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第54話 見送り

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 みんなが何で笑っているのか分からない。

「え?俺なんかおかしい事言ったか?」
「いや、失礼」
「みんな疲れています。明日話しましょう」
「ユウタ、私は明日、王都に出発するわ。見送りに来てくれる?」

「当然だろ」
「では、その時にお話ししますわ」

「出発は明日になる!今日は皆ゆっくりと休め!」

 今日は俺も疲れた。
 それ以上にみんなはボロボロで、やつれて見えた。
 俺は何も言わず解散した。

 アリーチェや両親と食事を摂って、ベッドに横になる。
 アリーチェとのキスを思い出した。
 アリーチェが学園に行く。
 なんだか、さみしいな。

 俺は、さみしい思いを抱きつつ、眠りについた。


【出発の時】

 みんながレオナルドさんや兵士、アリーチェを見送りに来た。

 レオナルドさんが俺を見た。

「ユウタ、王都に来ないか?」
「いえ、俺はアリーチェの両親に商人の修行をつけて貰います」
「遊び人をマスターした。という事か?」

 戦士をマスターすれば武闘家が取得可能になりスカウトをマスターすればアサシンを取得可能になる。
 ジョブマスターには決まった法則があるらしい。

「そう、なります」
「ますます欲しい。修行が終わったら王都の兵士団に入らないか?」

「ユウタはやるとしたら冒険者です」
「セリア、そばに置いておきたくて必死だな」
「違います!」
「ひゃっひゃっひゃ!セリア、メスの顔」

 バチバチバチ!

「ぎゃああああああああ!」

 おさわりじじいが倒れ、むくりと起き上がった。

「おさわりじじいにも世話になった。スキルのレベルが上がったし貰ったタキシードのおかげで大ダメージを受けずに済んだ。でもそれはそれとして、王都に帰らないか?」

 俺が笑顔で言うと笑いが起きた。

「ワシはユウタのそばにおる」
「いやいや!もう修業は終わった!用は無いだろ!栄えている王都に帰れって!」

「ひゃっひゃっひゃ!ユウタの周りにはメスが集まって来る!ほれ!見んか、セリアのあのメス顔を!きええええええい!」

 バチバチバチバチバチ!

「ぎゃああああああああ!」

 おさわりじじいがセリアに飛び込み、雷撃を受け倒れるがまた起き上がった。

「見るんじゃ!ユウタとサーラの距離の近さを!隙ありいいいい!」

 サーラが素早く矢を3発放ちヒットするがそれでもおさわりじじいは止まらない。
 サーラの回し蹴りがヒットしてやっと倒れ、沈黙した。
 全然隙ありじゃない。
 サーラは事前に弓を構えていた。

 むくり!

「まだ、まだまだじゃああ!アリーチェは学園を卒業すれば必ず帰って来る!」

 アリーチェがおさわりじじいを斬りつけると、おさわりじじいが倒れた。
 おさわりじじい、何か固有スキルを持っているな?
 生命力が半端ない。

 俺はおさわりじじいを投げ飛ばした。

「アタックダイス!」

 4の目が出た。

 ちゅどーん!

「ぎゃああああああああああ!」


「おさわりじじいがいると話が進まない。今だけは本当に黙ってくれ」
「ユウタ殿、昨日皆が笑った話をしたいのです」

「そうだった。俺何か変な事を言ったかな?」
「それは、ユウタ殿は奇策を使い、高度な心理戦を行いゴブリンを撃退しました。ですが、ユウタ殿は自分の力を分かっていないようだったので」

「そうですわ。ユウタの策が無ければやられていたのはこちらでしたわ」

 そういう事か。
 でも、大したことはない。
 ロックショットは前の世界にいた会社の上司に似ていた、それだけなんだ。

 アリーチェが俺の手を取って胸に引き寄せる。

「え?」
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