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第119話 それぞれの道

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 家に帰る途中で兵士に引き留められた。

「ユウタ殿、顔色が悪そうですね」
「バンパイアの城に、血を渡す約束を守りに行っていたんだ」
「お疲れ様です。そういう事でしたら王がお呼びでしたが、明日に回しましょう」

「いや、すぐに城に向かおう」

 俺は城に向かった。

 大臣と王、レオナルドさんのいる会議室に入った。

「バンパイアとの契約、ご苦労だったな。何か食べる物を持って来させよう」
「お願いします」
「顔色が悪いぞ。バンパイアは無茶をさせないと思ったが……」

 血だけじゃなくて違う物も吐き出していた。
 でもそれは言えないし、バンパイアを悪く言う事も出来ない。

「彼女たちは約束を守りますよ。ただ、僕の方からもっと吸って欲しいと言いました」
「ユウタ殿はせっかちというか、動きが早いですからな」
「仕事の早さは相変わらずだな」

 バンビーがベッドの上でも指が速いとか言われた。

「それで今日の議題は?」
「いや、今日はすり合わせと軽い連絡だけだ」

 俺は王の言葉に耳を傾けた。

「アリーチェだが学園で順調に勉学に励み、冒険者の依頼もこなしている。
 セリアはセイテーツの村に住み、山の奥まで踏み込んでモンスターを倒している」

 アリーチェもセリアも頑張っているんだな。

「レオは工兵を指揮して街道の整備と橋を架け、セイテーツの村に石の砦を作って貰いつつモンスターを狩って貰う」

 石畳の道を作るには金がかかって今の国力では賄えない。
 街道周囲の木を切るのはモンスターの奇襲対策だ。
 100%は無理でも出来る範囲で国を良くしようとしている。

「皆が助かります」
「うむ、ユウタはこれからどうするのだ?」
「僕は、まず休みます」

「そうだな。その後はどうする?」
「馬車とアイテムボックスのレベルが上がるまでは、交易、ですかね。と言っても国内の物流でお金を貯めてからになりますけど」

「これから国は、良くなっていくでしょうな」

 重要な案件を決めるというよりは、微調整をするような会議が終わり、俺は家に帰った。

 1人で帰り、ベッドに横になる。

 お金を貯めて運搬をしよう。
 そうすれば馬車とアイテムボックスのレベルが上がっていく。
 レオナルドさんが街道を整備して街道付近にいるモンスターを倒すようになればみんなが馬車で荷物を運べるようになる。
 そうなれば物流で金貨を集めるのは不利になるだろう。

 国内の物流で簡単に金貨を稼げるのは今だけだ。
 国内で稼げなくなってきたら国内の物流網が整ってくる事になる。
 そうなれば今度は他国との交易だ。

 この大陸には他に3つの国がある。
 3国と交易をすれば金貨は稼げるだろう。

 ゆっくり休んでたくさん食べて、それからだ!

 なんか、

 いいな、

 今が、

 充実している。

 
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