ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た

ぐうのすけ

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第89話

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 俺達は南の島にあるダンジョンを探索していた。
 ダンジョン1階は広く、魔物は弱い。

 そこで戦える者は出来るだけ参加してもらい、ダンジョンのマッピングを続けた。

 俺はライターと話をする。

「なあ、このダンジョン上階にスキルの試練、そして天使が願いをかなえると、本には書いてあるんだよな?」
「本にはそう書いてあったのだ。だが、行ってみない事には分からないのだ。魔王の寿命が削られるのも、ルンバを倒せばゴールデンオークが弱くなるかどうかも、やってみなければ分からないのだ」
「だよな」

 俺達は2人になった瞬間に本音を言った。
 皆には希望が必要だ。

 出来るだけ希望を与え、働く原動力を与える必要がある。
 そうで無ければ魔王やゴールデンオークと闘う事になったとして、勝てる戦いも勝てなくなる。

 俺達は少しでも力をつける為、あるかどうかも分からないスキルの試練と天使との面会の為上を目指す。
 上の階に行くほどダンジョンフロアが狭くなっていくらしい。
 これも本当か分からないが、俺達は地道に探索を続ける。

 スキルの試練が無かったとしても、皆のレベルを底上げしておきたい。
 何もなかったとしても無駄にはならないのだ。

 王やエステル、エムルやダイヤも状況を分かっていた為か余計な事は言わなかった。
 エステルの父は王ではないが俺は王と呼び続けている。
 その為エステル以外全員が王と呼ぶようになった。

「王が元気になったおかげで内政を王に任せられる」
「奪う者がいなくなれば与える者は力を発揮し始めるのだ」

 南の島に来て厄介な貴族がいなくなった瞬間王はパワフルに内政を押し進めるようになった。
 王は少し若返ったように感じる。
 口だけの批判者がいなくなり、王は力を発揮している。

 批判は細かいミスを少なく出来る利点はあるが、そのメリットが霞むほどのデメリットがある。
 行政が滞り制度を中々改正できなくなり、少しでも新しい制度に不備があると叩かれる事で皆何もしないようになっていく。
 それによりチャレンジ精神を削ぎ、皆の為に何かをしようとする善意を打ち砕いていく。
 要は内戦国並みに成長できない日本と同じ状態になるのだ。

「しかし広いな」
「そうなのだ。だが、地道にコツコツとやっていくしかないのだ」
「そうだな!」

 スライムの群れを2人で倒していく。
 

「やっと、はあ、はあ、終わったのだ」
「ライター、大丈夫か?」
「大丈夫なのだ」

「いや、内政も魔物狩りも進めて、しかも皆に嫌われる事を進めているだろ?」
「誰かが、嫌われ役をやらなければいけないのだ。多くの者が目先の利益を求めるのだ。だが、誰かが嫌わ者になって未来への投資を推し進める必要があるのだ」

 ライターは王と一緒に民の反対を押し切って教育に力を入れている。
 教育は短期的には結果が出ない。
 だが長い目で見れば大きな成果を生む。
 ライターは未来のみんなが幸せになる為、嫌われながら仕事をしている。
 ライターは『与える者』なんじゃないか?

 俺はそう思うようになっていた。
 その後ライターは何度言っても休まなかった。
 俺も、もっと頑張ってみよう!
 ライターが動く前に俺が魔物を倒せばいいだけだ!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 数十体いるスライムの群れに円盾を構えて突撃する。
 背の低いスライムに合わせて前傾姿勢を取り、円盾にスライムがぶつかった瞬間にスライムが倒れていく。

 俺はもう、レベルが上がらない。
 それでも魔物を狩る事で皆の助けになる。
 パーティーを組んでいるので、俺が魔物を倒しても他の者に経験値が入る!

「ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!」
 
 ファイアがスライムを倒し、更にその後ろにいるスライムを倒していく。
 俺は、ライターのように頭は良くないのかもしれない。
 でも、魔物を前より早く倒せるように工夫しよう。

 走ってゴブリンの群れに向かう。

「ハイファイア!」

 ゴブリンを10体以上一気に倒し、攻撃範囲に入らなかったゴブリンを盾とメイスで倒していく。
 日本にいた時、俺は皆の為に何かしようとするこの感覚を失っていた。
 でも、ここならみんなの為に何かをすると、気分が良くなる。

 宝感知が反応した!

「ほ!」

 俺は走って岩に登る。
 宝箱にあるアイテムを確認せずストレージに入れていく。

 始まりの村にいる魔物を狩っていたことを思い出す。

 ゼスじいの事を思い出す。

『国を守ろう、世界を守ろうなどと、大きなことは考えなくていいんじゃ。じゃが、自分と、その家族だけは守ってほしいんじゃ。それだけは頭の片隅に入れておいてくれんかの?』

 俺は何が出来るだろう?
 考えて出た答えは、ダンジョンを探索する事だけだった。
 王やライターのように内政をうまく出来るわけじゃない。

 俺は早く起きて遅くまで魔物を倒していった。
 
 宝感知の反応で岩に登ると、宝箱の先に見つけた。

「はあ、はあ、見つけた。2階への転移陣!」

 やっとだ。



 ゲット 人族 男
 レベル:  100
 HP:  1000   SS
 MP:   1000   SS
 物理攻撃: 800    A
 物理防御:1000   SS
 魔法攻撃:1000   SS
 魔法防御: 500    D
 すばやさ: 800    A
 固有スキル:炎強化
 スキル:『メイス☆』『盾☆』『ファイア☆』『ハイファイア☆』『エクスファイア☆』『ヒール☆』『リカバリーLV12』『トラップLV22』『宝感知LV【29→☆】』『ストレージ☆』『ファイアエンチャント☆』『ファイアシールド☆』『再生の炎☆』『努力☆』『アイスLV☆』『アイスエンチャントLV☆』『鍛冶☆』
 武器 ゼスのメイス:420(全魔法+30%・攻撃モーション速度+10%)
 防具 ゼスの円盾:320(HP微回復・魔法ダメージ10%減少)ゼスのローブ:200(HP微回復・魔法ダメージ10%減少)ゼスのブーツ:160(HP微回復・魔法ダメージ10%減少)

 エステル:好感度95
 クレア :好感度89
 アリシア:好感度94
 エムル :好感度97(奴隷)
 リリス :好感度 【9→15】
 ダイヤ :好感度 【6→9】
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