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第87話
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マイルド王国にいる多くの貴族はシャドウジャイアにしたがったが、例外もあった。
公爵、ガンズ・ペンセイバーである。
貴族の爵位は上から順に5つある。
公爵
侯爵
伯爵
子爵
男爵
と基本5つある。
『英雄』の爵位は将軍に近いため毛色が違う。
ガンズ・ペンセイバーは絶大な力を持っており、シャドウジャイアやエステルの父が倒れる原因を作りだした男でもある。
周辺の貴族を抱き込み、余裕が無いと言ってシャドウジャイアの命令を断り続けた。
ガンズの見た目はすらっとしており、領主と言うより執事を思わせる外見だがその顔は歪んでおり威圧感があった。
白髪の髪を丁寧にセットしてあり、几帳面な性格が伺える。
取り巻きがガンズに声をかけた。
「ガンズ様のおかげで無駄な兵と物資をを失わずに済みました。感謝しております」
「うむ、シャドウジャイアの言う事を聞いていては領地が滅んでしまうのであーる」
「今憂慮すべきは魔王となったシャドウジャイアが我らの領地に攻め込んでくる可能性です」
「その可能性は低いのであーる。奴は動くことを嫌う。それにもし奴自身が動いたとて、こちらには1000の魔道ゴーレムがあるのであーる!」
「さすが!ガンズ様!」
周りの貴族もガンズを讃える。
【ガンズ・ペンセイバー視点】
うまくいった。
王が倒れ、無能のシャドウジャイアが王になった事でこちらは動きやすくなった。
その混乱に漬け込み、周囲の貴族を取り込み、私の手駒は増えた。
更に貴族の危機感を煽り、魔道ゴーレムを新たに作ると言って資金を集める事にも成功した。
その資金の多くはもちろん私の懐に入った。
その資金で周りの貴族から魔道ゴーレムの部品となる鉄や金が手に入った事で私の力は急速に高まっていった。
シャドウジャイアのおかげだ。
愚かな王に感謝せねばな。
後は帝国とシャドウジャイアが戦い、疲弊したタイミングで私が両方を倒し漁夫の利を得る。
これで私は王になれる!
兵士が慌てて入ってきた。
「報告します!カントリー男爵の領地が魔物に襲われています!」
「魔物の数はいくらほどであるか?」
「約1000です!ですが、今後さらに増える可能性もあります!そして魔物の動きはまるで軍のように統率が取れています!」
シャドウジャイアの仕業か。
間違いない。
「ガンズ様!どうか魔道ゴーレムの投入をお願いします!このままでは私の領地が滅びてしまいます!」
「うーむ、だがこれは陽動の可能性もあるのである」
「このままでは私の領地が滅んだ後は次の領地を滅ぼされるだけです!ご決断を!」
予想外だ。
二正面作戦など、愚策に過ぎない!
帝国と戦いつつ我らを攻撃するというのか!
シャドウジャイアの動きが読めない!
馬鹿の考えゆえに読むことが難しい。
だが、放置する事で周辺の領地を切り取られては貴族の反感を買い、立場が悪くなる。
しかし、これが陽動だった場合、引っかかれば私の責任を問われる。
周辺の貴族どもはすぐに手のひら返しを行うだろう。
助けろと言って助けに行き、結果が伴わなければ私の責任にして怒り出す。
結果が分かっているのなら事前に何をどうすれば良いか案を出し、失敗しても何も言わぬのがまともな者の考えだ。
だが奴らの性格を考えれば自らは責任を取らず、自分の意見としては何も言わず、私に決断を迫り、結果が出なければ結果だけを見て騒ぎ立てるだろう。
だが、それでも責任を取って発言出来る者がいるかまずは聞いてみるべきか。
「陽動の可能性もあるが、カントリー男爵の責任でゴーレムを出動させると、そう考えていいのであるか?」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
周りの貴族もカントリー男爵に同調して『ご決断を!』と騒ぎ立てる。
このクズ貴族どもが!
