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第65話 決戦前夜のルーレット
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「部屋を、変わって貰おうか?」
「べつに、いいわよ」
一緒のベッドで眠るのか!
待て待て!
俺が期待し過ぎているだけだ。
ただ休むだけだ。
だが、2人でベッドに座ると期待値が高くなってしまう。
「ユウタ、今日はたくさんお世話になったわ。良い剣を買って貰って、本当に感謝してるのよ」
「アリーチェは切り札だからな。このくらいは当然だ」
「それでもお礼を言わせて。金貨1000枚を貯めるのは本当に大変よ。お父さんとお母さんを見て、商売の大変さは分かっているわ」
「それを言うなら、危険を承知で協力してもらって感謝している」
「もう、ユウタは本当に凄い事をしているのにさらっと済ますのね」
「そう言えばそうか、お礼を受け取らないみたいになるのは、それはそれで失礼……前の世界にいた時の、癖がまだ残っているのか」
「癖?」
「ああ、仕事をしていて調子に乗ると『調子がいいか! この仕事もやって置け! 今日中にな!!』とか言われて本当に丸一日眠らずに仕事をする事になる」
「眠らせないって、拷問じゃない」
「拷問、そうかもしれない。この世界は普通に暮らしていれば拷問は無いけど、死ぬ時はあっさり死ぬだろ? ……やっぱり調子に乗ったらダメだな」
「ユウタはもっと調子に乗ってもいいと思うわ」
「生き残ったら考えるさ」
「……ユウタ、賭けをしましょう。賭けでユウタが勝ったら私の体を好きにしていいわ」
「なん、だと!」
俺はベッドから立ち上がった。
「本気よ」
アリーチェが真っすぐ俺を見た。
一段ときれいになったアリーチェの顔。
柔らかくてすいつくようなアリーチェの感触を思い出す。
体温が高くて温かいアリーチェの肌。
ビキニアーマーが少し肌に食い込んだ肉体。
俺の体温が上がっていく。
褐色のきれいな肌と白いビキニアーマーのコントラストで鼓動が高鳴る。
健康的で潤いのあるアリーチェの唇、弾力のある胸、本能に逆らえない。
「はあ、はあ、やろう、ルーレットでどうだ?」
「分かったわ」
「アリーチェが黒か赤を決めてくれ。緑が出たらどうするか」
「ユウタの勝ちで良いわ」
「私は赤、赤を勝ちにするわ」
「俺は黒と緑が出たら勝ちか。ルーレット!」
「ユウタが決めたら有利になるのに」
「いいんだ。見返りを求めて剣を買ったわけじゃないから、このくらいはしておきたい」
「気にしなくていいのに」
「はあ、はあ、ルーレットを回すぞ」
「うん」
俺はルーレットを回した。
頼む、黒か緑! 黒か緑! 黒か緑!
ボールの勢いが落ちていく。
カラカラカラ
「あ、赤、か」
「そう、これが女神ティアの導きなのね」
負けた。
負けてしまった。
「ユウタ、マッサージなら、いつでもしていいわ」
「やらせてくれ。我慢できそうにない」
俺は、アリーチェが気絶するまでマッサージを続けた。
◇
チュンチュンチュンチュン!
鳥の鳴き声が朝を告げた。
2人で朝食を食べる。
アリーチェの肌は潤いを増している。
「昨日は気絶したのに、調子がいいわ」
「良かった。アリーチェは切り札だからな」
宿屋に兵士が入って来た。
「ユウタ殿! ゴブリンの軍勢はこちらの約3倍! 王都防壁の表門前で距離を取りつつ布陣しつつあります!」
ここに来ると見せかけて食料都市マリンに行くかもしれないとも考えたが、ここに来たか。
ジョーカーは強固な防壁があってレナルドさんとセリアがいる事を知ってそれでも突破できると考えている。
突破できる策があるんだ。
「食事が終わったらすぐに向かおう」
「はい! お待ちしております!」
兵士が去っていった。
「行きましょう」
「そうだな。頼んだぞ、アリーチェ」
「任せなさい!」
アリーチェが胸を叩くと胸が躍動した。
「べつに、いいわよ」
一緒のベッドで眠るのか!
