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第84話 木材不足
しおりを挟む4人で王城に戻るとまた会議室に案内された。
前と同じメンバーで同じ席に座った。
「良くやってくれた。鉄鉱石の採掘量は増えた、更に兵を別任務に当てる事が出来、村の食料危機まで解決した」
「その、報酬ですが、もうしばらく待ってほしいのです」
急激に物の移動が発生してゴーレムがいなくなって配置転換や急な事務手続きが増えたんだろうな。
「それは大丈夫です。僕の報酬処理は後回しでいいですよ。所で、おさわりじじいはどうなりました?」
「無事に、モンスター狩りに出かけました。魔石を1000個集めるまで帰ってこないでしょう。大臣の立場として言えるのは、問題は減れば減るほど仕事がしやすくなります。本当にありがとうございました」
大臣も王も忙しいんだろうな。
「次は、食料と木材ですかね?」
王都大臣が目を見合わせた。
「実はな、木材が思ったよりも不足している」
「経緯を説明します。元々木材は足りませんでした。大工や職人に家や矢を作るよう依頼しようとすると『木と鉄を持ってこい』と怒りながら言い返してくる状況でした。そこに足りなかった鉄鉱石が王都に大量に入ってきました。すると、鉄鉱石を鉄に変える為の薪が必要になりました」
「そ、そうですか。今まで大工と矢を作る職人で取り合っていた木を、製鉄工房でも取り合うようになったと」
「そうです」
「で、何か言うと『じゃあ木を持ってこい』と怒られると」
「その通りです」
「最初に、木を調達するべきでしたかね?」
「いえいえ、むしろ、セイテーツに行ってくれたおかげで未然に食料問題とゴーレムの襲撃を防ぐことが出来ました。セイテーツの現状が分かり嬉しい誤算となった。そう取って頂ければ」
「次は木を持ってくればいいですか?」
「そうですね。お願いできますか?」
「はい、ただ、そこまで足りないとなれば、食料都市マリンに依頼してある分だけで、供給量がしばらく追いつかないと思います」
「マリンの領主に手紙を書いてある。これを見せれば木を切り放題だ」
「アリーチェって、木を斬れるか?」
「剣で斬れると思うわ」
「アリーチェが剣で木を斬って、俺がアイテムボックスに入れれば早い気がする」
「ついでに食料も持ってこれるわね」
「アリーチェとユウタには木と食料の調達を頼む」
「アリーチェとユウタだけで行くんですか?」
「セリア、そう怒るな。今回はセリアとサーラにも行ってもらいたい」
「怒っていませんよ」
「む、そうか」
「怒ってません」
「……食料都市マリンの近くでモンスターの目撃情報が入ったのだ」
「分かりました」
「すぐに向かいますね。皆は大丈夫か? もし疲れているなら後から来てもらっても大丈夫だぞ?」
「私は元気よ!」
「私も大丈夫です」
「わたくしも行けますわ」
俺達は食料都市マリンに向かった。
領主ロレンツさんに王の手紙を渡してアリーチェと一緒に木を斬って回収する。
サーラとセリアは街の周りを偵察した。
アリーチェと巫女の固有スキルで1つになってアリーチェに木を斬って貰う事で効率は更に上がった。
サーカス団のみんな、副兵士長のパーティー、アリーチェの両親。ここは落ち着く。
セリアとサーラも順調にモンスターを狩った。
元サーラの部下10人を連れて毎日出かけている。
皆の訓練を兼ねているのか。
俺達はサーラの元部下が住む離れ家にお世話になった。
「ユウタさん! アリーチェさん! おはようございます!」
元サーラの兵士が起こしに来た。
「おはよう」
「おはよう」
「ユウタさん、マッサージをお願いしてもいいですか?」
「1人30分で、一日に3、いや、4人まででもいいか?」
「「大丈夫です!」」
「私もお願いするわ」
「わたくしもお願いしますわ」
「セリアはマッサージは、いいか?」
「私は大丈夫です」
「こういうのは嫌か?」
「いえ、ですが大丈夫です」
大丈夫ってどっちの大丈夫だ?
なんか、機嫌が悪いな。
これ以上突っ込んで聞き出すのはまずい気がする。
話題を変えよう。
「何か困っている事があれば協力するぞ」
「大丈夫です」
「わ、分かった」
「……」
最近セリアの機嫌が悪い気がする。
気のせいか?
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