自分の責任では動かぬか!
「カントリー男爵から要請があれば、陽動の可能性もあるがゴーレム部隊を投入するのであーる」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
「そうではない!まずは正式に要請をするのであーる!」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
「そうではない!助けが必要ならば、陽動の危険もある事を承知した上でカントリー男爵が決断するのだ!」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
話にならん!
自分では絶対に決断せず、責任を私に押し付けたいのだろう。
カントリー男爵は私に決断させてゴーレム部隊を投入したいと思っている。
だが、ゴーレムの投入が失敗し、この城に魔物が迫れば私が悪いと怒り出すだろう。
「良いか!よく聞くのであーる!救援が必要なら自らの責任で発言するのだ!そして自分で決断し、失敗した場合はその者の責任となる!失敗すれば陽動としてこの城に魔物が集まり、我らは皆殺しにされるであろう!その決意がある者だけが救援を要請するのだ!」
そう言って私は強引にその場から下がっていった。
後ろでは貴族どもが騒ぎ立てる。
貴族は自分で責任を取らず、責任を取らせようとする。
領主であるなら自分で決断し、責任を負うべきだろう。
奴らはそれが分かっていない。
貴族は結果が悪いと手の平を返して人を責め立てる。
そこまで言うのならそうなる前に自ら決断すればいいだけの話だ。
だがそれをせず人を責め立てる。
クズどもが!
貴族はクズであった。
そして、ガンズ・ペンセイバーもクズ貴族であった。
そして、取り巻き貴族の行動は、かつてガンズが王に行ってきたことと同じである。
自分の責任では発言せず、結果が出てから責め立てるクズ。
ガンズも取り巻き貴族もクズであった。
自分の責任では発言せず、結果が出てから責め立てるクズがいる事で、まともな者が自分の意見を言うと損をする状況が生まれる。
貴族の多くがは奪う者なのだ。
貴族同士の話はその後もまとまらなかった。
これによりガンズの周辺領地はシャドウジャイアに切り取られ続けた。
公爵、ガンズ・ペンセイバーである。
貴族の爵位は上から順に5つある。
公爵
侯爵
伯爵
子爵
男爵
と基本5つある。
『英雄』の爵位は将軍に近いため毛色が違う。
ガンズ・ペンセイバーは絶大な力を持っており、シャドウジャイアやエステルの父が倒れる原因を作りだした男でもある。
周辺の貴族を抱き込み、余裕が無いと言ってシャドウジャイアの命令を断り続けた。
ガンズの見た目はすらっとしており、領主と言うより執事を思わせる外見だがその顔は歪んでおり威圧感があった。
白髪の髪を丁寧にセットしてあり、几帳面な性格が伺える。
取り巻きがガンズに声をかけた。
「ガンズ様のおかげで無駄な兵と物資をを失わずに済みました。感謝しております」
「うむ、シャドウジャイアの言う事を聞いていては領地が滅んでしまうのであーる」
「今憂慮すべきは魔王となったシャドウジャイアが我らの領地に攻め込んでくる可能性です」
「その可能性は低いのであーる。奴は動くことを嫌う。それにもし奴自身が動いたとて、こちらには1000の魔道ゴーレムがあるのであーる!」
「さすが!ガンズ様!」
周りの貴族もガンズを讃える。
【ガンズ・ペンセイバー視点】
うまくいった。
王が倒れ、無能のシャドウジャイアが王になった事でこちらは動きやすくなった。
その混乱に漬け込み、周囲の貴族を取り込み、私の手駒は増えた。
更に貴族の危機感を煽り、魔道ゴーレムを新たに作ると言って資金を集める事にも成功した。
その資金の多くはもちろん私の懐に入った。
その資金で周りの貴族から魔道ゴーレムの部品となる鉄や金が手に入った事で私の力は急速に高まっていった。
シャドウジャイアのおかげだ。
愚かな王に感謝せねばな。
後は帝国とシャドウジャイアが戦い、疲弊したタイミングで私が両方を倒し漁夫の利を得る。
これで私は王になれる!
