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第33話 ボス
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「兵士団のお力が必要なのですわ……」
サーラが経緯を話した。
「なるほど、兵士団に受け入れるにあたって障害は2つあります。1つはサーラ様が王位継承を破棄してからでない限り、受け入れは厳しいです」
サーラが王位継承権を破棄しない限り、他国の兵を兵士団に入れる事になってしまう。
そうなれば話がおかしくなるのだ。
「2つ目の問題として兵士がどの程度戦えるか、指示に従うのか分かりません。まずは明日、合同で魔物狩りを行い、兵の質を見極めたいのですがどうでしょうか?」
「はい、それで結構ですわ」
「ユウタ殿にも同行してほしい。思わぬ事故やトラブルを避けたい」
「分かりました。明日ついて行きます」
「その後の話は明日の結果次第という事でよろしいでしょうか?」
話はスムーズに進み俺は帰った。
【次の日】
「やあ!」
新兵3人がブラックウルフを攻撃して倒した。
サーラと副兵士長が話をする。
「新兵と聞いていましたが、基本の動きは出来ているようですね。それに指示にも迅速に従い規律も守る。これなら合格でしょう」
「王位継承権の破棄が出来た場合は兵士団に入る事が出来ると、そう取ってよろしいですの?」
「はい、ただし、数か月の間だけでもサーラ様には教官として兵士団にいて欲しいのです」
「それは問題ありませんわ」
「兵士団には女性専用の寮があります。サーラ様やその部下もその点は安心でしょう」
そう言えば、娼館に売られそうな娘を買って兵士にしたとか言ってたな。
見た目が良くて貧乏だと娼館行きになる事が多いのかもしれない。
襲うような人間は……おさわりじじいだけは危険だな。
「合格なら帰らないか?」
「そうですわね。今日はお世話に、ブラックウルフが500以上!もっと増えていますわ!」
「500以上だけなら、俺が倒してくる。皆は逃げてくれ」
「ユウタなら問題無く倒せるでしょう。わたくし達は早く戻って援軍を呼びますわ!」
「すぐに援軍を呼んでくる!」
俺は1人前に出た。
腰に刺したナイフは使わずにおこう。
ステッキでナイフを9本出現させるとナイフが飛んで9体のブラックウルフを魔石に変えた。
飛び掛かって来るブラックウルフに合わせてステッキのカウンターを食らわせると1撃で魔石に変わった。
楽になっている。
1撃で倒せる。
これなら余裕だ!
ブラックウルフはやられるために突っ込んで来てくれる。
効率がいい。
【サーラ視点】
「今まともに戦えるのは私のパーティー4人とサーラ様とその部下2人だけでしょう!早く街を目指さなければ!」
「そうですわね。ですが、ブラックウルフのあの数の多さは異常、ボスクラスが近くにいる可能性もありますわ」
「その予感はしていましたが今は走りましょう!早く街に付けば援軍がいます!街に到着すればそれも何とかなります!」
「そうですわね」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
地面が震える。
「ボスクラス、回り込まれましたわね」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
新兵の顔が恐怖で引きつった。
目の前には体長4メートルほどの巨大なブラックウルフが立っていた。
「わたくしがおとりになりますわ!」
「無茶です!」
「無茶は承知ですわ!」
矢をすべて打ち尽くす勢いで矢を放って行く。
矢が刺さっても構わずにわたくしを睨みながら突進してきた。
ギリギリで前足の攻撃を躱し、着地するとまた矢を放つ。
ボスの横から副兵士長のパーティーがアーツで攻撃を行うと今度は副兵士長がターゲットにされ前足の攻撃を受けた。
更にパーティーの男性と女性スカウトが攻撃を受けた。
まずい!
