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第105話
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【4年後】
新しい城に、5人の小さな女の子と1人の男の子がいた。
エステルの父は6人の幼き子と遊ぶ。
「王、抱っこして」
元王、アベレージ・マイルドは孫にも王と呼ばれ嬉しそうに答える。
「うんうん、分かったよ」
王は6人の子供を可愛がり、1人をおんぶし、2人を抱っこしつつ、髪を引っ張られてもニコニコしている。
そして6人を椅子に座らせるようとするが皆気ままに動き回る。
エステルと同じ金髪ときれいなブルーの目をした女の子はおとなしく上品さがあった。
ダークエルフの女の子は言葉遣いは丁寧だが、よく走り王にタックルするように抱きつく。
サキュバスの女の子は「僕のご主人様は決まったのかな?」と言って王を困らせる。
竜族の女の子は大きなパンを両手に持って絶対に離さない。
きれいな7色に輝く髪を持つ女の子は目と鼻までを隠す仮面を常に付けており、取ろうとすると魔法攻撃を受ける。
甘えんぼで王に抱っこされて離れようとしない。
俺は紙芝居を前に出してエムルに渡す。
「今から紙芝居を始めるぞ。エムルがな。ゼス、もっと前に座ってくれ」
「ほっほっほ、いいんじゃよ。見ているのが好きなんじゃ」
「そっか。そのまま始めるぞ」
ネコ族の男の子がそう言った。
おじいちゃんみたいな話し方で、その顔はどこか悟ったように落ち着きがあった。
一緒に遊ぶより、その様子を眺めるのが好きで、おじいちゃんのお茶会に自然に加わるような不思議さがあった。
俺とアリシアは赤ちゃんの顔を見てすぐに名前を決めた。
「ゼスにしよう」
「ゼスにするにゃあ」
「今日は何のお話でちゅの?」
「英雄、ゼス・オールラウンダーのお話だ」
ゼス以外のみんなが「じぇしゅの名前といっしょ」と騒ぐ。
「はい、始めるぞ。エムル、頼む」
「紙芝居を始めるよ!南の島から北の大陸に、始まりの村がありました」
エムルの紙芝居が始まると、ゼスはいつもと不思議な表情をして紙芝居を見ていた。
俺は紙芝居ではなく、ゼスを見る。
ゼスの事が気になり、ゼスだけを眺めていた。
紙芝居が進むと、いつも落ち着いており手間がかからなかったゼスの目から涙が流れる。
ああ、やっぱり。
やっぱりそうか。
俺はゼスが泣くその顔を見て、涙を流した。
【終わり】
あとがき
今までお読みいただきありがとうございました。
この作品は執筆方針を見直すきっかけになりました。
プロットを作り作品を執筆するために力を使おうかと思うので感想・想いなどは書かないでおきます。
次の新作を執筆中です。
次もぜひ作品をお読みいただければ幸いです。
ではまた!
新しい城に、5人の小さな女の子と1人の男の子がいた。
エステルの父は6人の幼き子と遊ぶ。
「王、抱っこして」
元王、アベレージ・マイルドは孫にも王と呼ばれ嬉しそうに答える。
「うんうん、分かったよ」
王は6人の子供を可愛がり、1人をおんぶし、2人を抱っこしつつ、髪を引っ張られてもニコニコしている。
そして6人を椅子に座らせるようとするが皆気ままに動き回る。
エステルと同じ金髪ときれいなブルーの目をした女の子はおとなしく上品さがあった。
ダークエルフの女の子は言葉遣いは丁寧だが、よく走り王にタックルするように抱きつく。
サキュバスの女の子は「僕のご主人様は決まったのかな?」と言って王を困らせる。
竜族の女の子は大きなパンを両手に持って絶対に離さない。
きれいな7色に輝く髪を持つ女の子は目と鼻までを隠す仮面を常に付けており、取ろうとすると魔法攻撃を受ける。
甘えんぼで王に抱っこされて離れようとしない。
俺は紙芝居を前に出してエムルに渡す。
「今から紙芝居を始めるぞ。エムルがな。ゼス、もっと前に座ってくれ」
「ほっほっほ、いいんじゃよ。見ているのが好きなんじゃ」
「そっか。そのまま始めるぞ」
ネコ族の男の子がそう言った。
おじいちゃんみたいな話し方で、その顔はどこか悟ったように落ち着きがあった。
一緒に遊ぶより、その様子を眺めるのが好きで、おじいちゃんのお茶会に自然に加わるような不思議さがあった。
俺とアリシアは赤ちゃんの顔を見てすぐに名前を決めた。
「ゼスにしよう」
「ゼスにするにゃあ」
「今日は何のお話でちゅの?」
「英雄、ゼス・オールラウンダーのお話だ」
ゼス以外のみんなが「じぇしゅの名前といっしょ」と騒ぐ。
「はい、始めるぞ。エムル、頼む」
「紙芝居を始めるよ!南の島から北の大陸に、始まりの村がありました」
エムルの紙芝居が始まると、ゼスはいつもと不思議な表情をして紙芝居を見ていた。
俺は紙芝居ではなく、ゼスを見る。
ゼスの事が気になり、ゼスだけを眺めていた。
紙芝居が進むと、いつも落ち着いており手間がかからなかったゼスの目から涙が流れる。
ああ、やっぱり。
やっぱりそうか。
俺はゼスが泣くその顔を見て、涙を流した。
【終わり】
あとがき
今までお読みいただきありがとうございました。
この作品は執筆方針を見直すきっかけになりました。
プロットを作り作品を執筆するために力を使おうかと思うので感想・想いなどは書かないでおきます。
次の新作を執筆中です。
次もぜひ作品をお読みいただければ幸いです。
ではまた!
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最終話まで大変楽しく読ませていただきました。
最後ゼスにも救いがあってよかったです。
途中でルンバが始まりの村に来たあたりで少し読むのが辛くなりましたが最後まで読んでよかったと思っています。ネタバレアリですね
ルンバ出てからの話は重いですね。
一般民衆がかわいそう。
ラストの彼は、おじいちゃん口調じゃない方が良かった。
62話まで頑張って読みましたが、展開的にしんどくなってきたので挫折します。
死んで生き返るは良いんだけど主人公がボコボコ過ぎるのもどうかと…。