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第101話 ぼったくりを受けるおさわりじじい

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 家に帰り休むとおさわりじじいが訪ねてきた。

「ユウタ! 開けんかい! こんないたいけな老人を夜明けの寒空に放置するなど喝じゃ喝!」

 ガチャ!

「おさわりじじい、うるさい」
「腹が減ったの」
「ここは料理屋じゃない」

「娼館帰りで色々吐き出した後なんじゃ。エネルギー補給は次の娼館通いの糧となる」
「エネルギー補給は他でどうぞ」
「全部閉まっとるわい!」
「おさわりじじいがいれてもらえないだけだ!」

「ワシは老い先短い」
「そういうのいいんで」
「ワシはジョーカーの軍に張りついとった。あれは苦行じゃった」
「お疲れさまでした。チケットを貰えてよかったですね。ではさような」

「待つんじゃ!」

 うわあ、ウザがらみしてくる親戚のおっちゃん感が凄い。
 かなりしつこい。
 娼館帰りなら寝ておけって。
 結局俺はおさわりじじいを家に入れた。

「なんじゃ、おなごはおらんのか」
「1人で悪かったな」
「また、ずいぶんと質素じゃな。枯れた老人かの?」
「帰るか?」
「待つんじゃ、クンクン、いい匂いがするのう」

 俺は大きめの更に温めたパンを乗せ、間にベーコン、目玉焼き、野菜を挟み、温めたスープと一緒に出した。
 皿を置いた瞬間におさわりじじいが手を伸ばしものすごい勢いで食事を口に入れていく。

「もぐもぐ、中々、うまいのう。お代わりじゃ! 後3人前!」
「それだけで2人分あるぞ」
「後6人前かのう。もぐもぐもぐもぐ」

 おさわりじじいはお代わりをすべて平らげた。


「ふう、今日はいい日じゃった。チケットを貰っての、狙っていたおなごをマッサージで落としてやったわい。次からはチケット無しで10倍の値段を出せば予約無視で相手を出来る」

 ぼったくりじゃないか。

「ちなみにいくらかかるんだ?」
「3人の内誰の事じゃ?」
「全員の値段だ」
「通常価格は一晩金貨75枚から100枚じゃ」

 10倍。
 金貨1000枚=1000万円
 おさわりじじいはBランククエストをこなしその金貨を娼館に流し続けるだろう。
 自動で回る永久機関を作り上げたか。
 大臣は優秀だな。

「さてっと、また、行くとするかのう、戦場に」

 娼館に行くのかジョーカーの軍に行くのか分からない。
 だが、早く出て行って欲しい。

「ワシも、男じゃからのう、キリ!」

 だからどっち?
 でも、聞けば長くなる。

 突っ込んじゃ駄目だ!

 突っ込んだら負けだ!

 おさわりじじいは出て行った。


 おさわりじじいが出て行った後、サーラ・セリア・アリーチェが訪ねてきた。

「今日もダイスで誰と一緒に過ごすか決めましょう」
「最近、わたくしが負け続けていますわ」
「戦いが終わったら、サーラと何かをしようか」
「私も!」

「アリーチェはシテばかりです。ずるいですよ」
「ずるくないわ」
「アリーチェ、まずは学園の卒業、その後は冒険者Bランクを目指すのですわ」

 サーラが満面の笑顔で言った。

「戦いが始まる前の最後のダイスになりますわ」

 この瞬間はいつも興奮する。

 俺はダイスを振った。


 ◇


 チュンチュンチュンチュン!

 俺の隣でセリアが目を覚ました。

「夜は、控えめでしたね」
「そろそろ、ジョーカーがここに来るからな」
「成長のカードの回復が間に合って良かったです」
「巫女のスキルも復活した。スキルだけは回復したか」

 ジョーカーの軍が近くに来ている。
 癒しの時間はしばらく無いだろう。

 2人で作った食事を2人で分け合って食べた。

 そして2人で城に向かった。
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