矢を撃ち尽くし、矢筒と弓を捨てながらナイフを持って足に攻撃をする。
3回連続でナイフを突き立てるとまたわたくしがターゲットを取った。
前足の攻撃を躱し、2回目の攻撃で左ひざに攻撃を受けて回転しながら後ろに飛ばされた。
そこでボスが倒れ、魔石と毛皮に変わった。
「はあ、はあ」
「回復ポーションです。飲んでください」
「助かりますわ」
帰るまでは油断できない。
ためらいなくポーションを飲んだ。
「副兵士長のパーティーにもポーションをお願いしますわ」
みんながポーションを飲むと徐々に傷が癒えていく。
飲んで一気に回復するわけではないのだ。
「皆無事ですわね。またボスが来ますわ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
さっきよりも一回り大きいブラックウルフが現れた。
さっき倒したボスがメスで、今目の前に立っているのはオスだ。
こっちの方が強い。
ポーションの効果は3分に渡って徐々に効いてくる。
わたくしは矢を撃ち尽くし膝にダメージを受けている。
速度を生かす攻撃も遠距離攻撃も出来ない。
副兵士長のパーティーも消耗してアーツは使えないだろう。
絶望的な状況!
それでも!
「わたくしがおとりになりますわ!みんなは逃げるのですわ!」
「死ぬと言っているようなものです!」
「時間を稼ぎますわ!早くセリアを呼んでくるのですわ!街まであと少しですわ!」
「新兵は逃げろ!私がおとりになる!」
副兵士長のパーティーが諦めずに攻撃を仕掛けた。
わたくしもブラックウルフのボスにナイフを突き立てた。
膝が動かず回避が遅れる。
前足の攻撃を何とか避けるが2回目で攻撃を受け地面を転がる。
副兵士長のパーティーも劣勢を強いられて消耗していく。
「うあああああああああ!」
大楯を持った新兵がブラックウルフに斬りかかる。
大楯で攻撃をガードするが大楯もろとも吹き飛ばされた。
「逃げなさい!無茶です!」
「サーラ様を置いてはいけません!サーラ様は私を救ってくれました!」
新兵が逃げずにおとりになっていく。
ポーションの回復が遅い!
1秒が長く感じる。
わたくしの前に新兵が立った。
「さ、サーラ様には触れさせません!」
剣を持った手がガタガタと震えている!
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
空気が振動する。
絶望だ。
巨大なブラックウルフの目にナイフが突き刺さる。
「あれは!ユウタのナイフ!」
「ナイフ1本じゃ倒せないよな」
「ユウタ殿!」
「離れていてくれ!ボスは俺が倒す!」
ユウタが叫んだ。
サーラが経緯を話した。
「なるほど、兵士団に受け入れるにあたって障害は2つあります。1つはサーラ様が王位継承を破棄してからでない限り、受け入れは厳しいです」
サーラが王位継承権を破棄しない限り、他国の兵を兵士団に入れる事になってしまう。
そうなれば話がおかしくなるのだ。
「2つ目の問題として兵士がどの程度戦えるか、指示に従うのか分かりません。まずは明日、合同で魔物狩りを行い、兵の質を見極めたいのですがどうでしょうか?」
「はい、それで結構ですわ」
「ユウタ殿にも同行してほしい。思わぬ事故やトラブルを避けたい」
「分かりました。明日ついて行きます」
「その後の話は明日の結果次第という事でよろしいでしょうか?」
話はスムーズに進み俺は帰った。
【次の日】
「やあ!」
新兵3人がブラックウルフを攻撃して倒した。
サーラと副兵士長が話をする。
「新兵と聞いていましたが、基本の動きは出来ているようですね。それに指示にも迅速に従い規律も守る。これなら合格でしょう」
「王位継承権の破棄が出来た場合は兵士団に入る事が出来ると、そう取ってよろしいですの?」
「はい、ただし、数か月の間だけでもサーラ様には教官として兵士団にいて欲しいのです」
「それは問題ありませんわ」
「兵士団には女性専用の寮があります。サーラ様やその部下もその点は安心でしょう」
そう言えば、娼館に売られそうな娘を買って兵士にしたとか言ってたな。
見た目が良くて貧乏だと娼館行きになる事が多いのかもしれない。
襲うような人間は……おさわりじじいだけは危険だな。
「合格なら帰らないか?」
「そうですわね。今日はお世話に、ブラックウルフが500以上!もっと増えていますわ!」
「500以上だけなら、俺が倒してくる。皆は逃げてくれ」
「ユウタなら問題無く倒せるでしょう。わたくし達は早く戻って援軍を呼びますわ!」
「すぐに援軍を呼んでくる!」
俺は1人前に出た。
腰に刺したナイフは使わずにおこう。
ステッキでナイフを9本出現させるとナイフが飛んで9体のブラックウルフを魔石に変えた。
飛び掛かって来るブラックウルフに合わせてステッキのカウンターを食らわせると1撃で魔石に変わった。
楽になっている。
1撃で倒せる。
これなら余裕だ!
