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第39話 天国と地獄

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【帝国精鋭兵視点】

 7人の帝国兵が食料都市マリンに赴いていた。

「シールド3兄弟、体調はどうだ?」
「「問題無い」」
「そうか、まるで三つ子のように息がぴったりだな」

「隊長、何で男4人だけで話してるんすか?」
「……隊長と呼ぶな。お前ら3人は冒険者らしく見える為に落ち着きがない女の条件で選別したんだ!」
「ひっど!隊長ひっど!」
「隊長呼ぶな」

「隊長、トンテキ王子の始末が早く終わったら遊んでいいんすよね?」
「隊長と呼ぶな、我らは優秀な冒険者だ。隊長言うな!早く終わったら休暇をやる。だが隊長と呼ぶな」
「え?え?じゃあ何て呼べばいいっすか?」
「ボス、か?」

「それ盗賊じゃないですか」
「何がいい?」
「そっすね、リーダー、とか?」
「それでいくか、シールド3兄弟もそれでいいな?」
「「任務了解した、リーダー」」

「任務了解って言うな。精鋭兵士っぽい言い方をするな。もうすぐ都市につくんだ」
「じゃあリーダー、冒険者っぽくお酒を飲んで、今夜はわ・た・し・と、良い事する?」
「……いや、それはいい」
「迷った?ねえ、迷った」

「そう言う事じゃない。俺で遊ぶな」
「えー、じゃあリーダーが私で遊ぶ?ベッドの上で?」

 女性の部下が俺に後ろから抱き着く。

「やめろやめろ」
「えー、冒険者っぽくしてるのにー」
「リーダー、胸ではさんであげるっすよ。大きさには自信があるっす」
「リーダー、2人はほっといて私にしましょう。スパッと決めないと男らしくないですよ!」

「だから俺で遊ぶな!」

「「……羨ましい」」

「お前ら、俺を男みたいに言うな!俺は女だ!」

 俺達は男3人、女4人の冒険者パーティーとして食料都市に入った。



【狡猾なロックショット視点】

 俺は森に潜んで準備を進めた。
 もう少しで攻撃の体制が整う。
 150のゴブリン、そして俺の土魔法があれば人間など恐れる必要はない。

 後は武器だけか。

「ロックショット様、7人のパーティーがここに迫ってきます!」
「7人か、少し早いが、まあいい、もてなしてやろう」

 たった7人、ならば俺の大魔法で先手を打つ。
 1回で十分だ。
 その後は俺の部隊で全滅、いや、大魔法を撃つだけで終わってしまうかもしれんな。

「たった7人で150のゴブリンがいるこの場所に来て、どういうつもりだ?」
「俺達でお前らを倒しに来た。問題ある?」
「お前、その喋り方なのに、メスか?」
「女だけど?だから何?」

「いや、どうでもいい。お前らを瞬殺して終わるだけだ。名前など聞く必要もない」
「そ、分かった」
「早速死ね。ロックガトリング!」
「シールド兄弟!頼む!」

 ロックガトリングを撃つが、1人の男が盾を構えた。
 盾から魔法の盾が展開されて俺の大魔法を防いだ。

「ば、馬鹿な!ロックガトリングを防いだ、いや、1回しか使えない固有スキルだろう」
「こいつはもう使えない。次も撃って来る?」

「が、がははははは!怖いか、そうか、2発目をプレゼントしてやる!あの世で喜べ!ロックガトリング!」
「兄の次は次男の俺がやる!」

 ロックガトリングを撃つがさっきとは違う男が盾を構え俺の大魔法を防いだ。

「また防がれた!貴様!騙したのか!」
「俺は長男のこいつはもう使えないと言った。でも次男はまだ使えた。間違ってないよね?」
「この!」

「狡猾なロックショット、ロックガトリングを3発使用可能で後は初級魔法を何発か撃って魔力切れ、これ間違ってる?」
「ぐぬぬぬぬ!」

 こいつらはまずい。
 1人1人がエースに迫る力を持っている。

 恐らくもう1人の男がまたロックガトリングを防ぐ、魔力が切れた状態で追われれば終わりだ。

「それと、大魔法を2発、たまに3発を撃って逃げる。そして今逃げようとしてる?どうよ?」
「そ、総攻撃だああああ!」

 ゴブリンが攻撃を開始するが指示を出していた女が刀を抜いた。

「ゴブリンが150だけ、なら俺だけでも十分。女3人でロックショットを追って、あ、適当に相手をしておけばいいから」

 俺は逃げ出した。

 俺の背中に矢が刺さった。

「イグニッション!」

 俺の体が燃え、全身に燃え広がる。

「ぐああああ!」

 後ろから拳を握った女が走って来た、武闘家か!

「ロックガトリングううううううううううううううううううううう!」

 大魔法を放ちつつ後退する。


 俺は燃えながら逃げ切った。

 体が焦げて熱い。

 ゴブリンの軍団は、全滅しただろう。

 あんな人間がこの国にいたのか!?

 走りすぎて息が苦しい。

 最近ついていない。
 あの生意気な遊び人に会ってから運が無い!




【ユウタ視点】

 シャワーが温かい。

 気持ちいいな。

 ガチャリ!

 服を脱いだ女性兵士がタオルを持って入って来た。

「ご、ごめんなさい!」

 女性兵士が持っていたタオルをはらりと落とす。

「本当にごめんなさい」
「いや、鍵と使用中の札をやってなかったから、お互い気にせず行こう」
「……ですね」

 女性兵士は少し間を置いて出て行った。
 運がいい。

「快適だな」

 でも、股間が元気になってしまう。
 それだけは問題だ。
 俺はシャワーから出てサーラに話を聞きに行く。

「サーラ、トンテキ王子はどうなったんだ?」
「まだ連絡が来ませんわね。飽きました?」
「いや、まだまだ行ける。気になっただけだ」
「分かった事があればすぐにみんなに伝えますわね」

「うまくいけばいいな」
「そうですわね。あの時の賭けの事もありますし」
「だな」
「それに、新しい攻撃を使ってみたいのでは?」
「ああ、そうだな、隠れたり、地下で使うには向かないからまだ一回も使っていない」

「心配していましたわ。ここでの生活が嫌になってしまわないかと」
「ここは快適だ。家事をしなくていいし、たっぷり眠れて住む場所があって食事が美味しい」
「そう言って貰えれば助かりますわ」

 俺は楽しく地下で生活していた。


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