ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た

ぐうのすけ

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第83話

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 ライターは俺と一緒にルンバを追い出した経緯を説明したが、リリスもダイヤも怒っていないようだった。

 だが俺の背中に猿のようにしがみついているエムルをちらちら見ていた。

「エムルが気になるか。スムーズに話を進める為同じ6将としてエムルをおとなしく出来ないか?」
「無理!」
「無理だな!」

 俺が言い終わる前に断られただと!
 しかも2人とも語気が強い!
 エムル関連で態度が変わりすぎだ!

 ルンバを押し付けたのは許してくれるのにエムル関連は決して許さない強い姿勢が見えた。

 俺とダイヤはすぐにみんなの住む場所や仕事の簡単なすり合わせをして、話はすんなり決まって行った。

「所でエムルのおかしな行動」
「それは無理だ!」

 黒騎士は両手の手に平を前に出し、顔を横に背けながら言った。
 エムルの時だけは言い終わる前なのに速攻で拒否される。

 こいつ!いつも落ち着いているのにエムルの時だけは反応が早いしオーバーリアクションになる!
 だが、集まって来る者は皆、善良な者がほとんどで、問題は起きず、南の島は発展していった。
 エムル以外は問題無しか。

 しかし、まさかあのルンバが帝国の皇帝になるとは、予想できなかった。
 演説で皆を扇動するって、まるで独裁者だな。



 ◇卍



【ルンバ視点】

 私はやっと優雅な生活を手に入れる事が出来た。
 ゴールデンオーク用の餌はたくさんある。
 金は教会から集めて、城にいたメイドに私の世話をさせればいい。

 私に対抗する力を持った6将は悪者にして追い出せた。
 後は皆に金を運ばせて私は贅沢をして過ごす。

 大臣が面会を求めてきた。

「皇帝陛下、そろそろ最強の魔物を使役し、魔物を倒して欲しいのです」
「もう少ししたら動きましょう」

「で、ですが、すでに数か月この城で豪遊しています。このままでは国庫が枯渇してしまうのです。お力をどうかお示しください」

「あなたの大臣としての役目は今日で終わりです」
「それは、どういう事でしょう?」
「はあ、分かりませんか?首です。首にされた理由は分かりますか?」
「……いえ、分かりません」

「だからダメなのです。私の望む働きを出来ず、自分で成果を上げず私にお願いするばかり。あなたは大臣としての役割を果たしていません。
 具体的に言うと、私が休息中にも関わらず無遠慮に面会を求めてくるその厚かましさ。
 更にお金が無いと言いますが、あなたがお金を生み出せば問題無いはずですが、それを出来ていません。
 それと、支出を削減するよう指示を出しましたがわずか10%の削減も達成できていませんね。
 そして私への悪評を消すように言ったはずですが、まったく効果が見えません。
 兵士の管理も出来ていないようですね、どんどん兵士がいなくなっています。
 そして魔物の分布情報も間違いだらけのようです。
 あなた自身の無能を分かっていただけましたか?」

 大臣は大きな声で言った。

「申し訳ありませんでした!今すぐに出て行きます!」
「声のボリューム位わきまえてください。うるさいです」

 大臣は速足で部屋を出て行った。
 大臣を慕っていた城の者は城から逃げ出し始めた。



 ルンバは何か言えば何倍も批判が返って来るような人間で、自分の事を棚に上げて相手を批判する。
 そしてルンバは帝国の富を吸いつくすように豪遊を続け、周りには金を生み出すよう脅しをかけていくのだ。
 この事でルンバの悪評は瞬く間に広がった。

 元々戦争と魔王の誕生により不安定になった民衆の不安を煽る形でルンバは皇帝になった。
 だがそれは裏を返せばこの国の経済が落ち込み、民の生活が苦しくなっている事への裏返しでもあった。
 貧困や魔物に怯える生活、このはけ口は皇帝であるルンバに向かった。



 帝都ではルンバの悪口で酒場は男たちは盛り上がっていた。

「ルンバの野郎、城で豪遊してやがるみてえだぜ」
「俺も聞いた。こっちは頑張って魔物を狩ってるってのに、何もせず豪遊とは頭がいかれてんのかねえ?」

「大臣が首になって、城にいる奴らも逃げ出してるって話だ」
「6将がいた方が生活は良かったよな?」
「そうだな」

「また税を取り立てるらしいぜ」
「はあ?またか?」
「今度は6将損害復興税らしい」

「意味が分からねえ。しばらく前に6将は追い出してるだろ?」
「6将のせいにして金を巻き上げてるようにしか見えねえよなあ。所でよお、俺、マイルド王国のさらに南にある、南の島に行こうと思うんだ」

「給金は安いが、仕事さえすりゃ衣食住は何とかなるって聞いたがほんとかねぇ?それにあそこはマイルド王国の元王と英雄ゲットが作った国だろ?帝国の俺達が行っても受け入れられるもんかね?」
「黒騎士のダイヤと竜化のリリスが幹部をやっているらしい」

「受け入れられるとしても、マイルド王国の陸路を通って南の海に出るんだろ?マイルド王国の兵士と魔物が心配ではある」
「兵士と俺達冒険者が亡命するついでに民を連れて行くらしい」

「南の島ねえ。作ったばかりの国なら仕事はいくらでもありそうだ」
「お前も行かないか?お前は酒飲みではあるが、よく働く」
「そうだなあ。悪くねえかもな」



 こうしてアイアンレッド帝国の民は南の島に流れ始めた。
 マイルド王国とアイアンレッド帝国はまともな人間だけが南の国に引き抜かれ続けた。
 そして両国は自らの首を絞めていた。
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