待て待て!
俺が期待し過ぎているだけだ。
ただ休むだけだ。
だが、2人でベッドに座ると期待値が高くなってしまう。
「ユウタ、今日はたくさんお世話になったわ。良い剣を買って貰って、本当に感謝してるのよ」
「アリーチェは切り札だからな。このくらいは当然だ」
「それでもお礼を言わせて。金貨1000枚を貯めるのは本当に大変よ。お父さんとお母さんを見て、商売の大変さは分かっているわ」
「それを言うなら、危険を承知で協力してもらって感謝している」
「もう、ユウタは本当に凄い事をしているのにさらっと済ますのね」
「そう言えばそうか、お礼を受け取らないみたいになるのは、それはそれで失礼……前の世界にいた時の、癖がまだ残っているのか」
「癖?」
「ああ、仕事をしていて調子に乗ると『調子がいいか! この仕事もやって置け! 今日中にな!!』とか言われて本当に丸一日眠らずに仕事をする事になる」
「眠らせないって、拷問じゃない」
「拷問、そうかもしれない。この世界は普通に暮らしていれば拷問は無いけど、死ぬ時はあっさり死ぬだろ? ……やっぱり調子に乗ったらダメだな」
「ユウタはもっと調子に乗ってもいいと思うわ」
「生き残ったら考えるさ」
「……ユウタ、賭けをしましょう。賭けでユウタが勝ったら私の体を好きにしていいわ」
「なん、だと!」
俺はベッドから立ち上がった。
「本気よ」
アリーチェが真っすぐ俺を見た。
一段ときれいになったアリーチェの顔。
柔らかくてすいつくようなアリーチェの感触を思い出す。
体温が高くて温かいアリーチェの肌。
ビキニアーマーが少し肌に食い込んだ肉体。
俺の体温が上がっていく。
褐色のきれいな肌と白いビキニアーマーのコントラストで鼓動が高鳴る。
健康的で潤いのあるアリーチェの唇、弾力のある胸、本能に逆らえない。
「はあ、はあ、やろう、ルーレットでどうだ?」
「分かったわ」
「アリーチェが黒か赤を決めてくれ。緑が出たらどうするか」
「ユウタの勝ちで良いわ」
「私は赤、赤を勝ちにするわ」
「俺は黒と緑が出たら勝ちか。ルーレット!」
「ユウタが決めたら有利になるのに」
「いいんだ。見返りを求めて剣を買ったわけじゃないから、このくらいはしておきたい」
「気にしなくていいのに」
「はあ、はあ、ルーレットを回すぞ」
「うん」
俺はルーレットを回した。
頼む、黒か緑! 黒か緑! 黒か緑!
ボールの勢いが落ちていく。
カラカラカラ
「あ、赤、か」
「そう、これが女神ティアの導きなのね」
負けた。
負けてしまった。
「ユウタ、マッサージなら、いつでもしていいわ」
「やらせてくれ。我慢できそうにない」
俺は、アリーチェが気絶するまでマッサージを続けた。
◇
チュンチュンチュンチュン!
鳥の鳴き声が朝を告げた。
2人で朝食を食べる。
アリーチェの肌は潤いを増している。
「昨日は気絶したのに、調子がいいわ」
「良かった。アリーチェは切り札だからな」
宿屋に兵士が入って来た。
「ユウタ殿! ゴブリンの軍勢はこちらの約3倍! 王都防壁の表門前で距離を取りつつ布陣しつつあります!」
ここに来ると見せかけて食料都市マリンに行くかもしれないとも考えたが、ここに来たか。
ジョーカーは強固な防壁があってレナルドさんとセリアがいる事を知ってそれでも突破できると考えている。
突破できる策があるんだ。
「食事が終わったらすぐに向かおう」
「はい! お待ちしております!」
兵士が去っていった。
「行きましょう」
「そうだな。頼んだぞ、アリーチェ」
「任せなさい!」
アリーチェが胸を叩くと胸が躍動した。
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