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第42話 湯あがり
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サーラは無事治療を受けて回復した。
街に帰ると背伸びをした。
「みんな無事に帰って来た!おっしゃあああああああ!」
気分がいい、気分がいい理由は他にもある。
「皆で無事に帰ってきましたわね。わたくしとユウタはとある方とお話がありますわ。内密のお話なので今日は皆さん自由ですわ」
サーラは皆を自由にし俺と2人きりになった。
あの時を思い出す。
コロシアムでのギャンブルショーが終わった後俺とサーラは賭けをしていた。
「ユウタ、また賭けをしませんか?」
「今ここで?」
「そうですわ。その前に、皆全員で食料都市マリンに帰る事が出来なければ賭けは不成立にしたいですわ。ゲン担ぎのようなもので、ここで賭けをする事で、皆が無事に帰れそうな、そんな予感がしますわ」
「ゲン担ぎか、なんとなく分かるぞ」
「賭けの内容はダイスの奇数偶数で決めますわ。わたくしが勝ったらユウタはわたくしに10日魔物狩りで協力する事ですわ」
「ん-と、新兵の訓練には俺が協力する約束になっていたはずだから、どっちにしろ協力するぞ?」
「ユウタの策がうまくいった場合、帰る頃には新兵は力をつけ、冒険者としてやっていけるようになっているかもしれませんわ」
「ん、もしかして、俺が思っているより長くなるのか?」
「2か月か、3か月程度でしょう」
「それだけあればみんな立派になっているだろうな。なら冒険者としてもやっていけるか」
「賭けの内容はユウタが勝った場合、わたくしは丸一日、ユウタのマッサージを受けますわ」
「一晩じゃなくて丸一日か!」
「そうですわ。もちろん、わたくしが勝って10日の協力が終わった場合、また賭けのお誘いをするかもしれませんわ」
買ったらマッサージ、負けてもまた賭けがあるかもしれない。
サーラは俺を興奮させるのがうまい。
「奇数偶数はユウタが選んでいいですわ」
「遊び人は勘がいいけど」
「構いませんわ」
「乗った!俺の勝ちは、奇数で」
「分かりましたわ」
3回目の勝負か。
ぞくぞくする。
1回目と2回目で賭けには負けたけど、それはそれでよかった。
楽しかった。
でも、さすがに次は勝ちたい。
「約束は皆で無事に帰ったら必ず守りますわ」
「皆が無事に帰ったら、だな。ダイスを振ろう」
俺はダイスを振った。
何が出る!?
ダイスが1の目を出した。
「うおおおおおおお!やったああああああああああ!」
そう、あの時は、絶対にみんなを無事に帰したいとそう思った。
そして賭けをしてから長かった。
王位継承権破棄の旅に出て帰ってくるまで一カ月かかった。
今はこうしてみんな無事に帰って来た。
「さあ、マッサージだ」
「あ、あの、お風呂に入って身を清めたいのですわ。それと、皆にバレるのは恥ずかしいですわ」
「意外だな。そこで恥ずかしがるのか」
「場所の確保が出来たのちに、早ければ明日の早朝からにしたいのですわ」
「そう、か。分かった」
俺はその日、アリーチェの家で食事を摂り眠った。
アリーチェとセリアは王都で学園を見たり魔物を倒して頑張っているようだ。
俺はサーラとの約束でアリーチェの両親との話に集中出来なかった。
それにより体調を心配された。
俺が異常に大きい荷物を背負って歩いて帰ったことがもう噂になっているようだ。
俺は夜が明ける前に目が覚め温泉に行った。
「サーラ!」
「ユウタ!」
「い、いやあ、身を清めておこうと思って」
「わ、わたくしもですわ。ただマッサージを受けるだけですのに。場所の確保は出来ましたわ。一カ月で金貨一枚の格安物件ですわ」
「……」
「……」
「お風呂から上がったら、この場所に来て欲しいのですわ」
俺は紙を渡された。
「分かった」
お風呂から上がると街はずれの森に囲まれたような家に入った。
何年も誰も使っておらず家が傷んでいる。
日が昇る前のこの場所、ここならバレる事はないか。
ドアをノックする前に扉が開いた。
「こっちですわ」
俺とサーラは中に入った。
「1階は大分傷んでいて、掃除もまだですわ。でも」
本棚が隠し扉になっていた。
隠し扉を進むと小さな書斎があった。
「え!書斎で!」
「ここではありませんわ。その下ですわ」
目立たないように地下に進む階段があった。
ここは石作りで劣化が少ない。
地下に降りるとベッドだけはきれいで、薄い魔道具の光に照らされていた。
「この地下室は貸してくれた持ち主も知らない場所だと思いますわ。あ、すぐに脱ぎますわ」
