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第60話 商人のスキル

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 3人でアリーチェの家に向かった。
 2人に修行の相談をした。

「……というわけです」
「なるほど、いったん外に出よう」

 外に出る。

「ゴーレム!」

 ゴーレムが現れて俺達に礼をした。

「ゴーレムは戦闘には向かない。でも、耐久力が無くなるまでずっと動き続けて雑用をこなす事が出来る。今使ってみるといい」

「はい、ゴーレム!」
「ハジメマシテ」

 ゴーレムが礼をした。

「ゴーレムは使用者があまりに離れると消えてしまう、でも、この街や町の外で使う分には影響はないだろう」
「ありがとうございます!」

 ゴーレムは旅をしながら使うには向かないか。
 馬車も同じような感じだろう。
 でも、ここにいる限りは気にせず使える。

「正直、ゴーレムや馬車は使っているのを見学してもらうかスキルを使い続ける以外に教えられる事が無いんだ」
「お店を手伝ってもいいですか? もちろん無料です」
「ああ、大歓迎だ」

 外からお店を眺めるとゴーレムが自動で接客をしていた。

「次は馬車だ、馬がいなくてもオートで走ってくれる。ただし荒く乗り回すとすぐに耐久力が無くなってしまうよ。実際に使ってみた方が分かりやすい」

「はい、馬車!」

 馬のいない馬車が召喚された。
 ホロで天井を覆った荷車のようにも見える。

「レベルが上がると馬車の見た目は良くなるから、何度も使い続けて欲しい。ゴーレムも馬車も1時間に1回スキルを使えるけど、使うと使用中のゴーレムと馬車は消えてしまうよ」
「1つしか出せないんですね?」
「そうだね、最後にアイテムボックスは、レベルが上がれば収納量が増えるだけだね。レベル上げで教えられることはこのくらいだ」

「アイテムボックス!」

 円状の入り口が出現しバックパックを放り込むと無事収納出来た。
 次にバックパックを取り出すのも問題無く使えた。
 遊び人と同じで空気中にある魔力を吸い上げてそれを使う感じか。
 魔力消費は無く、遊び人スキルの応用。
 共通部分が多くて修行しやすい。

「最期に1つだけ、商売の基本は相手が喜ぶ事や便利になるサービスや物を供給する事だ。相手の気持ちに立って、相手が喜んでくれる商売をして欲しい」
「ありがとうございました!」

 俺は頭を下げた。

「早速修行のお手伝いを無料でしたいです!」
「お金を稼ぎたいんだよね?」
「はい! なので繁盛しているこのお店で勉強したいんです!」

 俺はその日から商売の勉強を始めた。
 みんなに挨拶をして話を聞いて回った。
 何か欲しいものが無いかを聞いていく。
 手伝いを進め、皆の話を聞いていくと色々見えてきてどう動くかのパターンが出来上がっていった。

 馬車に荷物とゴーレムを乗せクレアおばあちゃんの所に出発した。
 買い物に行く体力のないお客さんにはゴーレム&馬車で荷物を売りに行った。

 俺は走って副兵士長のいるキャンプに向かった。

「物資の配達に来ました!」

 アイテムボックスから野菜などの物資を取り出した。

「助かる。丁度いい所に来た。300ほどのゴブリンがいる。ユウタ殿にも手伝って欲しい」
「分かりました」

 副兵士長のパーティーと共にゴブリンの元へと向かった。

「奇襲をかけます」

 俺は走ってゴブリンに迫った。

「ダイスレイン!」

 2の目が出て200個の小さいダイスがバウンドする。
 外れか。

 ゴブリンが矢を放つがそれを避けて急接近するとダイスが降り注いでゴブリンを爆破していく。

「ミサイルナイフ! マジックハンド!」

 10本のナイフがゴブリンに突き刺さり、倒すと次のゴブリンを狙う。
 マジックハンドが弓を放とうとしたゴブリンを掴むと、矢がゴブリンに放たれる。
 
 ゴブリンの8割ほどを倒すと後ろから副兵士長のパーティーが攻撃を仕掛けてゴブリンを倒していった。

「助かったが、ここにいるモンスターは全部倒した。キャンプを移動したい」
「あ、物資を別の場所に移動させますね」
「負担をかける」
「いえ、どんどん先に進みましょう。キャンプ道具を持ちますね」
「本当に助かる」

 移動が終わるとみんなが俺を褒めた。

「アイテムボックス、欲しい」
「ユウタ、パーティーに入ってくれると助かるわ」
「残念だが、ユウタ殿はすでにエースだ。贅沢は出来ない」

「そろそろ帰りますね」
「待ってほしい。3分だけ」

 副兵士長は手紙を書いた。

「領主ロレンツ様への手紙だ。最近ゴブリンの集団が目撃された。隊列を組んだ500を超える規模だった」
「分かりました。届けます」

 最近ギルドでもゴブリンの目撃報告が多いらしい。
 サーラとセリアもゴブリンの群れ
を討伐したようだし。
 なにかが起きているようだ。

 俺は走ってロレンツさんに手紙を渡しに行った。

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