転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
76 / 136

第76話 巫女

しおりを挟む
 俺は高級宿屋を出て、街はずれの高台にポツンとある一軒家を借りた。
 童話に出て来そうな丸い窓、デザイン重視の建物に味がある。
 立地的に防壁に近い為家具有り、一カ月たった金貨1枚(日本円で1万円)で借りられた。

 食糧などの物資はまとめ買いをしてアイテムボックスに入れておけばいい。
 買い物に行って来よう。
 たくさんパンを買ってきて、ベーコンや肉を買って、コーヒー豆も買おう。
 料理をしてコーヒーを楽しみながら今後の計画を立てる。

 俺は街に出た。
 声が聞こえる。

「きえええええい!」

 バチバチバチバチ!

「腕を、上げたのう、がくり」

 ……何も無かった。
 俺はパン屋に向かった。

「パンを買えるだけ全部下さい」

 俺は金貨を5枚出した。
 呆れたような顔で店主がパンを売る。
 その後俺は牛乳・卵・ベーコン・野菜を買えるだけ買ってコーヒー豆も買い占めた。
 まとめ買いをする事でやる事を減らしていく。
 やる事を減らし、何をするかゆっくりと考えたい。


 おさわりじじいが木に吊るされていぶされていた。

「ユウタ、良い所に、ワシを助けるんじゃ、助けるんじゃ!」

 逆さまに吊るされたおさわりじじいがすすを被りながらブランブランと揺れる。

 俺はその場を立ち去り家に戻った。


 家の前にアリーチェがいた。

「アリーチェ?」
「ユウタ、遊びに来たわよ」
「学園から出て大丈夫なのか」

 アリーチェがすっと目を逸らした。

「……大丈夫よ」

 多分、適当な事を言って抜けてきたんだろう。
 でも、言わないでおこう。

「ならいいんだ。色々食べ物を買って来たから一緒に食べよう」
「私が作るわ」
「ゴーレムで」
「私が作りたいの」
「頼む」

 アリーチェと2人で食事を用意して、2人で食べた。
 家にはお風呂もあって交代でお風呂にも入った。
 そして外は暗くなった。


「ユウタには感謝しているのよ」

 アリーチェが俺の手を握った。
 マッサージをしたあの時と同じ雰囲気を感じて鼓動が高まり熱が上がっていく。

「……」
「……」
「賭けをしましょう。ユウタが勝ったら、私と、シテ、違うわね。私の体を朝まで好きにしていいわ」

 俺の視線も、想いもアリーチェには全部バレていた。
 アリーチェを好きに出来るのか!
 勝ちたい!
 絶対に勝ちたい!

「ルーレットで良いか?」
「いいわ、ユウタが黒か赤を選んで、緑が出たらユウタの勝ちよ」
「分かった。ふー! ふー! ルーレット!」

 どっちだ?
 どっちに落ちる?
 アリーチェを見つめた。
 褐色で潤いがありきれいな肌に目が行く。

 天から降ってくるように言葉が出てくる。

「黒、黒にする」

 ボールを回転させた。

 ボールがくるくると回る。

 黒! 黒! 黒が出ろ!

 ボールの動きがゆっくりになってルーレットに落ちながら踊る。

 黒! 黒!

 カタン!


「はあ、はあ、黒、黒に落ちた」
「私の、負けね。ベッドに行きましょう」
「ああ、ああ、そうだな」

 俺は溜めに溜めてきた。

 この想いを、渇望感を修行の力に昇華させ続けてきた。

 今ここで、縛りを解除する!

 ベッドに上がる前にアリーチェが振り返った。

「ゆ、ユウタ、私ね。避妊の魔法をかけて貰っているの」

 俺の体が理性を失い、後ろからアリーチェに抱き着いた。

「もう、止められないから」
「ふ!」

 俺とアリーチェは、その日1つになった。


 ◇


【アリーチェ視点】

 チュンチュンチュンチュン!

 これが、本気の、ユウタ……

 私は完全に操られていた。
 ユウタの技で私は反応して思うがままに仰け反った。

 何度も意識を失って、何度も天国に行くような快楽を味わった。

「疲れたよな? 少し眠るか?」
「大丈夫よ。それよりもすごく、喉が渇いたわ」
「コップと水差しを忘れていた」

 ユウタは笑顔で水差しとコップを持って来てくれた。
 私は水差しの水をすべて飲み干した。

「コーヒーと、軽い朝食を食べないか?」
「……貰うわ」

 ユウタはご機嫌だ。
 ベッドの上でぼーっとしてからビキニアーマーを着てテーブルの椅子に座る。
 ユウタが料理をする後ろ姿に目が行ってしまう。

 引き締まった体、たくましい腕。
 温め直したパンとベーコンエッグ、サラダとスープ、そしてコーヒーのいい匂いがする。

 コンコン!

「はい!」

 ユウタが玄関を開けるとセリアとサーラがいた。
 サーラは気配で私達が起きているかどうかわかる。

「おはようございます」
「いい匂いがしますわね」
「朝食がまだなら、皆分作れるぞ」

「いただきますわ」
「私も食べます」

「……」
「……」

「どうした?」
「ユウタ、機嫌がいいですわね。良すぎますわ」
「アリーチェ、ユウタ、昨日の夜から2人でいました?」

「……」
「……」

「……そうですのね。2人の顔で分かりましたわ。もう無理に答えなくて大丈夫ですわ」

 2人がテーブルを囲んで座った。
 全員分の料理がテーブルに乗って食事が始まった。

「2人は忙しいだろ? 優秀なスカウトと賢者は貴重だ」
「落ち着いたと思えばクエストが来ます」
「わたくしも同じですわ」

「王は気を使っていますが、ユウタにも手伝って欲しいと思っていますよ」
「やる事を減らして、何が出来るか1人で考えようとしていたんだ」
「1人で考えようとして、2人でこうなったんですね」

 セリアが私とユウタを見た。

「もういいじゃない、ユウタはこれから考えればいいのよ!」

 アリーチェが大きな声で言った。

 みんなで話が始まった。

 私の固有スキルは進化した。

『乙女の接吻→巫女』

 乙女じゃなくなった私。

 恥ずかしくて皆に言えない。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...