転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

第94話 ワルブ②

「お前まさか、たった一人で俺を倒す気か？」
「そうだ」
「ぎゃはははははははは！　おいおいおいおい！　舐められたもんだな！　今まで王は俺に手を出さなかった。何でか分かるか？」

「なんでだ？」
「俺が怖いからだ！　俺はレオナルドよりも強い！　だから手を出せなかった！　王も、レオナルドも、俺にビビってんだよ！」
「ナイフ！　アタックダイス！」

　ナイフが3本ワルブに突き刺さった。

「聞けよおおおお！　てめえ！　舐めてんじゃねえぞ！」

　アタックダイスが6の目を出した。

「効かねえよ！」

　ワルブがアタックダイスを殴って爆発した。
　6の目、さっきより痛いはずだ。

「ああそうか、てめえは殺す！　ワーウルフ！」

　ワルブがサングラスを外すと背が伸び、3メートルほどの大きさになった。
　体は毛に覆われ、顔がオオカミになった。

　俺は後ろにステップを踏んだ。

「おいおい！　ビビって逃げるのか！　俺を殺すんだろ！　なあ！」
「ダイスレイン！」

　俺は後ろに走った。

「逃げてんじゃねえぞ！」

　ダイスが1の目を出した。
　うわ、外れだ！
　100のダイスがバウンドする。

　俺は全力で後ろに走った。
　ワルブが俺に追いつくとダイスレインがワルブに降り注ぐ。

　チュドドドドドドドドドドーン！

「いてえじゃねえか！　マジで殺すぞおおおおお！　うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！」

「ナイフ！」
「効かねえよ！」
「アタックダイス！」
「それはさっき見た！」

　4の目が出てワルブに向かい、腕に当たって爆発した。

「マジックハンド！　ミサイルナイフ！」

　10本の手と、10本のナイフがワルブを襲う。

　マジックハンドがワルブの手足を掴むがそれほど効果はない。

「こんなもので押し返せると思っているのか！」

　ミサイルナイフが何度も突き刺さるが、ワルブは拳で破壊していく。
　その後にマジックハンドを握りつぶして破壊していった。

　俺はその隙に逃げて防壁の上に登った。

「お前！　何ビビってんだよ！　こっちに来い！」
「アタックダイス！」

　アタックダイスが5の目を出した。

「なんだ？　来ないのか？　ああ、そうか、アタックダイスが怖いか」

　俺はワルブを挑発した。
　おさわりじじいを参考に相手をイラつかせる能力が上がった。
　俺が逃げておいて相手を挑発する。

「お前が逃げたんだろうがよおお！」
「てっきりアタックダイスが怖くて近寄ってこないのかと思った」
「お前が逃げたろうがああああああああああ！」

　ワルブが走って来た。
　俺は防壁の上を走って逃げた。

「逃げているのはお前だああああ！」
「ナイフ！」

　アタックダイスとナイフがワルブにヒットした。
　そして逃げる。

「馬車！　ゴーレム！」
「効かねえよ！　おらああああ！」

　馬車が拳で粉砕された。
　中から出たゴーレムも3回踏みつけにされて消えた。

　追いつかれそうになった所で防壁から飛び降りた。
　壁を蹴りつつ地面に着地するとワルブも下りてきた。

　俺はまた防壁の階段を上って逃げる。


　俺は逃げ続けた。

「はあ、はあ、待て、逃げるな！」
「ナイフ！　アタックダイス！」

　ナイフとアタックダイスを受けながら追って来る。
　俺に追いつくと拳を繰り出した。

　俺は拳をステッキで受け。
　勢いを殺しきれず防壁の外に押し出された。
　王都外の丘を転がり起き上がるとワルブが壁を蹴りながら勢いを殺して下りてきた。

「はあ、はあ、やっとだ。もう鬼ごっこは終わりだ」
「そうだな。戦おうか」

　俺はステッキを構えた。
　ワルブが拳を振り上げて殴り掛かって来る。
　だがさっきまでの勢いはない。

「ワルブ、どうした？　疲れたか？」
「はあ、はあ、はあ、殺、す」

「ワルブ、もう限界なんだろ？　逃げなくていいのか？」
「ぜえ、はあ、うるさ、い！」
「お前は瞬発力だけは高い、でもレオナルドさんより弱い」

「黙れ！」
「強力なスキルには代償がある、メリットが大きければその分デメリットも大きくなる。ワーウルフは長くは持たない」

「ぐ、ぐるああああああ！」
「拳に勢いがない」

　ワルブの体が元に戻っていく。
　ワーウルフが切れたか。

「ナイフ！　アタックダイス！」

　ナイフが10本ワルブにヒットした。

　アタックダイスが6の目を出してワルブの頭部にヒットした。

　ステッキを何度も振るとワルブが倒れた。

「ふーーー！　終わったか……ラッパ！」

　ラッパを3回吹いた。

　レオナルドさんが走って来た。

　ワルブ、俺が負けてもレオナルドさんがいた。

　俺をムキになってなって追いかけた時点でお前は負けていた。

　ワルブと手下のオオカミ族は捕まり、その日ギャングは崩壊した。