秘密の場所か。
ただマッサージをするだけだ。
でも、胸がドキドキする。
街に帰ると背伸びをした。
「みんな無事に帰って来た!おっしゃあああああああ!」
気分がいい、気分がいい理由は他にもある。
「皆で無事に帰ってきましたわね。わたくしとユウタはとある方とお話がありますわ。内密のお話なので今日は皆さん自由ですわ」
サーラは皆を自由にし俺と2人きりになった。
あの時を思い出す。
コロシアムでのギャンブルショーが終わった後俺とサーラは賭けをしていた。
「ユウタ、また賭けをしませんか?」
「今ここで?」
「そうですわ。その前に、皆全員で食料都市マリンに帰る事が出来なければ賭けは不成立にしたいですわ。ゲン担ぎのようなもので、ここで賭けをする事で、皆が無事に帰れそうな、そんな予感がしますわ」
「ゲン担ぎか、なんとなく分かるぞ」
「賭けの内容はダイスの奇数偶数で決めますわ。わたくしが勝ったらユウタはわたくしに10日魔物狩りで協力する事ですわ」
「ん-と、新兵の訓練には俺が協力する約束になっていたはずだから、どっちにしろ協力するぞ?」
「ユウタの策がうまくいった場合、帰る頃には新兵は力をつけ、冒険者としてやっていけるようになっているかもしれませんわ」
「ん、もしかして、俺が思っているより長くなるのか?」
「2か月か、3か月程度でしょう」
「それだけあればみんな立派になっているだろうな。なら冒険者としてもやっていけるか」
「賭けの内容はユウタが勝った場合、わたくしは丸一日、ユウタのマッサージを受けますわ」
「一晩じゃなくて丸一日か!」
「そうですわ。もちろん、わたくしが勝って10日の協力が終わった場合、また賭けのお誘いをするかもしれませんわ」
買ったらマッサージ、負けてもまた賭けがあるかもしれない。
サーラは俺を興奮させるのがうまい。
「奇数偶数はユウタが選んでいいですわ」
「遊び人は勘がいいけど」
「構いませんわ」
「乗った!俺の勝ちは、奇数で」
「分かりましたわ」
3回目の勝負か。
ぞくぞくする。
1回目と2回目で賭けには負けたけど、それはそれでよかった。
楽しかった。
でも、さすがに次は勝ちたい。
「約束は皆で無事に帰ったら必ず守りますわ」
「皆が無事に帰ったら、だな。ダイスを振ろう」
俺はダイスを振った。
何が出る!?
ダイスが1の目を出した。
「うおおおおおおお!やったああああああああああ!」
そう、あの時は、絶対にみんなを無事に帰したいとそう思った。
そして賭けをしてから長かった。
王位継承権破棄の旅に出て帰ってくるまで一カ月かかった。
今はこうしてみんな無事に帰って来た。
「さあ、マッサージだ」
「あ、あの、お風呂に入って身を清めたいのですわ。それと、皆にバレるのは恥ずかしいですわ」
「意外だな。そこで恥ずかしがるのか」
「場所の確保が出来たのちに、早ければ明日の早朝からにしたいのですわ」
「そう、か。分かった」
俺はその日、アリーチェの家で食事を摂り眠った。
アリーチェとセリアは王都で学園を見たり魔物を倒して頑張っているようだ。
俺はサーラとの約束でアリーチェの両親との話に集中出来なかった。
それにより体調を心配された。
俺が異常に大きい荷物を背負って歩いて帰ったことがもう噂になっているようだ。
俺は夜が明ける前に目が覚め温泉に行った。
「サーラ!」
「ユウタ!」
「い、いやあ、身を清めておこうと思って」
「わ、わたくしもですわ。ただマッサージを受けるだけですのに。場所の確保は出来ましたわ。一カ月で金貨一枚の格安物件ですわ」
「……」
「……」
「お風呂から上がったら、この場所に来て欲しいのですわ」
俺は紙を渡された。
「分かった」
お風呂から上がると街はずれの森に囲まれたような家に入った。
何年も誰も使っておらず家が傷んでいる。
日が昇る前のこの場所、ここならバレる事はないか。
ドアをノックする前に扉が開いた。
「こっちですわ」
俺とサーラは中に入った。
「1階は大分傷んでいて、掃除もまだですわ。でも」
本棚が隠し扉になっていた。
隠し扉を進むと小さな書斎があった。
「え!書斎で!」
「ここではありませんわ。その下ですわ」
目立たないように地下に進む階段があった。
ここは石作りで劣化が少ない。
地下に降りるとベッドだけはきれいで、薄い魔道具の光に照らされていた。
「この地下室は貸してくれた持ち主も知らない場所だと思いますわ。あ、すぐに脱ぎますわ」
秘密の場所か。
ただマッサージをするだけだ。
でも、胸がドキドキする。
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