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第31話 温泉とスモーク

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【サーラ視点】

 みんなで温泉に入り新兵の顔を見る。
 緊張がほぐれ、リラックスしている。

「それにしてもアリーチェの立派なお胸は羨ましいですわね」
「サーラもあるじゃない」
「アリーチェ、そう言うと嫌味に聞こえますよ。持つ者、持たない者で受け取る印象が変わります」

「セリアも大きいですわ」
「私が嫌味ならセリアも嫌味ね。でも、何年かすれば大きくなるわよ」
「アリーチェ、サーラは18才で年上ですよ」
「え?」

「もう、急激な成長は見込めませんわね」

 新兵も話に混ざって来た。

「恋バナをしましょう」
「ユウタの話になりますね。皆さんユウタのどんな所に魅力を感じますの?」

 セリアはすぐにユウタの話を始めた。
 セリアにとって恋バナ=ユウタなのだ。
 部下の間でもユウタは人気だ。

「見た目がまずかっこいいですよね。でも、性欲はあるのに真面目な所がいいです」
「あ、分かる。遠慮するような、大事にしてくれそうな所がいいかも!」

「セリアはどう思いますの?」
「その、真面目で、真剣に努力している顔が好きです」

「アリーチェはどうですの?」
「頑張って訓練をしている所を見ている内に、よく分からないけど良いなって。じ、自分でも何でいいと思ったのか分からないわ」

「アリーチェの話は生生しくて好きですよ」
「もう、サーラはどうなのよ!」
「わたくしは、確かに気になってはいますわ。でも、セリアやアリーチェのように恋をするまでは心が動いていないですわね」

「ずるい、皆に言わせて自分だけ答えないのはずるいわ!」
「本心ですわ」
「言う時恥ずかしかったんだから!」
「本心ですわ」

「隙あり!」

 アリーチェの胸がガバっと揉まれる。

「エマ!いつの間に、揉まないでよ!」
「隙だらけだね。と思わせてセリアも隙あり!」
「やめ、ああ!やめてくだ、ちょ!」

 エマが揉みこみをやめて温泉でくつろぐ。

「な、なんで私とセリアだけ!?」
「2人とも大きいから揉みたくて。それにスカウトは隙が無いからね」
「ええ、隠れているのは分かっていましたわ」

「早く言ってよ!」
「仲がよさそうだったので……」

「サーラ?」

 私は無言で木の桶を掴み、お湯を被った後、急に半回転しつつ桶を投げつけた。

 カコーン!

「「おさわりじじい!」」

「くうう!スカウトさえいなければ!退散じゃ!」
「鬼ごっこだね」

 エマが裸で踊った。

「そうですわね。捕まえますわよ」

 温泉からあがり、おさわりじじいを追いかける戦いが始まった。


 新兵がおさわりじじいを追いかける。

「待てーーー!」
「隙ありじゃ!おさわり!」
「あああああああ!」

 新兵が倒れこむ。

「ひゃっひゃっひゃ!鬼ごっこではないんじゃ!追いかけられるのはワシだけでない!野生では弱き者から狩られる!」

 おさわりじじいがクワッ!と目を見開いた。
 他の新兵もおさわりじじいにやられていく。

「ああああああ!」
「いいのう!いいのう!若い肌、すべすべじゃあああ!」

「次はアリーチェじゃ!」

 ステッキを取り出してアリーチェと打ち合う。

 お互いにバックステップを踏んでにらみ合う。

「今日のワシはいつもと違う!温泉で覗けなかったほとばしる思いで力が増しておる!年老いてもなお現役、老いてからもなお成長を続ける!」

「雷撃!」

 おさわりじじいに雷撃の範囲攻撃がヒットした。

「ぎゃああああああああ!」

 私は矢を3本放った。

「あああ!刺さった!刺さっとる!」
「これで終わりよ!」

 アリーチェの剣を受けておさわりじじいが倒れた。

「ミノムシスモークの刑にしましょう」

 みんなで近づいた瞬間、おさわりじじいがカサカサと起き上がった。

「隙ありいいいいいい!サーラ、パンツを奪われそれでも冷静を保てるかの!きえええええええええええい!」

 私は膝蹴りをお見舞いした。

「ぐぼ!まだじゃ!」
 
 更に回し蹴りをお見舞いするとおさわりじじいが倒れた。

「念のために電撃」
「あがががががががが!」

「サーラの黒い下着、悔いは、無し」

 ガク!

 危なかった。
 ギリギリで何とか倒す事が出来た。

 新兵が集まてくる。

「き、気持ち悪いです。おさわりじじいに魔力を流し込まれて体が反応するのが気持ち悪いです」
「寒気がします」

「確かに、それは気持ち悪いですわね」

「分かります。すぐにミノムシスモークの刑にしましょう」

 おさわりじじいがロープでぐるぐる巻きにされて木の枝に逆さまに吊るされた。
 そして下では落ち葉と木の枝、木の切れ端が集められ火がつけられた。

「こ、ここは、ゲホゲホ!や、やめんか!」
「ミノムシスモークの刑です」

「こんなか弱い老人をいたぶるとは!あり得んことじゃワイ!げほげほ!けむい!やめんか!」
「反省してください。もう二度と覗きはしないと誓ってください」

「ワシは紳士の中の紳士、そのような事はせん!」
「やったじゃないですか!」
「やろうとしただけじゃわい!まだやっておらん!」

「スモークを追加します」

 パチンパチンパチン!

「熱い!これはスモークではなく火の粉じゃ!」
「そうですね、火の粉のパチパチを追加します!」

 パチンパチンパチン!

「あつ!やめ!追加しすぎじゃ!焚火になっとる!」

 おさわりじじいは左右にブランブランと揺れながら熱さを回避しようとする。

「丁度いいですね」
「これはスモークではない!熱気とパチパチが、あつ!」

「反省してもうおさわりはもう二度としないでください。覗きもしないでください」
「老い先短いワシの楽しみを奪うのか!人でなしじゃ!」

 おさわりじじいがクワっと目を見開くとセリアはスモークの燃料を追加した。
 
 おさわりじじいにおさわりされる事を想像すると鳥肌が立った。
 でも、わたくしはユウタと、負けたらマッサージをする賭けをした。

 ユウタになら、マッサージをされても嫌ではない。
 わたくしは、自分で思うよりユウタの事が気になっているのかもしれない。
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