ブラックウルフはやられるために突っ込んで来てくれる。
効率がいい。
【サーラ視点】
「今まともに戦えるのは私のパーティー4人とサーラ様とその部下2人だけでしょう!早く街を目指さなければ!」
「そうですわね。ですが、ブラックウルフのあの数の多さは異常、ボスクラスが近くにいる可能性もありますわ」
「その予感はしていましたが今は走りましょう!早く街に付けば援軍がいます!街に到着すればそれも何とかなります!」
「そうですわね」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
地面が震える。
「ボスクラス、回り込まれましたわね」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
新兵の顔が恐怖で引きつった。
目の前には体長4メートルほどの巨大なブラックウルフが立っていた。
「わたくしがおとりになりますわ!」
「無茶です!」
「無茶は承知ですわ!」
矢をすべて打ち尽くす勢いで矢を放って行く。
矢が刺さっても構わずにわたくしを睨みながら突進してきた。
ギリギリで前足の攻撃を躱し、着地するとまた矢を放つ。
ボスの横から副兵士長のパーティーがアーツで攻撃を行うと今度は副兵士長がターゲットにされ前足の攻撃を受けた。
更にパーティーの男性と女性スカウトが攻撃を受けた。
まずい!
矢を撃ち尽くし、矢筒と弓を捨てながらナイフを持って足に攻撃をする。
3回連続でナイフを突き立てるとまたわたくしがターゲットを取った。
前足の攻撃を躱し、2回目の攻撃で左ひざに攻撃を受けて回転しながら後ろに飛ばされた。
そこでボスが倒れ、魔石と毛皮に変わった。
「はあ、はあ」
「回復ポーションです。飲んでください」
「助かりますわ」
帰るまでは油断できない。
ためらいなくポーションを飲んだ。
「副兵士長のパーティーにもポーションをお願いしますわ」
みんながポーションを飲むと徐々に傷が癒えていく。
飲んで一気に回復するわけではないのだ。
「皆無事ですわね。またボスが来ますわ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
さっきよりも一回り大きいブラックウルフが現れた。
さっき倒したボスがメスで、今目の前に立っているのはオスだ。
こっちの方が強い。
ポーションの効果は3分に渡って徐々に効いてくる。
わたくしは矢を撃ち尽くし膝にダメージを受けている。
速度を生かす攻撃も遠距離攻撃も出来ない。
副兵士長のパーティーも消耗してアーツは使えないだろう。
絶望的な状況!
それでも!
「わたくしがおとりになりますわ!みんなは逃げるのですわ!」
「死ぬと言っているようなものです!」
「時間を稼ぎますわ!早くセリアを呼んでくるのですわ!街まであと少しですわ!」
「新兵は逃げろ!私がおとりになる!」
副兵士長のパーティーが諦めずに攻撃を仕掛けた。
わたくしもブラックウルフのボスにナイフを突き立てた。
膝が動かず回避が遅れる。
前足の攻撃を何とか避けるが2回目で攻撃を受け地面を転がる。
副兵士長のパーティーも劣勢を強いられて消耗していく。
「うあああああああああ!」
大楯を持った新兵がブラックウルフに斬りかかる。
大楯で攻撃をガードするが大楯もろとも吹き飛ばされた。
「逃げなさい!無茶です!」
「サーラ様を置いてはいけません!サーラ様は私を救ってくれました!」
新兵が逃げずにおとりになっていく。
ポーションの回復が遅い!
1秒が長く感じる。
わたくしの前に新兵が立った。
「さ、サーラ様には触れさせません!」
剣を持った手がガタガタと震えている!
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
空気が振動する。
絶望だ。
巨大なブラックウルフの目にナイフが突き刺さる。
「あれは!ユウタのナイフ!」
「ナイフ1本じゃ倒せないよな」
「ユウタ殿!」
「離れていてくれ!ボスは俺が倒す!」
ユウタが叫んだ。
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