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第30話 失敗するロックショット

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 俺はアリーチェにおんぶしてもらい家のベッドに横になった。

 アリーチェだけではなく、セリア、サーラとその部下も付いてきた。
 皆女性だ。

「アリーチェ、運んでくれてどうもな」
「普通よ」
「普通と言えるアリーチェのやさしさが嬉しいんだ」

 アリーチェが赤くなって黙った。

「サーラ、終わったら魔物狩りに行くのと副兵士長に話をしに行く約束だったけど」
「構いません。明日から10日間魔物狩りを手伝っていただくでどうでしょう?」
「分かった」

「今日の魔物狩りなら私が同行しますよ?」
「私も行くわ!ユウタには負けてられないわ!」
「ですが、何もお礼を出来ませんわ」

「お礼はいいですよ。行きましょう」
「ふふふ、お言葉に甘えますわ。ユウタの戦いでわたくしも胸が高鳴っていますもの」

「そう言えば、俺はあいつに勝つ事を目標にしてたんだよな。ゴブリンのあいつ。セリアと闘ってまだまだ実力不足なのが分かった」
「あいつとは?」
「あれあれ、岩を飛ばしてくる魔法使いのゴブリン、性格が悪そうなあいつ、名前が思い出せない」

「狡猾なロックショットね」
「そうだった。ロックショットか、あいつ今どこにいるんだろ?」

 世間話の後、俺はゆっくり休んだ。



【狡猾なロックショット視点】

 俺はアクア王国とアイアン王国を繋ぐ街道に潜んでいた。
 同じパターンで動いていれば対策を打たれてしまう。

 俺は常に動き回り、パターンを読ませないように変化し続け、奇策を多用している。

「ロックショット様!13人の部隊がこちらに歩いてきます!」
「全部メスか、奇襲を仕掛け、全滅させてやる!」

 俺は物陰に潜んだ。
 な!賢者のセリア!なぜここにいる!

 いや、落ち着け、動きを見ると新兵が多い、一気に奇襲をかけてすり潰せば勝てぬ相手ではない。
 新兵を狙えばセリアは守りに入るだろう。

 俺のゴブリンは70体、向こうは13人、
 俺のロックガトリングと数で押す!
 そうなれば俺の勝ちだ。

「俺の魔法と同時に奇襲を開始しろ!」
「「はい!」」

 後100メートル。

 後50メートル。

 後30メートル。

 後10メートル、もう少しで奇襲開始だ!
 その瞬間にセリアの杖が光った。

「サイクロン!」
「ぐう!ロックガトリング!」

 チュドーン!

 大魔法がぶつかり合い俺は爆発に巻き込まれた。
 なぜだ!なぜバレた!

「サーラはロックショットを狙ってください!アリーチェはサーラに迫るゴブリンを倒してください!他の方は近くにいるゴブリンを包囲して確実に倒してください!」
「分かりましたわ!」

「サーラの感知能力のおかげです!」
「お役に立てて光栄ですわ!」

 あのメスか!

 新兵たちにゴブリンがやられていく。
 セリアがとにかく厄介だ。
 次にサーラとかいうメス!あいつの弓は侮れん!
 3番目にビキニアーマーの小娘も力をつけている。

 俺は走って逃げた。

「撤退だ!撤退だああああ!」
「ロックショット様!まだ逃げ遅れた者がいるのです!」
「うるさい!知った事かあああああ!」

 俺は走って逃げ出す。
 サーラが撃った矢が背中に突き刺さるが構わず走って逃げた。

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬううううううううううううううううう!!!ロックガトリングうううぅ!」

 俺は、ボロボロになりながらも何とか逃げ切った。


【アリーチェ視点】

「……セリアだけじゃなく、サーラも強いのね」
「それなり、ですわね」
「十分強いわよ。私ももっと頑張らないと」

「ユウタに置いて行かれるようで不安ですか?」
「……そう、ね」
「疲れているのですわ。帰って美味しい物を食べて、そうですわ。皆で温泉に入りましょう」

「そうするわ」
「良ければ、ゆっくり相談に乗りますよ」
「まずは食事と温泉ですわ」

 サーラの部下が嬉しそうにはしゃいだ。

「そうね、街に戻りましょう」

 みんなでおしゃべりをしながら食事会をして、そして温泉に向かった。


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