兵士が慌てて入ってきた。
「報告します!カントリー男爵の領地が魔物に襲われています!」
「魔物の数はいくらほどであるか?」
「約1000です!ですが、今後さらに増える可能性もあります!そして魔物の動きはまるで軍のように統率が取れています!」
シャドウジャイアの仕業か。
間違いない。
「ガンズ様!どうか魔道ゴーレムの投入をお願いします!このままでは私の領地が滅びてしまいます!」
「うーむ、だがこれは陽動の可能性もあるのである」
「このままでは私の領地が滅んだ後は次の領地を滅ぼされるだけです!ご決断を!」
予想外だ。
二正面作戦など、愚策に過ぎない!
帝国と戦いつつ我らを攻撃するというのか!
シャドウジャイアの動きが読めない!
馬鹿の考えゆえに読むことが難しい。
だが、放置する事で周辺の領地を切り取られては貴族の反感を買い、立場が悪くなる。
しかし、これが陽動だった場合、引っかかれば私の責任を問われる。
周辺の貴族どもはすぐに手のひら返しを行うだろう。
助けろと言って助けに行き、結果が伴わなければ私の責任にして怒り出す。
結果が分かっているのなら事前に何をどうすれば良いか案を出し、失敗しても何も言わぬのがまともな者の考えだ。
だが奴らの性格を考えれば自らは責任を取らず、自分の意見としては何も言わず、私に決断を迫り、結果が出なければ結果だけを見て騒ぎ立てるだろう。
だが、それでも責任を取って発言出来る者がいるかまずは聞いてみるべきか。
「陽動の可能性もあるが、カントリー男爵の責任でゴーレムを出動させると、そう考えていいのであるか?」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
周りの貴族もカントリー男爵に同調して『ご決断を!』と騒ぎ立てる。
このクズ貴族どもが!
自分の責任では動かぬか!
「カントリー男爵から要請があれば、陽動の可能性もあるがゴーレム部隊を投入するのであーる」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
「そうではない!まずは正式に要請をするのであーる!」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
「そうではない!助けが必要ならば、陽動の危険もある事を承知した上でカントリー男爵が決断するのだ!」
「決断するのはガンズ様の役目でしょう!早くご決断を!」
話にならん!
自分では絶対に決断せず、責任を私に押し付けたいのだろう。
カントリー男爵は私に決断させてゴーレム部隊を投入したいと思っている。
だが、ゴーレムの投入が失敗し、この城に魔物が迫れば私が悪いと怒り出すだろう。
「良いか!よく聞くのであーる!救援が必要なら自らの責任で発言するのだ!そして自分で決断し、失敗した場合はその者の責任となる!失敗すれば陽動としてこの城に魔物が集まり、我らは皆殺しにされるであろう!その決意がある者だけが救援を要請するのだ!」
そう言って私は強引にその場から下がっていった。
後ろでは貴族どもが騒ぎ立てる。
貴族は自分で責任を取らず、責任を取らせようとする。
領主であるなら自分で決断し、責任を負うべきだろう。
奴らはそれが分かっていない。
貴族は結果が悪いと手の平を返して人を責め立てる。
そこまで言うのならそうなる前に自ら決断すればいいだけの話だ。
だがそれをせず人を責め立てる。
クズどもが!
貴族はクズであった。
そして、ガンズ・ペンセイバーもクズ貴族であった。
そして、取り巻き貴族の行動は、かつてガンズが王に行ってきたことと同じである。
自分の責任では発言せず、結果が出てから責め立てるクズ。
ガンズも取り巻き貴族もクズであった。
自分の責任では発言せず、結果が出てから責め立てるクズがいる事で、まともな者が自分の意見を言うと損をする状況が生まれる。
貴族の多くがは奪う者なのだ。
貴族同士の話はその後もまとまらなかった。
これによりガンズの周辺領地はシャドウジャイアに切り取られ続けた。
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