」
俺は炭に火を付けて斬った肉を焼いていく。
「焼けましたので、どうぞどうぞ」
「良いんですか!いただきます!」
なんか、素朴な感じの子だな。
擦れてないっていうか、素直で裏表が無い感じがする。
あかりに似ている気がする。
あれ?何才なんだろ?
俺より年下か?
……いやいや、体型を見る限り、子供なわけがない。
もう大人なはずだ。
「どうしました?」
「いえ、何でもないです」
「……嘘はいけませんよ」
「何才なのかなーと失礼な事を考えていました」
「1018才です。あむ、美味しいですね」
「なるほど、そういう設定ですか。コスプレ魂を感じます!」
俺と同じ18才か。
1000年生きた美人お稲荷様的な?
そういう設定か。
「コスプレや設定はよく分かりませんが喜んでもらえてうれしいです。それよりも、一緒に食べましょう」
「ですね、いただきます」
奥からスライムが出てきた。
「狐火!」
俺が動く前に彼女がスキルを使った。
狐火が自動で飛んでいきスライムを次々と倒していく。
「ウィザードですか」
「いえ、違いますよ?」
「え?」
「私はファイターですよ。体術が得意ですが、器用貧乏なんです」
ウイザードだけでもやって行けるくらい強い。
得意な体術を使ったらどれだけ強いんだ?
あれ?もう肉が無い!
「もっと食べたいです」
「分かりました」
よっぽどお腹が空いていたんだな。
……いや、食べた方がいいのは俺も同じだ。
自分の頬を触ると骨が浮き出ていた。
俺は大量の肉を取り出して焼いた。
2人黙々と肉を焼いて食べた。
「もうお腹いっぱいです」
この人凄い食べる。
俺の3倍は食べてるぞ。
高校3年男子の3倍は相当多い。
「あ、そう言えば自己紹介がまだでした俺の名前は優也です」
「あ、そうでしたね。私の名前はヨウカです。ユウヤさんは良い人ですね。匂いや話した感じで分かるんです。いい人の匂いや表情をしています」
「いい人ではないですが、一時的にパーティーを組みませんか?」
「ぜひぜひ!こちらからお願いしたいくらいですよ。友好的な人間なおかげで美味しく食事が出来ました」
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「私は人間じゃありませんよ?」
「……え?」
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